声優・蒼井翔太は「多くの占い師より遥かにすごい」 鏡リュウジが太鼓判!

2020.12.15
ステイホームの影響もありタロットが密かなブーム。タロット好きで、動画配信でリーディングもする人気声優・歌手の蒼井翔太さんと、タロット界の第一人者である鏡リュウジさんが、タロットの魅力について語ります。

セーラームーンの影響で、タロットに魅せられて。

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鏡さんはタロットに関する著書も多い、その世界の第一人者。そんな鏡さんが「この人のタロット占いはすごい」と一目置く蒼井さんがタロットを始めたのは約1年半前。

――蒼井さんがタロットに興味を持ったきっかけは?

蒼井:小学校低学年のとき『美少女戦士セーラームーン』のアニメで占いの館に行くという回があって。タロットカードがふわっと立ち上がるシーンを見て、タロットって不思議だな、すごいなと思ったんです。でも興味はあるけど少し怖いなというイメージがあって……。関わったらなんか大変なことになるんじゃないかという妄想から、手を出さずにいました。

鏡:ミステリアスでダークなところが、タロットの魅力のひとつですよね。実際は怖いことなんて何もないんですが(笑)。

蒼井:その後、RPGゲームのキャラクターがタロットで戦う姿に惹かれて。それで秋葉原の『魔術堂』で購入したのが、「インフルエンサー」という綺麗な絵柄のカード。占う前に、まずはどんなカードがあるのか一枚一枚をずっと眺めて、78枚のカードの意味を全部ノートに本から書き写したりしてました。

タロットと対峙すると、自然と言葉が浮かぶ。

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――今はどれくらいの頻度で占っているんですか?

蒼井:カードには毎日触ります。夜寝る前、目についたカードを手に取って一枚一枚じっくり眺めたり、もちろん占うときも。声優のオーディションってひとつの作品で4役受けたりすることもあるんですけど「今日受けたオーディションでどの役が受かる可能性が高いか」とか、そういうのを“一枚引き”でお遊びで占ってみたり。

鏡:この前、実際に占ってもらったんですけど、蒼井さんは変な話、多くの占い師さんより遥かにすごい。一枚一枚を眺めるっておっしゃいましたけど、カードへの愛情や理解が深い。それと、自分の心の中を常に内観されていると思うんですよ。だからカードを見たときにインスピレーションがすごく湧き上がる。タロット占いで陥りがちなのが、カードの意味を暗記して、それを無理やり繋げるような棒読みリーディング。でも蒼井さんはそれが一切ない。相手の話や状況をよく聞いたあとカードを並べて、ひと呼吸置いてその間に湧いたイメージと、占う相手へのモニタリングをして自然に結びつけた言葉の選び方が、本当に素晴らしいんです。

蒼井:語彙力ないんですよ、僕。小学校から不登校だったし。でもタロットと対峙してると、自然と言葉がイメージで浮かんでくる。カードの意味をノートに書いたと言いましたが、実際占ってみると書いた単語は出てこなくて別のところから湧いてくる感じ。僕にとってタロットはコミュニケーション方法のひとつで、僕ひとりが解釈して伝えるより、目の前の相手と一緒にタロットを見ながら答えを探していくやり方。言い切られたほうが、占ってもらう方は気持ちがいいとは思うんですけどね。

鏡:でもそれがタロット占いの理想型だと思うな。プロとして鑑定している方は、それができないことが多い。占いはズバッと当てるものだという期待のプレッシャーに負けて「答え」を出したくなっちゃう。例えば相談者が「結婚できますか?」と聞いたときに、「できます」って言ってあげたほうが楽だけど、そこでイエス・ノーと言い切らない胆力をつけることが大事。

――タロット初心者が占いを上達させるコツはありますか?

蒼井:本でもYouTube動画でもいいからたくさん触れて、その中でいいと思う人がいたら、その人の占いをいろいろと見てみるのがいいんじゃないかな。

鏡:体系的な占いの中ではタロットっていちばん新しいんですよ。だから覚えなきゃならないことなんて本当は一切ないので。好きなカードを買って好きなように占えばいいんです。

蒼井:あとはやっぱり、一枚一枚カードを見ること。体調が毎日変わるように、カードもその日によって見え方が違う。だから本を読む前に一度カードを眺めて「この絵はこんなふうに見えるな」という自分なりの解釈をしてみる。その上で本と照らし合わせて違っても、カードに対する解釈がひとつ増えたと思えばいい。そうやってカードに対するイメージを増やしていってほしい。あとは解釈を膨らませるためにいろんな漫画やアニメ、映画を見て、知識を蓄える。

鏡:昔、チャールズ・ハーヴェイという有名な占星術師の授業で「なるべくたくさんのいい小説と舞台と映画を体験しなさい、そこに面白いことが詰まっているから」と言われたんです。蒼井さんと全く同じ。そうやって自分の中の引き出しを増やすと解釈に柔軟性が出ますよね。

――タロットから影響を受けたことって何かありますか?

蒼井:タロット一枚の絵でもいろんな解釈があるように、例えば嫌なことがあっても、前に進むための壁なのかもしれない、とひとつの出来事を多面的に見られるようになりました。

鏡:それがタロットに限らず、占いの最大の効能かも。状況を「愚者」の立場から見たら、「皇帝」の立場から見たらどうだろう、と様々な角度から見られるようになる。タロットは、物事を見るレンズのひとつなんです。

あおい・しょうた 8月11日生まれ。中性的な容姿と透明感のある声で人気の声優、歌手。2021年1月8日公開の劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』〈前編〉ではフィッシュ・アイを演じる。ジャケット¥45,000(SHAREEF/Sian PR TEL:03・6662・5525) カットソー¥12,000(ADANS/Sakas PR TEL:03・6447・2762) パンツ¥36,000(CoSTUME NATIONAL/コスチューム ナショナル 青山店 TEL:03・4335・7772) ネックレス¥30,000 リング¥30,000(共にJOHAN SILVERMAN/TEENY RANCH TEL:03・6812・9341) 靴はスタイリスト私物

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かがみ・りゅうじ 心理占星術研究家、翻訳家。英国占星術協会会員でもあり、占星術のほか、タロット関連書籍も手掛けている。著書に『タロットの秘密』(講談社現代新書)など多数。

※『anan』2020年12月16日号より。写真・ティム・ギャロ スタイリスト・ヨシダミホ ヘア&メイク・山本隆太 取材、文・さかいもゆる

(by anan編集部)