PUFFY「“陰の者”ですからね(笑)」 大貫亜美、シルバニアファミリーにハマる

―― 10年ぶりにアルバム、その名も『THE PUFFY』をリリースされるわけですが、今回はどんな感じのアルバムに?
由美:……。
亜美:…実はまだレコーディングが終わってなくて…。フフフ(笑)。
由美:25年やってきましたが、できてないアルバムについてのインタビューは初めてなんです、すみません(笑)。
――まさかのまだできてない!!(笑) でもこの取材、8月頭ですから、発売の9月までまだ時間はあるはずです。で、タイトルはこれで決定で?
亜美:これを決めるのも大変でした。私たち、何かを決めるということがすごく苦手で…(苦笑)。最初はスタッフからユニット名と同じ『PUFFY』でどうか、と言われて、うーん、それは…って。
由美:その名前にしちゃうと、いかにも25周年のために作ったアルバムって感じで、それは私たちの意図とは違うなぁと。
亜美:別に集大成のつもりで作っていたわけではないしね。
由美:で、私たちの名前を決めてくれたのは、アメリカのバンド、ジェリーフィッシュのアンディ・スターマーという人なんですが、実は当初は、“THE”が付いてたんですよ。でも結局それがなくなって、PUFFYになった、という経緯もあるので、私は“THE”をつけたいって言ったんです。“THE”があることで、なんか、私たちのユルくふわっとやっている感じは伝わるとよいな、と。
――これぞPUFFY、と思うようなロックから、超ポップな感じまで、とにかくサウンドのバリエーションが豊富ですよね。歌詞もユニークで、ヒャダインさんの曲「パフィピポ山」は、デビュー曲「アジアの純真」へのアンサーソングみたいで面白いです。
亜美:こちらから特になにもリクエストはしていなかったのですが、この歌詞を読んだとき、私たちの活動をちゃんと見てくれて、それで書いてくれたんだな…と。もうこれが集大成と言ってもいいんじゃないかなってくらい、PUFFYな感じでした。
由美:PUFFYをすごく面白おかしく捉えてくれていて、絶対自分たちでは書けない歌詞だなぁって。歌入れのときも笑いが絶えなくて、レコーディングもとても楽しかったです。
――いろんな種類の曲調があるにもかかわらず、どの曲もすごくPUFFYらしさが溢れている。ご自身たちは、“PUFFYらしさ”とはなんだと思われますか?
亜美:やっぱり二人の声が合わさっている、ということが、一番の私たちらしさなんじゃないのかな。二人とも、それぞれ歌うと全然違う声なんですが、PUFFYで歌うときは、いわゆるみなさんがイメージするのと同じ〈PUFFY声〉を出すことにしているので、それだと思います。
由美:レコーディングも必ず二人でブースに入って、「せーの」で歌うんです。同時にユニゾンで。そのスタイルは昔から変わらない。
亜美:一緒に歌いながら、あぁこういう感じか、とか、ここは由美に寄り添って、こっちは亜美に寄せてって…みたいな感じで曲が出来上がるんですが、その亜美と由美の配分みたいなものが“PUFFYっぽさ”。25年間、それを培ってきたわけです。それがあるからこそ、どんなジャンルを歌っても大丈夫と思えるのかもしれません。たぶん昔のPUFFYだったら、ヒャダインさんにお願いするってことは、絶対なかったと思うんです、曲調的に。
――PUFFY声で歌うのは、やっぱり気持ちいいですか?
