松岡茉優、憧れの大人は大泉洋!? 『騙し絵の牙』で共演

2021.3.30
崖っぷちの出版社を舞台に、裏切りやリーク、告発など、仁義なき騙し合いが繰り広げられる『騙し絵の牙』。その渦中で奮闘する、新人編集者の高野を演じた松岡茉優さん。
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「編集者の方って朝早くから夜遅くまで忙しいし、バッグが重い! 資料の本やゲラ、パソコン、筆記用具も何種類も持ち歩いていて…。大変な仕事ですよね。撮影中、高野のバッグを軽くしてください、とお願いすることもできたのですが、走る時に持ち替えたり、一回床に置くなど、この重さがあるからこその役作りができると思い、そのままにしました。純粋に文学を愛し、出版業界が衰えてほしくないという強い思いを持っていて、とにかく休まない人。そんな彼女の人柄を表現する上でも、必要な重さでした」

このような目には見えにくい演出をはじめ、松岡さんの役者魂を感じるエピソードはまだまだある。

「気をつけたのは、まだ若い彼女の文学愛みたいなものが、見る人に暑苦しく、やかましく感じてほしくないというところ。曲者揃いの中で、右も左も分からないままがむしゃらに突き進む女性ではなく、文学に真っ当に向き合いたいという信念を感じていただきたくて、落ち着いたお芝居を心がけていました。時には大胆な発言をする人でもあるんですが、それに行動が伴っているから強くてかっこいいんですよね。監督からは、出版業界の販売システムやルールが書かれた本を何冊か資料として渡され、それらを読んで勉強しました。高野の実家は書店を経営しているんですが、演じながら、書店が本を売るために自由に舵を切れるものでもないということも知ったり。本が好きでうっかり本屋に寄ると何冊も買ってしまう私にとっては、興味深いことばかりでした」

主演の大泉洋さんをはじめ佐藤浩市さんや木村佳乃さんなど、そうそうたるキャスト陣にも注目が集まる。

「最初は緊張から胃薬を持ち歩いていましたが(笑)、みなさん気さくで。私が知らない時代の撮影現場の話などを聞かせていただいたりと、長い待ち時間でも持て余すことがない楽しい現場でした。大泉さんは、屋上のシーンで直射日光を浴びていても『大丈夫? 眩しくない?』と自分よりも私を気遣ってくださる優しい方。視野が広く、場の空気感を敏感に察知して行動をされ、ユーモアもあって…まさに私のなりたい大人像なんです」

コロナ禍において、予定より遅く公開される今作への思いはひとしお。

「曲者揃いの登場人物たちの決断や勇気にきっと励まされるはず。新生活に向けて、一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです」

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『騙し絵の牙』 大手出版社で次期社長をめぐる権力争いが勃発する中、次々と現れる曲者たちが心理戦を繰り広げる。監督・脚本/吉田大八 原作/塩田武士『騙し絵の牙』(角川文庫/KADOKAWA刊) 3月26日より全国公開。©2021「騙し絵の牙」製作委員会

まつおか・まゆ 1995年2月16日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に映画『蜜蜂と遠雷』『ひとよ』『劇場』など。ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS)のDVD&Blu‐rayが発売中。

トップス¥135,000 スカート¥278,000(共にエトロ/エトロ ジャパン TEL:03・3406・2655)

※『anan』2021年3月31日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・山田梨乃 ヘア&メイク・伴まどか インタビュー、文・若山あや

(by anan編集部)