賀来賢人「お客さんを意地でも笑わせたい」 『SPAMALOT』での挑戦

2020.9.21
福田雄一さんの上演台本・演出によって’12年、’15年に上演した『モンティ・パイソンのSPAMALOT』が、主演に山田孝之さんを迎えて帰ってきます。同作にランスロット卿役で出演する賀来賢人さんが、作品にかける意気込みについて話します。

どこまで自分の笑いが通用するか、挑戦し甲斐のある役をいただけて嬉しいです。

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数年前、福田さんと、もし『SPAMALOT』を再演したらっていう話が出た時に、「やるならランスロットがやりたい」って言っていたんです。初演では、ランスロット役の(池田)成志さんがとんでもなく面白くて、完全に劇場を支配している印象がありました。その時の僕は、舞台の経験もほぼなく、まだ喜劇っていうものが何かもわかってない状態。さして考えもせずに本番に出たら、みんなはドッカンドッカンウケているのに自分だけウケなくて、すごくショックを受けました。でも何が違うのかもわからない。先輩たちに教えてもらうと、ひと呼吸空けるとかほんのちょっとのことなんですよね。その通りやってみると、ウケたりする。笑いって偶然できるものじゃなく技術なんだと知って、その難しさと面白さにもっと挑戦してみたいと思うきっかけになりました。

いまは、お客さんとの勝負という感覚です。日本人って笑いに厳しい方が多い気がするんですよ。劇場で斜に構えて観ている人がいますけど、そういうお客さんを意地でも笑わせたいし、それが達成できた時の気持ちよさはあります。ランスロットは作品に欠かせない存在ですし、どこまで自分の笑いが通用するか、挑戦し甲斐のある役をいただけて嬉しいです。終始ずーっとくだらなくて、そこに素敵な楽曲があって、ベタベタなボケだけじゃなく、ナンセンスとかシュールとかいろんな笑いが入った作品。ミュージカルを知らない人、むしろ苦手意識がある人こそ、面白い作品なんじゃないかと思います。

大切にしている言葉

20代の頃は、落ち込んだり悩んだりした時にウルフルズさんの「笑えれば」という曲をよく聴いていました。よく行くお店で流してもらったりしていたんですが、「とにかく笑えれば 最後に笑えれば」という歌詞に励まされて、救われたことが何度もあります。いまも落ち込むことはありますけれど、家族がいますし、それだけで救われることが多いです。家に帰れば自然と気持ちが切り替わるし、ひとりで抱え込むこともなくなりました。

かく・けんと 1989年7月3日生まれ。東京都出身。主演映画『今日から俺は!!劇場版』が大ヒット公開中。12月11日公開の映画『新解釈・三國志』にも出演。放送中のドラマ『半沢直樹』への出演も話題に。

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM(R)とは? 2021年1月より、東京、大阪、福岡で上演。ナンセンスな笑いで人気を博したイギリスのコメディグループ、モンティ・パイソン。彼らが手掛けた映画を、メンバーのひとりエリック・アイドルらが自ら“パクって”ミュージカルを制作。’05年にトニー賞最優秀ミュージカル賞を受賞した作品で、日本では福田雄一さんの上演台本・演出により’12年、’15年に上演。今回が再々演となる。

※『anan』2020年9月23日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES

(by anan編集部)