尾崎世界観、色気は「追求しすぎちゃだめですよ(笑)」

2021.3.26
目に見えるものではないけれど、“音楽”と“色気”は密接な関係にある。音から感じる匂い立つような色気の秘密とは、一体何か?

音楽も色気も言葉にしづらいもの。だからこそ相性がいいんだと思います。

Talent

色気と音楽。その2つに、共通項を見出している尾崎世界観さん。

「音は、なかなか言葉にしづらいし、語る必要がないものだと思います。また、色気も言葉にしなくても伝わるもので、逆に言葉にしづらいからこそ、人はそれを色気だと認知する。“これは説明するのが無理だな”という感情をそう表現することで、うまく折り合いをつけているというか。僕は世界観という言葉が嫌いだからこそ、自分に向かって言われないようにあえて名乗っているけれど、どこか、それと近いかもしれません。突き詰めることはできない一方で、すごく必要なことだし、人が感じる感情の中でも貴重なものですよね。だけど言葉にしづらいから、それを音楽で伝えるというのはすごく相性がいいと思います」

明確に言葉にはできないけれど、音楽における色気は、「演出できるものだと思う」と話す。

「ただ、演出されたものと、そうでないものとの違いはわかります。どちらの良さもありますよね。“こういうふうに思ってほしい”という気持ちがわかりやすく伝わりながらも、それに強く惹かれる場合があるだろうし。逆に、やっている本人は何も気にしていないのに、こちらが勝手に色気を感じ取ることもある。僕は、後者のほうに惹かれます。答えを提示されるより、嗅ぎ取りたいという気持ちがあるのかもしれないですね。完成品が送られてくるより、組み立てる部品が欲しいというか」

時に、ライブでの姿を見たファンから、色っぽいと言われることもあるという。でも、それは決して自身の色気ではないと否定。

「照明の力だと思います(笑)。光と音の関係はすごく大事で、照明次第で演奏がうまく見えたり、音が大きく聞こえたりもします。こんなことを言ってしまうと元も子もないんですけど、写真を撮ってくれる人や、衣装を着せてくれる人も含めて、スタッフさんの手柄です。だからこそ、そこからライブや映像で演奏をしている人を引き算した時に残っているものの一つが、音楽の色気なんだと思います。楽曲を作る時にも、色気を意識することはないですね。でも、あまりにも無自覚で、まったく気にしていませんというのはダサいし、嘘はつきたくないです。やっぱり、本当に1ミリも気にしていないのであれば、誰かに色気があると言われることもないと思うんです。そう思うと、『色気がある』と言われることは、自分では見きれていなかった部分や、コントロールしきれない表現を、他者に指摘してもらういい機会なのかもしれません。自分を新たに知るきっかけですね」

そうして正体を把握できなかったり、これだという明確な答えが見つからないものだからこそ、人に“知りたい”と思わせ、心を惹きつけ続ける。色気はそうして成立している。

「ぜんぶを理解しきれなかったり、見えないところにつながってくる感情だと思うので、なんでもネットで調べて見られる今の時代においては、すごく貴重な感情だと思います。きっと色気は、意識的に見なくていいものなんだと思います。だから、ananも追求しすぎちゃだめですよ(笑)。もしこれだという答えが出てしまったら、その瞬間になくなってしまうもの。それこそが色気ですから」

おざき・せかいかん 1984年11月9日生まれ。東京都出身。クリープハイプのボーカル、ギター。4月2日より全国を巡る「尾崎世界観の日 全国ツアー」を開催。発売中の最新小説『母影』は第164回芥川賞候補に。

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※『anan』2021年3月31日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・入山浩章 ヘア&メイク・谷本 慧 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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