「ちょっと疲れてない?」はNG 4つのHを避ける! 言い換える!

2021.10.1
いつもなぜか相手と気まずくなってしまう…。そんなコミュニケーショントラブルの原因は実は、何気なく使っている言葉にあるのかも? つい口にしてしまいがちなNGフレーズを上手に言い換えれば人間関係は円満に。そのコツをご紹介。

4つの「H」を避けて、会話をスムーズに。

「コミュニケーションのトラブルは、言葉のズレから生じている場合がほとんど。ちょっとした言い方や聞き方を変えることで改善するケースが少なくありません」

と、企業でカウンセリングや研修に携わる、メンタルアップマネージャの大野萌子さん。好印象を持たれる言い換えのコツはまず、「ポジティブな表現を心がけること。『否定』や『批判』『非難』は、相手の心に届きにくいものです。この3つに、自分や周囲の人間と相手を比べる『比較』を加えた4つの“H”を意識して避けるだけで、やり取りがスムーズに」

その上で、簡潔かつ具体的に伝えることも大切という。よく耳にするフレーズを中心に、言い換え例を教えてもらった。

「言い換え力が身につくと、相手から不本意に嫌われたり避けられたりするのを防げて、人間関係のストレスも減らせます。何より、わかり合える醍醐味を知ると、人と関わるのが楽しくなる。リアルで人と会う機会が減り、ひと言の重みが増しつつある今こそ、上手な言葉選びを心がけたいですね」

日常のひと言

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挨拶に返事、相づち、社交辞令。人間関係の潤滑油ともいえるこうしたひと言は、何はともあれポジティブに! メールで使いがちなあの言葉もチェック。

ちょっと疲れてない?

→元気だった?
やつれている、顔色が悪いことを指摘するようなマイナス表現は、「そんなにはっきり言わなくても」と、相手も嫌な気持ちに。こんな時はプラスの言葉を使い、「久しぶり、元気だった?」などと明るく声をかけて。

連絡がなかったから心配していました

→久しぶりに連絡もらえて嬉しいです
「心配していた」だと責めている感じがあるけれど、言い換え例なら「連絡してよかった」と思ってもらえます。ちなみに「私も連絡しようと思っていた」は、「なんで連絡をくれないの」と返されかねないので避けて。

なるほど

→今の話、よくわかりました
「なるほど」はそつのない相づちに思えますが、ともすると上の空、他人事に聞こえてしまうことも。ほんのひと言でいいので「何を理解したか」を付け加えると、相手に向き合っている印象に変わります。

うそでしょう?

→本当?
驚いた時に出るフレーズですが、半信半疑で相手を否定するニュアンスが。反対に「本当?」と肯定的な聞き方なら、相手も話を続けやすい。「そんなことがあったんだ」などと付け加えられると、より好印象です。

そのうちランチでも

→月末あたりランチしませんか?
よく聞く社交辞令ですが、約束が実らないと相手はないがしろにされた気持ちになってしまいます。本気で誘いたいなら、話を具体化して。もし相手が社交辞令で返事した様子が窺えたら、そこで引いておきましょう。

メールを送らせていただきます

→メールをお送りいたします
「させていただく」は相手の許可をもらう、恩恵を受ける、という2つの条件を満たす場合に使う謙譲語なので、それに当てはまらない時は「いたします」でOK。多用すると恩着せがましい印象を与えてしまいます。

体調を崩さないようにお気をつけください

→健やかにお過ごしください
気遣いがあるように見えますが、相手が元気な人なら余計な心配になってしまうし、反対に体調を気にしている人だと暗い印象を与えてしまいます。思いやりのある、ポジティブな言葉に言い換えるのがスマートです。

してほしいこと、意見を伝える

仕事を頼む、言い分を聞いてもらう…。お願いする・主張するシーンでは、具体的&ポジティブな言い方に。思いやるスタンスも大切です。

ちゃんと、しっかり、徹底的に

→この作業は○○までやってください
細かい作業が求められる時などに使われる「ちゃんと」や「徹底的に」。強い言葉に聞こえますが、程度の感覚は人によって違います。どこまでやってほしいかを、具体的な数字や状態を入れて伝えることが肝要。

それはしないでください

→それはこうしてください
例えば「ドアを閉めないでください」と「ドアを開けておいてもらえますか」。同じ内容でも肯定形のほうが相手は受け止めやすくなります。部下の仕事のミスを指摘する時なども、否定ではなく生産的なアドバイスを。

このぐらいの仕事ならできるよね?

→この仕事をあなたにお願いしたいです
その人を見下したり試すような言い方は、相手の警戒心や反感を刺激してモチベーションも下げてしまいます。あなたを信頼しているからお願いしたい、と依頼したほうが、相手にも気持ちよく仕事をしてもらえます。

なるべく早めにお願いします

→〜までにお願いします
配慮のつもりがかえって相手を困らせてしまうのが「なるべく」「できれば」などの曖昧フレーズ。「今月末までにお願いします」などとはっきり伝えつつ、「難しい場合はご相談を」と思いやりも示せるといいですね。

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大野萌子さん メンタルアップマネージャ、産業カウンセラー。長年のカウンセリングや研修の経験から得た言い換え例が満載の著書『よけいなひと言を好かれるセリフに変える 言いかえ図鑑』(サンマーク出版)が、ベストセラーに。

※『anan』2021年10月6日号より。イラスト・ery 取材、文・新田草子

(by anan編集部)