元乃木坂46・井上小百合「自分の殻を破るのに必要な作品」 中止となった舞台が再演

2021.8.30
『アラジン』などディズニー映画の音楽を手がけた、ハワード・アシュマンとアラン・メンケンが世に送り出したミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』。昨年、惜しくも途中で公演が中止となった今作の再演が決定! 主人公・シーモアが恋するオードリーを演じるのは、昨年、乃木坂46を卒業した井上小百合さん。並々ならぬ思い入れと熱い思いを持って挑んでいる。

女性にとっての幸せについて考えさせられる作品です。

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「昨年、乃木坂46を卒業する時に、けじめとして一つの舞台作品をやりたいという思いがあり、出合ったのが今作でした。本当は千穐楽に卒業する予定で…。だから、再演が決まった時は、素直に嬉しかったです。ミュージカルはこれまでに出ていたストレートプレイとは違い、喋るトーンのまま歌に入っていくところが難しい。前の公演の映像を見て、もっと過剰に表現しないと伝わらない部分があるとわかり、反省もしました。ただ、できないことに向き合うほうが燃えるタイプ。自分の殻を破るためにも必要な作品だと思うし、他の舞台で経験を積んだ分、ワンランク上のオードリーをお見せできたら。声をしっかり出せるように、体の使い方を変えたり、肺の周りにある筋肉を鍛えたりもしています」

演じるオードリーの第一印象は「キュートな女の子」。でも、演技を重ねるにつれ変化していったという。

「だんだんと彼女の中にある強みと弱みが見えてきたし、この作品が生まれてから現代まで変わらずにある、女性の社会進出の難しさや、その中での生き方をすごく考えている人だとわかりました。“女性と男性の幸せってなんだろう”というところが見えてくる作品だと思います」

W主演をつとめる鈴木拡樹さん、三浦宏規さんに刺激を受けることも。

「三浦さんは陰の努力家で、稽古場では飄々としているのにセリフを全部入れてきているし、歌の練習量がものすごい。鈴木さんは、稽古場で誰よりも真剣に共演者の動きを観察したりと探究心が強い。そんな二人を見ると身が引き締まります」

俳優の仕事に邁進する今が、「楽しくて仕方ない」と井上さん。

「私の演技を見て心が動いたり、辛いことを忘れて楽しんでいただけたという声を聞くと、自分が生きる意味はこれだと思えるんです。だから今、本当に夢みたいです」

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『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』 8月26日(木)~9月11日(土) 日比谷・シアタークリエ 脚本・歌詞/ハワード・アシュマン 音楽/アラン・メンケン 翻訳・訳詞・演出/上田一豪 出演/鈴木拡樹/三浦宏規、妃海風/井上小百合(共にWキャスト)、阿部裕、石井一孝、デーモン閣下(声の出演)ほか 全席指定1万1500円 東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777 https://www.tohostage.com/little-shop-of-horrors/ 花屋で働く冴えないシーモアは、「オードリーII」と名付けた奇妙な植物と出合い、人生が大きく好転する。でも、オードリーIIには恐ろしい秘密が隠されていて…。

いのうえ・さゆり 1994年12月14日生まれ。埼玉県出身。乃木坂46を卒業した後、『DISTANCE‐TOUR‐』『カチカチ山』『ID』などの舞台作品に出演。公式YouTubeチャンネルも人気。

※『anan』2021年9月1日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)