甘いものが好きな人は要注意!? “手足の冷え”予防法

2020.11.28
憂鬱な時期を、体質別養生で快適に。中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「末端の冷え」です。
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今や冷えは通年のトラブルですが、やはり冬の寒さは別格。今年も、手足が冷たくてつらいという悩みが女性からたくさん寄せられるようになりました。本格的な寒さが始まる前に、養生法をチェックしておきましょう。

末端の冷えには、3つの原因が考えられます。まず、血が何らかの理由でドロドロになる「お血(けつ)」。血液が手足に届くのに時間がかかり、途中で外気に熱が奪われてしまいます。血自体の質の悪さに加えて、西洋医学でいうところの血管の硬さもこのお血の一環。いわゆる動脈硬化と呼ばれるものですが、これは必ずしも高齢者だけのトラブルとは限りません。若い世代、とくに甘いものが好きな人は要注意。過剰な砂糖はヘドロ様の「痰湿(たんしつ)」を生み出して血管を弱らせ、血液も濁らせてしまいます。甘くて温かいラテは寒いときにおいしいものですが、砂糖の摂りすぎにはくれぐれも注意してくださいね。酒粕や味噌、甘酒など血の巡りを良くする食材や、痰湿を取り除く豆類や玄米、大根なども食養生として取り入れましょう。

時には「完璧」を忘れてのんびり、が冷え解消に◎。

冷えの原因として次に挙げられるのが、体を温める「腎(じん)」の働きの低下です。これまでも何度か出てきましたが、腎の本拠地は腰のあたり。手足が冷たいときも局所だけに気を取られず、腰まわりを温かくすることを心がけてください。山芋や銀杏、牡蠣などは、「補腎(ほじん)」の働きがあって今がちょうど旬の食べ物。こちらもおすすめです。

そしてもうひとつ、冷えの大きな原因が、気の巡りが悪くなる「気滞(きたい)」です。気には血や水などとともに熱を体中に巡らせる役割もあり、その循環が悪くなると当然、末端が熱不足に。気が滞る一番の要因は、おなじみのストレスです。とくに何ごとにも真面目に取り組む人ほど、ストレスから受ける影響は大。気滞と冷えを防ぐ、メンタル面での養生を心がけましょう。

気は、伸び伸びとした状態を好みます。「~ねばならない」という考え方は体の内外に壁を作り、気が循環するスペースを奪ってしまいます。大切なのは、自分を開放すること。週に1日は、完璧じゃなくてもいいと開き直って過ごす日を作りましょう。お風呂にのんびり入るのもよし、好きな映画を観倒すのもよし。冷え解消には、リラックス。これを忘れないでくださいね。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年12月2日号より。イラスト・momokoharada 文・新田草子

(by anan編集部)