清原果耶、桃井かおりの“すごさ”を語る「居住まいに圧倒されていた」

2020.9.6
この春、高校を卒業した清原果耶さん。女優デビューとなった『あさが来た』の女中・ふゆ役でのピュアさ。2017年の映画『3月のライオン』のひなた役で見せた強さと儚さ。そして’18年のドラマ『透明なゆりかご』では、揺れ動く感情をその瞳や佇まいで表現してみせ、作品に厚みを加えた。ここから活動を本格化し、どんな姿を見せてくれるのか。いま一番楽しみな女優であることは間違いない。
kiyoharakaya

――初主演映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』では、学校や家族に恋といったさまざまなことに悩む14歳の主人公つばめを演じています。つばめは、星ばあという不思議な老人と知り合って成長していきますが、この作品を読まれた時、どのように感じられました?

撮影は去年の夏、17歳の時だったんですが、3年前に自分も14歳を経験していますし、その年齢ならではのモヤモヤが物語の中に描かれているんですよね。その年齢の頃って、些細だけれど自分の中で大きな悩みごとを抱えていたり、周りに理解されないもどかしさを感じていたり。私自身もそうだったので共感はありました。脚本を読んだ時は、つばめと“星ばあ”との取っ組み合いみたいな掛け合いが印象的で、楽しみだなと思ったのを覚えています。

――実際、星ばあ役の桃井かおりさんとのお芝居はいかがでしたか。

この作品が決まってから、周りの方やスタッフさんに「桃井さんとお芝居できるなんて幸せものだね」って言われていたんです。役者としても人生の上でも大先輩ですし、私が見ていない景色を何百倍もご覧になっている方。現場での居住まいに圧倒されていましたね。でも、桃井さんのエネルギーをもらって頑張れたシーンがありましたし、たくさん助けてもいただきました。桃井さんは、ひとつのシーンでも、こう動いたら面白いんじゃないかっていうアイデアを次々と現場で出してくださるんです。星ばあっていう存在をご自身の中で固めすぎず、いろんなやり方をされて、そこで掴んだもので作り上げていくというんでしょうか。その想像力をご自身で実践してみせてくださるのがすごいと感じました。

――そういう桃井さんの芝居を見て、清原さんは燃えるほう?

桃井さんの出してこられるいろんなものに応えられるのが一番いいなと思っていたので、私が返せる球は全部出し惜しみせずに投げたいとは思っていました。返せていたかはわからないですが…。

――藤井道人監督からは、こう演じてほしい、というようなオーダーは何かあったんでしょうか。

監督は、あえてあまり細かい説明はせずに、私がつばめとして思ったように動けるように導いてくださっていた気がします。ただ、演じていくうち、自分の中でこのセリフが言えないって立ち止まることが増えた時があって。藤井監督は、その都度細かく確認してくださるので、ひとつひとつ相談させていただいて、お互いに案を出し合いながら、納得する形で作っていけた気がします。

納得して現場に向かいたいから、しっかり悩みます。

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――こうして話していても感じるのですが、実年齢より大人っぽいと言われること…多いですよね。

そう…ですね(笑)。もともとあまりテンションが高いほうではないので、落ち着いているように思われるんじゃないのかなと思います。でも、雑誌で仲のいい同世代の子たちと一緒になったりすると、楽しくてテンションは上がりますし、中学生の頃はワイワイしていましたよ。

――落ち着いた役が多いので、そのイメージもあるんだと思います。役を演じられる時は、どのような手順を踏んで役をご自身の中に入れていかれるんでしょうか。

そうですね…まずは脚本をとにかく読み込むことでしょうか。そこから役にまつわることを調べて、脚本の中で違和感や疑問を感じる部分があったら、その原因を突き詰めて、役としてのベースは考えておくようにしています。あとは、衣装合わせとか、現場に入って、共演者の方とお会いしてからですね。実際にやってみると、ここは差し引いたほうがいい、足したほうがいいと思うことが出てくるので、監督と相談してそこは明確にしていくようにしています。

――今回、つばめを演じる時に大事にしていたことはありますか?

この物語を生きていく上で、つばめとして嘘をつかないことを一番大事にしていました。つばめは、星ばあだったり家族だったり周りの人に心を揺さぶられたり動かされたりする、受け手側の人間。だから同じシーンを演じていても、その都度感じることが微妙に違ったりするんですが、さっきはこうだったという決め事は作らず、毎回思ったことを素直に表現するようにしていました。それがつばめとして表現することなのかなって。

――リアルな感情を大事に、というのはどの役も同じですか?

全部、どの役もです。私自身が自分の気持ちに嘘をついて誤魔化して演じていたりすると、結局うまくいかないことが多いんです。本当は全部を自分の素直な感情でできたらいいんですけれど。

――時には実年齢よりも上の女性を演じることもありますし、自分が経験していないことを演じる場合もありますよね。

わからない時は調べたりしますが、それでも理解できないこともあります。でもそういう時、現場に入って周りの皆さんの作り出す空気に助けられて腑に落ちていくことも多いです。ただ、もともと悩む性格というか、考えちゃうほうなんですよね。それでも極力自分で納得して現場に向かいたいので、しっかり悩みます。

きよはら・かや 2002年1月30日生まれ。’15年のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビュー。その後、映画『3月のライオン』、ドラマ『透明なゆりかご』『螢草 菜々の剣』『俺の話は長い』など話題作に次々出演。出演映画『望み』『まともじゃないのは君も一緒』『砕け散るところを見せてあげる』『ジョゼと虎と魚たち』『護られなかった者たちへ』など公開待機作多数。

清原さん初主演映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』は、9月4日(金)公開。恋や学校、家族と悩みの尽きない14歳のつばめ(清原)の前に、ある日、派手な装いの老婆(桃井かおり)が現れる。いつしか彼女は、星ばあとしてつばめの相談相手になるが…。Coccoが作詞・作曲・プロデュース、清原さんが歌う主題歌『今とあの頃の僕ら』も発売中。(カラフルレコーズ/ビクター)

※『anan』2020年9月9日号より。写真・来家祐介(aosora) スタイリスト・小谷雄太(UM) ヘア&メイク・面下伸一(FACCIA) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)