由美:え、わからない…。それ以外で歌ったことないから…(笑)。
亜美:ふふふ(笑)。
由美:でも単純に、2人組だから変わらなかったっていうのもあるのかも。もし歌い方を変えるとなったら、まずその提案をしなきゃいけないし、どの方向性に変えるのかの話し合いもしなきゃいけない。変えるほうが難しい。
亜美:うんうん。
由美:長く歌手をやっていらっしゃる方って、昔の曲を歌うとき、歌いなれているからこそ、ちょっとタメたりするじゃないですか。でも私たちは、タメれないんですよ、二人だから(笑)。タメたらズレるじゃないですか。
亜美:(笑)
由美:一人が上手ぶって歌うなら、もう一人も上手ぶって歌わないと、合わなくなっちゃう。そっちのほうがよっぽど難しい。だからこのスタイルのまんまなんです。
亜美:あと、みんなが求めているPUFFYは、そういうのではないと思うので、このスタイルでいいんだろうな、って思います。
――20代前半でデビューしたお二人は、今40代になられて、読者世代からするとお姉さん的な存在です。若い女子たちに、なにかメッセージがあれば…
由美:遊べるときに、めちゃめちゃ遊んでおけって思います。
亜美:あぁそうだねぇ。
由美:私たち、今は結構おとなしく過ごしているんですが、それは20代のときにすごく遊んだから、もういいかって思えるんですよ。もしあんまり遊べてなかったら「もっと遊びたい…」って思うと思いますが、もうそんな体力は残ってないので。
亜美:若いときは、10分寝れば体力回復してた。
由美:あの頃は全然寝なくても仕事できてたからね。もう今は、眠いことに我慢できない。
――二人でどんなことをして遊んでいたんですか?
由美:朝までずーっとゲームしてるとか…。
亜美:馴染みの焼き鳥屋さんで一升瓶を前に、ちびちび朝までお酒飲んだり…。
由美:やってることは地味でしたよ(笑)。朝までクラブとか、そんなおしゃれなことはできなかったなぁ。
亜美:我々、基本的には“陰の者”ですからね(笑)。
――では、最近夢中なことってありますか?
亜美:シルバニアファミリー…。
由美:えぇ~!? 全然興味ないわ。
亜美:小さい頃はお小遣いがなくてたくさん買えなかったから、娘が生まれたから嬉々として買い与えたのに、全然ハマってくれなくて。だから「私はシルバニアには縁はないのか…」って諦めてたんだけど、友達の3歳の子供がハマったみたいで、その友達が「こんなのが今流行ってる!」って見せてくれるんです。それで赤ちゃんシリーズにハマってしまって…。あれこれ買うと良くないから、「赤ちゃんしか買わない」「家は1軒まで」とかルールを決めて。今はその家に赤ちゃんを集めて、寮母として育てることに夢中です。
由美:……へぇ。
亜美:由美ちゃんは?
由美:やっと梅雨が明けたから、換気扇を洗おうかなって。
亜美:あ、昨日ボイトレの先生が、「由美ちゃん今日換気扇洗う言うてたで!」って言ってた。
由美:あとは庭の草取りして、蜘蛛の巣取って…。忙しい忙しい。日が暮れる前に帰らなきゃ。とりあえず今日も夕飯作らなきゃ。
亜美:えー、今日の夕飯なに?
由美:まだ決めてない。ていうかもう家でごはん作るの飽きました。早く大きな声で「生ビールください!」って言いたくない?
亜美:うん、言いたい~(笑)。
10年ぶり12作目のオリジナルアルバム『THE PUFFY』(ワーナーミュージック)が9/22に発売。ユニコーン、前山田健一(ヒャダイン)、生形真一、tofubeats、志磨遼平など豪華作家陣が楽曲提供&演奏を。初回限定盤AはオリジナルTシャツ付き、初回限定盤Bは25周年ライブを収録したDVDのおまけ付き!
パフィー 右・大貫亜美(おおぬき・あみ) 1973年生まれ、東京都出身。左・吉村由美(よしむら・ゆみ) 1975年生まれ、大阪府出身。’96年、奥田民生プロデュースによるシングル『アジアの純真』でデビュー。以降ミリオンヒットを連発し、アメリカでは二人を主人公にしたアニメが作られ、世界110か国以上で放送されるなど、国内外で活躍。
※『anan』2021年9月22日号より。写真・岩澤高雄(the VOICE) ヘア&メイク・中山友恵
(by anan編集部)