自分らしく生きていくためのヒントあり? “シン家族もの”エンタメ作品4選

2021.7.18
血縁や社会的役割を超えた関係性“シン家族もの”。ライターの小川知子さんがナビゲートします。

従来の家族制度に縛られない、“ゆるやかな結合”

近年、家族という概念を揺るがす関係性を描いたエンタメ作品が増えていると、小川知子さんは語る。

「安らげる関係であるはずだった家族が、夫婦だから、親だからといった固定観念によって息苦しさが生まれ、関係が行き詰まってしまった事例が、現実に多く存在します。しかし、与えられた社会的役割を一度解放してみたら、うまくいく場合も。また、戸籍上他人であっても血縁でなくても、支え合う自立した個々同士が、ゆるやかな形で集まった共同体を家族として捉えるという流れもあります。そんな既存の制約にとらわれず、多様な家族のあり方を描いた作品に、長い人生を自分らしく生きていくためのヒントがあるはず」

元夫たちとの距離感が絶妙。バツ3女性の日常を描く。

ドラマ:『大豆田とわ子と三人の元夫』

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3度の離婚歴があるヒロインを中心に、さまざまな結びつきを示した、今年の傑作。「結婚も離婚もハッピーエンドに関与していない。自分で選んだからこそ、その先に見えてくる景色もある。常識や契約に縛られない関係性のあり方が描かれています」。DVD‐BOX 2万5740円 11/5発売 発売元:カンテレ 販売元:TCエンタテインメント ©2021カンテレ

支え合って生きていく、女性ふたりの共同生活。

エッセイ:『女ふたり、暮らしています。』

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シングルでも結婚でもない、女性ふたりと猫4匹の暮らしを描いた韓国のエッセイ。「性格は違っても、自立していて、気も合うから、一緒に暮らすことで自由と心強さを手にできた。まさに理想の生活と関係性」。キム・ハナ、ファン・ソヌ著 CCCメディアハウス 1650円

ワンオペ女性が大黒柱妻に。社会のあり方を問い直す。

漫画:『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』

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夫と役割交替をし、妻が大黒柱として働いてみたら、昭和のお父さんに!? 「社会構造が役割を作っていて、我々もそれに結構とらわれている気がします。双方の立場を知る上で、役割を交替することの重要性を感じた」。田房永子著 エムディエヌコーポレーション 1320円

実父が出演し、話題に! 実体験を基にした家族の話。

舞台:ゆうめい『姿』

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脚本・演出を手掛ける池田亮さんの体験と、親族への取材に基づいて描かれた2019年の舞台で、今年5月に再演。「壊れかけた家族でも、足りなかったものを後から埋めていくことで、また新たな家族のカタチを作ることができると思える作品」。次回作『娘』は12月に公演予定。

小川知子さん 映画宣伝・配給会社、『ecocolo』編集部を経て、フリーに。現在は『GINZA』『花椿』などで執筆。

※『anan』2021年7月21日号より。

(by anan編集部)