吉田鋼太郎の結婚、離婚…「人より早く人生経験を積みたくて…」

2019.3.27
色気のある人とは? 「私の色気論」をテーマに吉田鋼太郎さんが話しをしてくれました。
yoshida

人生のほとんどが舞台の仕事だった僕のような俳優にとって、つねに意識してきたのが華とか色気といわれるもの。演劇を始めた当初から、そういうものを舞台で出せる役者にならなければいけないと散々言われてきました。とはいえ、肝心のその方法は誰かが教えてくれるわけもなく、わからないまま(笑)。

ただ、当時から色気のある俳優として思い浮かべていたのは、森繁久彌さんや三國連太郎さんといった、昭和を代表する偉大な先輩俳優です。森繁久彌さんは女好きで知られていましたが、お芝居もまたユーモアのなかに洒脱な色気を感じさせる方。三國連太郎さんもまた、スクリーンから漏れ出てくるような色気を感じさせる方。演技の鬼みたいなところがあって、自分の実年齢よりも年配の役をやる時に、歯を全部抜いてしまったというエピソードが残っています。おふたりとも素晴らしい俳優ですが、その知名度や評価にあぐらをかくことなく、いい意味で生涯役者根性を持ち続けた方々。こじつけかもしれないけれど、そういう姿勢がきっと色気に結びついてくるんだろうと思ってやってきたんです。

僕自身、顔がいいわけでもスタイルがいいわけでもない。では、どうすれば恵まれた容姿を持った人たちに負けないものを身につけられるか。それはもう、経験を積むしかないんですよね。例えば、若い頃はセリフをひと言しゃべるにしても、どこか真実味が足りない。なぜ言えてないかと考えたら、その言葉に説得力を持たせるだけの蓄積が自分にないから。それで、とにかく人より早く、たくさんの人生経験を積もうと、いろんなことをやりました。若い年齢での結婚もそのひとつ。その後、離婚も経験しましたけどね(笑)。

人を好きになるって、僕らのような職業には、すごく大事なことだと思うんです。恋をすると、ほかのことでは経験できない感情が動くんですよね。すごく幸せにもなるし、その半面、とっても不幸にもなる。その振り幅が大きいんです。修羅場が訪れれば、相手も自分も、見たことのない恐ろしい形相で、思いもよらなかったようなことをやってしまったり、言ってしまったり。そういうことが実感を伴う経験になるんです。まあ僕の場合、仕事のためと言いながら、人一倍、女の人が好きなんだろうと思います。揉め事も、避けて通るより、どちらかといえば敢えて飛び込んでいく方。渦中にいる時は当然大変ですが、喉元過ぎれば何とやら。これぞ生きているっていうことだ、なんて思っちゃったりするんで、始末におえないんですけど(笑)。

よしだ・こうたろう 1959年1月14日生まれ、東京都出身。舞台をはじめ数々の映画やドラマで活躍。また、自身が主宰する劇団AUNや、彩の国シェイクスピア・シリーズでは演出も手がけている。

ジャケット¥93,000 パンツ¥53,000 シャツ¥56,000(以上ISSEY MIYAKE MEN TEL:03・5454・1705)

※『anan』2019年4月3日号より。写真・佐藤航嗣(UM) スタイリスト・尾関寛子 ヘア&メイク・合谷純子(マービィ) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)

大野いとさんも走り始めています! 美しいランナーになるために心がけたいこと。