「集中力がない」と悩む人へ “モチベ持続”のためにやるべき6つのこと

2020.2.9
「ようやくやる気になったのに、5分と集中できない…」。そんな事態はできれば回避したいもの。途切れがちなモチベーションをキープするためのテクニックを、サイエンスライター・鈴木祐さんが伝授。

自己効力感(できるという気持ち)を持つ。

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“自己効力感”とは、「難しいことでも自分はやり遂げられる」「自分はできる人間だ」と自然に思える心理状態のこと。集中力を高めるためには、まさに自己効力感が不可欠という。「逆を言えば、この感覚が持てないと簡単なことでも難しく感じてしまい、モチベーションを保つことができません。“自分は自己効力感が低い”という人に必要なのは、達成感を味わうこと。どんなに小さなことでもいいので、自信につながる成功体験を増やしていくことが肝心です」

8割を目指す。

自己効力感を高めるには、取りかかるタスクを自分にとって最適なレベルに設定する必要がある。たとえば、100点満点のテストなら80点を狙えるレベル、10個のうち8個が完了できるTo Doリストのように、「8割を目指せるタスク」だと達成したときの手ごたえはもっとも大きくなるといわれている。タスクが難しすぎて歯が立たなかったり、逆に簡単すぎて達成感を味わえないと、かえって集中力は失われてしまう。

記録する。

「できたこと」をすべて記録するのも効果的。普段なら忘れてしまうような何気ない行動も記録をとることで可視化され、「意外と自分はできるんだ」とポジティブなマインドを持つことができる。PCやスマホのアプリ、手帳など、記録の方法は問わない。できたことには○、できなかったことには×をつける程度の単純なメモでもOK。「記録を続けられた」という事実があるだけでも、自己効力感を高めるきっかけになる。

ルーティンにする。

天才と呼ばれるアスリートが、自分のポテンシャルを発揮するために独自のルーティンを持っているのはよく知られた話。実はこうしたルーティンには、集中力を引き出す驚くべきパワーがある。「人間の本能は誘惑に弱いため、いくら集中していても目の前に別の思考が浮かんだ途端、すぐに意識が散漫になるという特徴を持っています。しかし、行動を習慣にさえしてしまえば“何も考えずにタスクに取りかかる”ことが可能になります。代表的な習慣化の方法を2つご紹介しましょう」

If thenプランニング

「もし(if)それが起きたら、それから(then)行動する」という習慣化の技法のひとつ。たとえば、「歯を磨いたら」→「本を読む」、「水を飲んだら」→「英単語を1つ覚える」というように、一つのアクションをトリガーに、別のアクションを起こすようあらかじめ決めておくことで、本能に邪魔されることなく自動的にタスクを達成することができる。このとき、最初のアクションは自分がいつも習慣にしていることほど成功率がアップする。

儀式を持つ。

実際のタスクには直接的な関わりがなくても、ひたすら反復を繰り返すことで、適当に決めた動作が“マイ儀式”になるケースもある。たとえば、「指を鳴らしたら」→「資料を整理する」、「ペンを10回まわしたら」→「レポートを書く」という具合に。儀式をつくる際は、「この動作をしたら大事な作業に取り組む」という手順を最初に設定しておき、それが習慣として定着するまでひたすら行動を繰り返す必要がある。

セルフイメージを書き換える。

人は誰でも「自分自身がどういう人間か」を無意識のうちに定義しているもの。「意外なことに、そのイメージがモチベーションにも大きな影響を与えているんです」と鈴木さん。「たとえば、“がんばりさえすれば本を読み通せる人間だ”と自分を定義している人に比べて、“自分は根本的に読書家だ”と思っている人のほうが、難しい本の内容にもくじけず読書を続けられる傾向にあります。つまり、セルフイメージにはある程度の“思い込み”も必要ということです」

○私は根本的に読書家だ。
×がんばりさえすれば、本を読み通せる人間だ。

難しい本を前に集中が続かない状況に襲われた場合。「読書家」と自分を定義している人は反射的にセルフイメージを守ろうとするため、本の内容に意識を戻す確率が高くなる。

優秀な人を思い浮かべる。

「私は集中力を備えた人間だ」というセルフイメージをどうしても持つことが難しければ、「優秀な人物を思い描く」だけでも効果があるという。「天才数学者をイメージして数学の勉強をしたら成績が上がった、一流アスリートを思い浮かべたら運動能力が向上…など、この心理効果はさまざまな研究で実証されています。歴史上の偉人でも、身近なハイパフォーマーでも構いません。タスクに取りかかる前に30秒ほど時間を取り、自分が有能だと思う人物を想像してください」

自分に新たな肩書をつける。

セルフイメージを書き換える、もう一つの手段“ジョブ・チェンジング” とは使命感を掻き立てる肩書をつけること。「仕事のモチベーションを高めるために考案された技法です。あるアメリカの病院を対象とした研究では、やる気のない清掃スタッフに『あなたたちは“病院のアンバサダー”です』と新しい肩書を与えたところ、一夜にしてスタッフの態度が激変した、という報告があるほど。自らの仕事や役割を別の角度から捉え直せば、心理的な効果を確実に得ることができるのです」

悪循環を断ち切る。

たった1度失敗しただけで、「自分は無能な人間だ」と思ってしまう経験は、誰にでもあるはず。ポジティブな想像力が高いモチベーションをキープしてくれるのに対し、ネガティブな思い込みは悪循環を引き起こす原因にもなってしまう。「つまり負の感情にとらわれすぎて、自分を客観視できなくなるのです。こうした認知の歪みを取り除くためにも、自分の感情を正しく理解することが必要に。具体的な数字や言葉に置き換えてみたり、感情を書き出してみるとわかりやすいです」

失敗したときの感情を書き出す。

自分の感情をなるべく冷静に見つめるには、俯瞰的な視点が必要になる。失敗や挫折を味わったときは、「ただ悲しい」と思うのではなく、「悲しみ15%・焦り70%・怒り15%」と、感情の成分分析をしてみるといい。また、できなかったことに対しては、客観的な証拠やデータを集めながら、「本当にできなかったのか?」「もしかしたら成功したこともあったのでは?」とていねいに反論を重ねることで、思考の歪みを徐々に正すことができる。

同じ失敗を繰り返すときは、その失敗に名前をつける。

感情のやっかいなところは、実体が見えにくいことにある。その瞬間の感情に呑み込まれるあまり、いつも同じ失敗を繰り返してしまうという人は、ぜひ“名前”をつけることをおすすめしたい。たとえば、「落ち着かなくて気づけばいつもスマホを触ってしまう」ときは、「スマホさわり太郎」というように。ユニークなネーミングを考えるだけで、「なんだ、またさわり太郎が来た!」と、自分を気楽に客観視することができる。

鈴木 祐さん サイエンスライター。健康や科学、心理などをテーマに書籍や雑誌の執筆を手掛ける。新刊『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)が発売中。

※『anan』2020年2月12日号より。イラスト・加納徳博 取材、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)

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