水野美紀、KERAの新ユニット旗揚げ公演に出演 最近“辛いこと”とは?

エンタメ
2020.09.05
何気ない会話に思わずクスッとしたりニヤリとしたり。ナンセンスでシュールな笑いを紡ぎ出す劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)さん。そのKERAさんが女優・緒川たまきさんと共に、新ユニット「ケムリ研究室」を立ち上げた。旗揚げ公演の『ベイジルタウンの女神』に出演するのは、いまやすっかりKERA作品の常連女優となった水野美紀さん。

「針の穴に糸を通す難しさ。だけどすごく楽しいです」

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「10数年前に初めてKERAさんの舞台を観た時、頭では何がどう面白いのかわからないのにすごく面白いという体験をしたんです。この面白さをちゃんと理解したくて、KERAさんが影響を受けたという別役実さんとか、その別役さんが影響を受けたベケットにまで興味が広がって、その周辺の本をいっぱい読みました。シュールな笑いの歴史と奥深さを知って、さらにハマりました(笑)」

しかし、その水野さんをして、会話の微妙な間のズレや空気感で笑いを起こす作品は、まるで「針の穴に糸を通すような感覚」とか。

「とにかく細かく計算してセリフが書かれているから、脚本を読むだけでも十分面白い。でも本当のすごさは、文字以外の透明なところにあるんですよね。たとえば、子供っぽいキャラクターのセリフに『相手にバレてないと思っているんだけれど、無意識に心が大きく動いて、それが表に出てしまう感じで』と演出をつけられる。すっごい繊細なところまで大事にされて作り込んでいる。ちょっとした声の音量やトーンでニュアンスがガラッと変わって、面白さが蘇ってこなくなることもあるので、毎回がすごいプレッシャーです」

それでも「やっててすっごい楽しいですよ」と笑顔を見せる。いまやすっかり“演劇人”だ。

「たぶん、自分の本来の資質には舞台が合うんだと思います。でも2か月近くコツコツ稽古して本番をやると、今度は映像の作品も楽しくなる。映像は瞬発力が必要な現場ですが、意識しなくても体に染み込んだものが感覚的に出せるようになっていて、舞台で鍛えられてるんだなと」

近頃はドラマ『浦安鉄筋家族』などでの振り切った演技も話題だ。

「監督の意向にもよりますが、毎回台本をいただいてから、これをベースにどれくらい遊べるかを考えるようにしています。頭の中で練って、リハーサルでいろんなパターンを出してみる。それも舞台で培ってきたもの。ただ最近、“面白くしてくれるんでしょ”っていう現場の無言の期待を感じて、それが辛い。まあ自分で蒔いた種なんですけれど(笑)」

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ケムリ研究室 no.1『ベイジルタウンの女神』 上流階級の家庭に生まれ育ち、現在は大企業の女社長を務めるマーガレット(緒川)。貧民街の再開発計画を進めていた彼女は、ひょんなことからそこで暮らす羽目になってしまい…。9月13日(日)~27日(日) 三軒茶屋・世田谷パブリックシアター 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/緒川たまき、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子ほか S席1万2000円 A席8800円ほか(すべて税込み) キューブ TEL03・5485・2252(月~金曜12:00~18:00) https://www.cubeinc.co.jp 兵庫、北九州公演あり。

みずの・みき 1974年6月28日生まれ、三重県出身。ドラマ『踊る大捜査線』シリーズで注目され、数々のドラマや映画で活躍。2002年に劇団☆新感線『アテルイ』で初舞台を踏む。現在放送中のドラマ『真夏の少年~19452020』に出演。

※『anan』2020年9月9日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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