まさかの実話!? 大女優と年下男子の美しすぎる恋愛にウルウル!

2019.4.7
オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は『リヴァプール、最後の恋』です。

『ノッティングヒルの恋人』的実話よ!

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恋愛に年齢なんて関係ありませんわ。とはいえ、年を重ねてしまうと、自分の家族を持ったり、世間一般の常識にとらわれ、言うは易く行うは難し、というのも恋愛(とくに不倫はダメYO)。でもね、この作品『リヴァプール、最後の恋』を観たら、改めて「恋心を持ち続けるっていいことだわ~」って再認識するはず~。なんせ、主人公とその恋人は約30歳の年齢差!

1981年、白黒映画時代の大女優グロリアは、舞台の準備中に倒れ、かつての恋人だったピーターに連絡が。すると、彼女は「思い出の場所リヴァプールに行きたい」と彼におねだり。そこでリヴァプールにある彼の実家でグロリアを休ませることに。最初はピーターや彼の家族との再会を喜んでいた彼女だったんだけど、どんどんと体調が悪化。ピーターがグロリアの主治医に連絡をとってみると、じつは彼女はガンで余命幾ばくもない状態だということがわかるの。しかもこのグロリアとピーター、実在した人で、この作品自体がピーターの手記に基づいて作られた実話ベースなの。

グロリア・グレアムは、’50年代のハリウッドで大活躍して、『悪人と美女』という作品でアカデミー賞助演女優賞を獲得した大女優。カラー映画の時代が到来してからは、仕事の軸足は映画ではなくテレビや舞台に移していたのね。時代の移り変わりとともに、女優人生も変わってしまった、ってことなんだけど、そこも劇中描かれていて、それがもー、切ない。一言で言うと「あの人は今」的な扱い。オスカー女優でもそうなっちゃうって悲しい現実よね。そんな彼女の最期を見届けたのが、たまたま仕事で訪れたイギリスで知り合い、恋に落ちた青年ピーターだったってわけ。彼らが恋に落ちて、そして別れることになったエピソードも、回想劇として描かれているんだけど、これまた切ないのなんの。駆け出しの舞台役者だったピーターと、山の天気みたいにご機嫌が変わりやすいグロリアの関係が続くわけもなく…って思って観ていたら、これが全然違ってて。そこは、観て目をウルウルさせてほしいポイントよ。

ちなみに、実際のグロリアは、4回結婚していて、子どももたくさん(しかも、4番目の夫は2番目の夫の義理の息子!)。家族がいないというわけではないんだけど、大女優特有の孤独よね。自分のことを完璧に理解してくれる人を渇望していたのよ。だから、年の差を気にせずに、役者の道を目指すピーターに惚れこんだってこと。大女優の刹那の恋といえばマリリン・モンローの実話ベースで『マリリン 7日間の恋』という映画もあるけど、あれよりもさらにピュアな恋で、切っても切れない深い友情にも似た大人ならではの恋ってのを目の当たりにするわよ。っていうか、そもそも大女優と一般人男子の恋なんて、『ノッティングヒルの恋人』かよ! って話なんだけど、まさか本当にこんなことがあったとは…。学園ものラブコメだらけの日本映画ではもうちょっとついていけんわい…という、大人な読者のみなさん。不倫でもなく、略奪愛でもない、若い男子との美しき恋愛(そしてその落とし前のつけ方)は見ものですわよ。ぜひこれを観てゴマンゾクしちゃって!

『リヴァプール、最後の恋』 主演のアネット・ベニングが20年間温めてきた企画なのよ~。監督/ポール・マクギガン 出演/アネット・ベニング、ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズほか 新宿武蔵野館ほか全国順次公開中。©2017 DANJAQ, LLC. All Rights Reserved.

※『anan』2019年4月10日号より。文・よしひろ まさみち(オネエ系映画ライター)

(by anan編集部)

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