岡崎体育、「ゴミ屋敷」ができるワケに思い至る 音楽制作の現場を明かす

2020.10.13
岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「やる気」です。
Okazaki

制作期間が続いています。やらないといけないことが増えれば増えるほど、すべてのことができなくなるってありませんか? 大きく気になることがひとつあると、友達へのメールの返事も、洗濯機を回すのもできなくなる。悪循環です。やりさえすれば、2~3分で終わることもあるのですが、どうしても実行に移せない。ああ、こうやってゴミ屋敷って生まれるんやなぁと思います。みなさんは、そういうときどうやって“やる気”を出していますか? 僕は、やる気が出ないときは、とにかく寝るしかないなと思って、とりあえず寝てしまいます。

音楽家の作業として、どこでやる気が停滞してしまうかというと、人によってそれぞれあると思いますが、僕の場合はいつも最初の最初で悩みます。着想がとにかく大事なので、アイデアさえ思いつけばそのあとはオケをつけるとか、肉付けする、歌詞を書く作業は、スルスルと軌道に乗るんです。でも、このアイデアを出すというのが本当にしんどい。ネタ曲を得意としているので、どなたかの依頼を受けるときも、ちょっと変わったひねったテーマをいただくことが多いです。まあ、たいてい無茶振りです。「こんな、あるあるできますか?」とか「こういうものをいくつかオムニバスで構成してほしい」とか。そういうときって、なぜか打ち合わせでは「できそうっすねー」と答えてしまうのですが、家帰ってから「え、あれ、どういう意味?」となることが多く、時間がかかります。そして、僕はソロアーティストなので、要求がどんなに難しくても自分ひとりで考えてアイデアを出す必要があります。レコード会社やマネージャーなど僕のチームとして働いてくれるスタッフはいますが、さすがに曲は書いてくれない。だから、ここは踏ん張って僕がひとりで乗り越えないといけないんです。

やる気が出ないとしても締め切りはやってくるので、日々がんばっています。ここ最近、岡崎体育名義でのリリースはないですし、ライブもほぼない。だけど水面下でいろんなプロジェクトが進んでいて、それぞれに対してやる気を出そうと寝て、起きて…としていますのでそれはわかってほしいです。でも、納期に追われながら、ひいひい言いつつ作業をしていると、僕も本物のミュージシャンになったものだな…とあらためて実感できて、辛い半面ちょっとうれしくもあります。

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※『anan』2020年10月14日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)