薬膳スパイス×モチモチ麺で体ぽかぽか! 国内で食べられる本格“蘭州牛肉麺”

2021.2.21
フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『蘭州料理 ザムザムの泉』の逸品伝統牛肉麺です。
Food

中国料理のドキュメンタリーで蘭州牛肉麺を見たことがある。中国の西北部・甘粛省蘭州市の日常食で、いたる街角で人々が麺を啜っているのだが、あまりにおいしそうでいつか食べに行かねば……と生唾を飲んだ。でもその願いは今、広尾でも叶う。しかも現地でもなかなかお目にかかれないレベルのとびきりのクオリティで私たちを待っている。

蘭州牛肉麺を高級逸品料理の域にまで高めたお店、それが『ザムザムの泉』だ。2017年に西川口でオープンし、2021年の1月に広尾に移転オープン。蘭州出身でハラル料理歴30年のご店主・馬暁萍(マーシャオピン)さんと麺打ち職人の方が最強タッグで作り上げる蘭州牛肉麺は、着丼した瞬間から放つオーラが尋常ではない。透き通る牛骨と牛肉のスープ、赤く輝くラー油、緑鮮やかなパクチー、打ちたての平打ち麺。スープを啜れば奥深くもクリアな旨味と共に花椒や八角などの薬膳スパイスが咲き誇る。飲めば飲むほど寿命が伸びそうだ。作り置きしないモチモチの麺はのどごしまで心地よく、噛み締めた大根にはじゅんわりと出汁の旨味が染み込んでいて、丁寧な仕事にうっとりする。「化学調味料に頼らない自然で本当においしいものを作りたかったんです。なんのためって、何よりもまず自分たちが食べたかったから」と馬さん。そんなお料理信頼しかない。帰り道は胃袋がいつまでもぽかぽかと温かかった。

金城セット¥4,500には、逸品伝統牛肉麺に加え、蘭州開胃涼菜(優しく味わい深い野菜の前菜)、皮から手作りの牛肉水餃(3個)、蘭州甜品がつく。20食限定。スープには花椒や八角などたっぷりの薬膳スパイスが。スパイスの配合を季節で変え、冬は体を温める仕様に。

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蘭州料理 ザムザムの泉 東京都渋谷区広尾5‐8‐13 グランディール広尾1F TEL:03・6277・3460 ランチ11:00~15:00、ディナー17:00~20:00(土・日曜16:00~) 月~水曜休

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。

※『anan』2021年2月24日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)