2020年は“参加型” しいたけ.さん「大きな体験と感動に出合っていく」

2019.11.24
2020年は、どのような年になるのでしょうか。しいたけ.さんの「カラー心理学」でご紹介します。

改めて、日本という国

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日本はとても面白い文化と歴史を持ち、その文化や歴史が大きく動く時には、「海外の国々」が大きく関わることが多いです。なぜ日本が大きく変わる時に、海外の国や、そこの人々の存在が大きくなるのか。それはやはり、日本の人々が持つ意識が「内向き」であることが大きいからだと思います。良く言えば、やさしい。そして、気づかいができる。しかし、デメリットとしては「“私は私”とはなかなか言いにくい」。「はみ出ると排除される」という恐怖感が常にあるのかもしれません。

そこに、海外の人たちの空気に触れると「あ、個人個人が変わっていても別にいいんじゃん」と思える。「今を楽しむ」という姿勢は海外の人の方が圧倒的に上手だったりするでしょう? そういう、「みんなが違っていて当たり前だし、それぞれの楽しみ方がある」と感じることで日本に変化が起きるのだと思います。「違っていていい。でも、一緒にいるこの一時を、それぞれの感じ方で一緒に楽しみましょう」と、お祭りに参加をする色が金色なのです。

来年の2020年はこの「お祭り」を表す金色に象徴される年でもあります。だから、もしできたらでよいです。ひとりじゃなくて、友達と一緒でもいいから、ぜひ海外から来た人に話しかけてみてください。「どこから来たの?」って。それで話が数秒で終わってしまってもいいです。でも、海外の人がこちらに向ける笑顔って、どこか日本のそれとは違う。旅人ってこともあるかもしれませんが、みなさんけっこう「笑いたいように笑う」のです。日本の笑顔は「合わせた笑顔」であったりもする。笑うことにも遠慮が入る。自分とは違った文化の人に話しかけると、そこから世界が変わったりします。「あ、こんなふうに笑ってもいいんだ」と、自分の中に大きな思い出として残っていくからです。

「関わるのは怖い。でも、関わってみてよかった」

自分と遠い場所に暮らしている人たちの空気と共にあってください。それを知った時に、どこかで「もっと自分も遠くに行っていいのかも」という気持ちが起きてくるから。

僕が来年の2020年の色でもうひとつ注目したいのがオレンジです。オレンジは「とりあえず動いてみる」という色です。2020年って、もっと「参加型」の世の中になっていきます。今の2019年でも、ネットを通じて色々な世界にアクセスできます。でも、ネットの世界だけだと、どこか頭でっかちになってしまいます。「今年行きたい旅先」を調べている最中に「あ、この人から連絡きたか」と、気が合わない人から連絡が入り、そこからさらに、「あ、明日までに終わらせなければいけない仕事があるんだよな。あー、やだな。ちょっと気晴らしにネットの漫画でも読むか」と、スマートフォンを通じて繋がる世界は、充実することもあるけれど、どこか忙しく、「地に足を下ろしていない」という感覚になるからです。「空虚に気忙しい世界から、リアルな体験を求める」

2020年はネット社会の便利さを享受しながら、その反動がもっと起きてくると思うのです。完全に「繋がること」から自分を離す必要はないと思います。でも、誰か大事な人と話をする時間だけは、スマホを見ないようにする。そして、何かのお祭りや旅行に参加をしている時は、そこにどういう人たちがいて、どういう景色があって、自分が何を感じるかを確かめてみる。これは僕の私見なのですが、「ついついずっと、スマホを見続けてしまう」という人たちは、常にアイデアとか答えを求められている人です。いわゆる「ネタ」を探し続けなければいけない人。そして、そういう「答えを出していかなければいけない世界からの逃避」としても、スマホは使われます。「ここではない、どこかへ」に、みんな行きたいのかもしれません。

「ここではない、どこかへ」は大事なキーワードで、それをぜひリアルな世界の中でもやってほしいのです。「この建物は最近建ったんだ。上の方の階はどうなっているんだろう。行ってみよう」とか。

「みんなと違ってよい自分」がどんどん出てくる時に、どれだけ「自分の中にルールを設けるか」という意味で、ネイビーもとても大切な色になります。「自分のために生きる」という言葉は、「今まで我慢してきたり、抑圧されてきた私自身の、世間に対する復讐」という意味も少し出てきてしまっています。「私だけが良いと感じればいい」とするのではなくて、「自分の動きを通して、周りの人たちに何を贈っていくことができるか」。Noblesse oblige(ノーブレス・オブリージュ)という言葉があって、これは僕がもっとも好きな言葉の一つでもあるのですが、「高貴たる義務」という意味があります。「今、これを言おうと思えばできる。ぶちまけることもできる。弱くなることもできる。でも、あえてそれをしない。何を言うかは能力で、何を言わないか、何をやろうとしないかがその人の持つ品位」。そういう意味がネイビー、そしてnoblesse obligeという言葉には含まれているのです。

これまでのことをまとめると、2020年は「直接行ってみる。直接会ってみる。直接体験してみる」がそれぞれの人にとって大事なキーワードになってくると思います。

技術が発達しすぎた、顔が見えない時代から、再び、顔が見える時代へ。

技術的にも、世界的にも、確実に新しい時代に入ってきています。その中で、日々スピードアップする世の中で、本当に誰もが「自分はこの世の中に適応できるのか? 生き残ることができるのか?」という不安を抱えています。「自分がコントロールできない、色々な世の中のこと」までを考え、怒ったり、不安になったりする時間もあります。でも、誰かと顔を合わせて「しんどいね」、「あー、もう、しんどいね」と言い合うだけで、「あ、この人も同じ状況なんだ」と安心することもあります。

すごくシンプルだからこそ、自分の隣にいる人に直接声を掛ける時間とか「あれ、昨日のプレゼンとても良かったよ」とか、話し合う時間は大事になってきます。自分ひとりで完璧な解答を出そうとするのではなくて、「こういう問題、先輩はどうやりました?」と尋ねること。人は、誰かに直接質問をされたり、頼りにされたりすると嬉しかったりするから。知らない人、そして、もう知っている人にも、「どうしました?」と話しかけてみてください。知らなかった世界に対して、リアルな体験として、参加していく。2020年は「こんな世界があったんだ」と、大きな体験と感動に出合っていく年です。

しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究する傍ら占いを学問として勉強する。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)、『しいたけ.の12星座占い 過去から読むあなたの運勢』(KADOKAWA)など。しいたけ.公式サイトhttps://shiitakeofficial.com/

※『anan』2019年11月27日号より。イラスト・100%ORANGE

(by anan編集部)

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