めちゃ愛くるしい~! 構想6年の写真展『岩合光昭の世界ネコ歩き』

2021.5.31
2012年からNHK BSプレミアムで放送されている『岩合光昭の世界ネコ歩き』。世界中の愛くるしいネコたちの一瞬の動きや表情、ネコを通して見える素敵な世界は、9年間にもわたりネコ好きな人々の心を鷲掴みにしてきた。そのロケ中に撮影された写真209点を紹介するのが本展『写真展 岩合光昭の世界ネコ歩き』だ。

「本展は番組開始3年の節目から企画されていたもの。当館では美術館をより身近で楽しい場所だと感じてもらえる企画に力を入れているのですが、本展はその意図にふさわしく、6年間も練り上げ今年開催できる運びになったのです」(東京富士美術館学芸員・西野正恵さん)

動物写真家の岩合光昭氏は19歳の時に、父・岩合徳光氏に同行したガラパゴス諸島でその大自然を目の当たりにして父と同じく動物写真家を志し、1979年には「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。世界的に知られる『ナショナルジオグラフィック』の表紙を2度飾るなど、その作品は国内外で高い評価を得ている。大自然に育まれた野生動物の姿を追う一方で、人々の暮らしの傍らで飄然と逞しく生きるネコにも眼差しを向け、その何気ない一瞬をとらえた写真は、多くの人々の心を惹きつけてきた。

本展では、パリに始まり、欧州、アフリカ、南北アメリカ、アジア、最後に沖縄と世界15地域を取り上げ、ネコをテーマにほぼ地球を一周する構成に。これは番組で放送された地域の中から、視聴者に人気のあった地域や特徴的なネコ、岩合氏のお気に入りのネコが登場する地域が選ばれた結果だという。会場では各地の雰囲気に合わせた展示空間の演出にもこだわり、ネコを通じて土地の人や風景が楽しめる。さらに岩合氏のネコへの愛情を深く感じられるよう、ネコに向けて彼が語った印象的な言葉を各所で紹介する。

「ネコを美しく撮るためには背景となる土地の風土が大切。だから常に背景を気にしながら撮っている」と岩合氏。厳しい環境にあっても一生懸命生きようとする健気な姿、生命力の強さ、子育てに奮闘する母ネコの母性など、どんな情勢にも負けない世界のネコの姿は、見ている私たちを勇気づけてくれるはずだ。

たとえブタでも、私はあなたが大好き。

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グァランゲティ♂(生後5か月)とブタのローリー♀(生後6か月) ウルグアイ ©Mitsuaki Iwago

ハワイでバカンスを楽しんだ二匹の思い出。

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ラバ♀(2歳半)とイヌのスヌーピー♀ ハワイ ©Mitsuaki Iwago

夜市にも臆せず出かける招きネコ。

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台湾 ©Mitsuaki Iwago

アパルトマンからの景色がお気に入り。

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ソシソン♂7歳 パリ ©Mitsuaki Iwago

『写真展 岩合光昭の世界ネコ歩き』
東京富士美術館 東京都八王子市谷野町492‐1 6月1日(火)~8月29日(日) 月曜(8/9は開館)、8/10休 一般1000円ほか TEL:042・691・4511

緊急事態宣言延長にともない、6月1日(火)より当面の間、時間短縮の措置により、以下の時間で開館しています。詳しい情報は公式HPでご確認ください。

  • 開館時間:10:00-16:00(15:30受付終了)
  • 休館日:月曜日

※『anan』2021年6月2日号より。取材、文・山田貴美子

(by anan編集部)