SIRUP「恋愛話をして『そやねんな~』って言い合う感じも好き」

2021.3.30
「恋愛ソングは一生書き続けるでしょうね」と言うのは、R&B/HIP HOPをルーツにSINGとRAPを自在に操るボーカルスタイルで魅了するSIRUP。昨年から話題を集めているYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でも渾身の歌唱を披露した人気曲「LOOP」の〈君の小指のネイルだけにある/アートの意味を考えてしまう〉なんて描写も秀逸だ。

より研ぎ澄まされた体感でポジティブに見据えた未来を歌う。

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「あの歌詞は女の子の友達と喋っていた時に『小指だけに意味深なネイルをしてる子は結構、クセあるで』って話を聞いて。本当かどうかはわからないですけどね(笑)」

そんなエピソードも気さくに話してくれる彼が、待望のセカンドフルアルバム『cure』をリリース。

「2020年のコロナ禍を経て、自分自身がかなりアップデートされた感覚がありました。伝えたい言葉が明確になったぶん、サウンド面でもこだわりが出せた。いつもよりゆっくりなスケジュールで作れたこともあり、自信作です」

グルーブを失わないよう、常に「体感」を大事にした楽曲制作とFull Crate(オランダ)、ROMderful(イギリス)、Slom(韓国)、Yaffle、A.G.O、Shin Sakiura、starRo、Mori Zentaro(すべて日本)ら、国内外のプロデューサーたちとのコラボにより刺激的な作品に仕上がった。

「自分にはない価値観や文化を持つ人たちとコラボすることで、ひとりでは行けない到達点に連れてってくれる。でもいろんな国のプロデューサーとコラボしたのは、たまたまなんです。韓国のライブで共演したSUMINちゃんに参加してもらったり、インタビューで好きな日本のアーティストにSIRUPと答えてくれていたのを見てSNSで意気投合したROMderfulとか(笑)。縁のある人たちと、時にZoomでセッションしながら作りました」

浮遊感のあるサウンドに弾丸のようなラップが心地よい「Overnight」の他、「HOPELESS ROMANTIC」や「Online」など今の時代を生き抜くためのメッセージが込められた曲も。

「コロナ禍を通していろんな問題が社会で浮き彫りになって。自分はこれからも本当に音楽を続けていくのか? と考えたけど、やっぱり曲を作ってた。このアルバム制作を通じて音楽は自分のメンタルヘルス的に大事なものだと気付けたし、辛いこともあったけど今までの歪みを修正してるという意味では治癒だなと思い、アルバムのタイトルを『cure』にしました。自分が感じた気付きや学びを聴いてくれる人とシェアしたいし、僕の音楽を聴いている時はセーフゾーンに入ってる感覚になってもらえたら嬉しいです」

しかし冒頭の言葉通り、スイートでメロウな恋愛ソングも、引き続き大事なSIRUPの要素。

「みんなで恋愛話をして『そやねんな~』って言い合う感じも好きなんで(笑)」

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セカンドフルアルバム『cure』。心と体に効く、世界標準なダンスミュージックと熱量溢れるボーカルが交差する全13曲。【初回生産限定盤】CD+DVD¥4,500 CD+BD¥4,800 【通常盤(CD)】¥2,800(A.S.A.B)

シラップ 大阪府出身。変幻自在なボーカルスタイルが魅力のシンガーソングライター。2018年に発表した「Do Well」がTVCMソングに起用され注目を集める。’19年に1stアルバム『FEEL GOOD』をリリース。

※『anan』2021年3月31日号より。取材、文・上野三樹

(by anan編集部)