まさにフワちゃん!? “想定外”な人がウケる時代に!

2020.9.24
熱狂を生み出す最新キーワードを通して、今みんなが夢中になっている人、モノ、作品が“心を惹きつける理由”について考えます。

若者の間でヒットを生むのは、いかに“リアル”かどうか?

恋愛を中心としたリアリティショーが、若い人たちに圧倒的人気のコンテンツ。『バチェラー・ジャパン』シリーズや『オオカミ』シリーズ、また『Nizi Project』など、とにもかくにも、“リアルであること”がとても大事。「今の若者は、SNSをはじめ、インターネットで情報をたくさん取得できるようになり、現実的な思考の人が多いんです。“そんな状況、ありえない”と感じてしまう作品よりも、設定がリアルな作品の方がより共感できるため、ヒットに結びつきやすい傾向にあります。また、作られた芸能人の姿ではなく、普段見られないオフの様子が見られるコンテンツも人気。舞台裏や自宅動画など、切り取られたリアルの中に共感を見つけることで、有名人を身近に感じられるんです。本音の部分が見えることが重要に」(電通若者研究部代表・古橋正康さん)。

10月放送予定の“女性版バチェラー”『バチェロレッテ・ジャパン』も、今からブレイクの予感!

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©2020 Warner Bros. International Television Production Limited

「失われた時間」にしたくない! 自分磨きに繋がるコンテンツが人気に。

つい、ダラダラと過ごしてしまいそうなおうち時間も、自分磨きのために利用する、という人が増加。おでかけしづらいご時世であっても、美に関するコンテンツ需要が高まっているそう。「外出自粛期間を経て、若者たちの美容に関する意識がグッと高まったように思います。特に学生ほど、この度の外出自粛期間を“失われた時間”と強く感じる人が多く、学生時代という青春時間の価値の高さが鮮明になりました。それゆえ、ついだらけてしまいがちな日々に危機感を覚え、この機会に自分磨きをする人が増えたのです。内面的な自分磨きはもちろんですが、オンラインジムでトレーニングをする人も目立ちました。中国メイクや地雷メイク、クラウドメイク、マスクメイクなど、メイクレッスンに関する関心も多くあるうえ、メンズ美容の需要も。また、スッピンもしくはメイクが薄くても可愛く見えるメガネ=メーキャップメガネが流行しているようです」(古橋さん)

仕掛けるのは業界じゃない! 想定外の人がヒットする。

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マスコミ側がマーケティングして仕掛けた人やコンテンツに世の中が沸く、という図式はもう古い!? 「みんなヒットの法則に乗っかった定番に飽きていて、想定外なものがウケる世の中になりました。フワちゃんなんて、まさにそう! 最初マスコミの人たちは、とんでもないのが出てきちゃった、どうしよう…と思ったようですが、むしろ視聴者側が彼女を褒め始めた。こういった新時代のセンスを持った人に飛びつくのは、まず10代。私たちは、熱狂を生むセオリーが変わる、ターニングポイントにいるんだと思います」(オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさん)。

「また、人気のYouTubeを見ていると、ちょっと挑発的に思えるくらいの動画が若者にウケている印象です。悪ノリはだめ、という風潮の中で、テレビじゃやれないようなことをしている、というのがカッコよく映ることも。ある種、昔のロックバンドに憧れるような感覚で熱狂を生むのだと思います」(ライター・藤谷千明さん)

古橋正康さん 2010年、電通に入社。「若者=最初に新しくなる人」から世の中の新たな変化の兆しをいち早く捉えることに興味を持ち、「電通若者研究部(ワカモン)」に参画。’20年からその代表に就任。

よしひろまさみちさん オネエ系映画ライター、編集者。本誌のエンタメページをはじめ、数多くの女性誌や情報誌で執筆や連載を手がける。日本テレビ系『スッキリ』では、月1回の映画紹介も担当する。

藤谷千明さん ライター。さまざまな雑誌で執筆を担当中。著書に『すべての道はV系へ通ず。』(共著・シンコーミュージック)、『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)などがある。

※『anan』2020年9月30日号より。写真・内田紘倫(The VOICE/フワちゃん)

(by anan編集部)