実は日本人にも馴染み深い? “ネパール料理”をモダンダイニングで味わう

2021.1.27
レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『ADI(アディ)』のダルバートです。
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中目黒駅から祐天寺方面へ高架下を歩くこと5分。右手にネパールレストラン『ADI』が見えてくる。コンクリート打ちっぱなしのビル1F、引き戸を開けるとこれまで見た伝統的なネパールレストランの佇まいではなく、居心地のいいモダンダイニング。オーナーシェフのアディカリ・カンチャンさんと妻の明日美さんは、コロナ禍の苦難にも負けず、店を持つという第一目標を実現した。

それにしてもネパール料理の特徴とは? 「ネパール料理はインドと同じで、カレーがベースなんでしょと言われてびっくりした。確かにクミン、コリアンダー、ターメリックはネパールでよく使われるけど、味わえばその違いがすぐにわかるはず」とシェフ。土・日の昼のダルバート(豆のスープとご飯におかずを加えた定食)は、スパイス料理(これがカレー)2種、サラダ、スープに野菜の漬物や酢漬けなど。スパイシーだが決して辛くない。青菜を発酵させたグンドゥルックなどは日本人にも馴染み深い発酵食だ。「目標にしている料理人は? 将来の予定は?」と質問したら、素晴らしい答えが返ってきた。「ブラジルのアレックス・アタラシェフ(注1)。彼を見習って、将来はネパールに戻って地元の素材でガストロノミーを表現したい」。そこには日本での経験も活かされるはず。新しいスターシェフが新しい食文化を創るのだ。

注1:サンパウロのレストラン『D.O.M.』オーナーシェフ。アマゾン流域の生態系を守るために世界中の料理人にその現状を伝え、原生林の保護、素材の再発見などに貢献しながらブラジルの食文化を世界に広めている。

週末ダルバートランチコースはノンベジ、ベジ各¥2,500。写真はノンベジ。メニューは週替わりでスパイス料理2種(この日はチキンとエビ)、スープ、サラダに野菜の漬物や酢漬けなど。中央の米は、ハラリとしたバスマティライスともっちりした日本の米のブレンド。もともとシェフはベジタリアンだったが、来日時とんかつを食べて、その美味しさに感動してノンベジに転向! そんな話を聞いたら「このシェフは優先すべき味がわかっている」と嬉しくなった。

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ADI 東京都目黒区上目黒2‐46‐7 TEL:050・3184・4491 ランチ11:30~15:00(14:30LO)、土・日曜は11:00~/12:30~/14:00~の予約制、ディナー18:00~/20:30~(水~土曜) 月曜休 2月17日までランチ営業のみの予定

いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。

※『anan』2021年2月3日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子

(by anan編集部)