橋本愛「東京が大嫌いだった」 上京したヒロインに自分を重ね…

2018.10.19
来年NHKの大河ドラマに出演する女優・橋本愛さん。今回、主演する映画『ここは退屈迎えに来て』は地方都市の閉塞感や東京への憧憬、元カレへの執着、互いを値踏みするかのような友人関係…。どんな女子にも心当たりがありそうなリアルな感情を描いた話題作。

映画『ここは退屈迎えに来て』主演の橋本愛さんは、山内マリコさんの原作を17歳前後で読んでおり、好きな作品に関われることに感動を覚えたそう。

「脚本が出来上がる前から、この映画では『原作者の想いを最優先に』と思っていました。山内さんがゼロら創造したこの小説を、映画が“利用”してはいけないなって」

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橋本さんが演じる“私”は、マスコミ業界での活躍を夢見て上京したけれど、今は地元に戻りタウン誌で書いている27歳のフリーライター。

「東京に憧れていた“私”と自分は正反対。今は違いますが、私はもともと東京が大嫌いだったんです。初めて新宿に行った時、ビルが全部同じに見えて迷っちゃって…。桜を見ても『地元のとは違う』と怒ってました(笑)。東京の桜は、一枚フィルターがかかったような色に見えるんです。でも、私が地元の熊本に帰りたくてしかたなかった気持ちと、“私”の東京への渇望は、方向こそ真逆でも、強度は同じ。“私”を演じる時にとても役立ちました」

こんなはずじゃなかったとモヤモヤしている“私”にとって、唯一の心の拠り所になっているのは、煌めいていた高校時代。その描写にも自身の経験が活きた。

「あの時代のキラキラした瞬間が、いつまでも心に輝きをもたらしてくれることは、実感として知っています。私は、この仕事を早くから始めたので、学生生活の一日一日を目一杯楽しんでいました。友達と夜に花火をしたり、母校に行ってサッカーをしたり、当たり前のような時間がすごく尊かったんです」

“私”が抱える鬱々とした気持ちは、橋本さん自身にもあった。

「物足りなさをなんとか埋めなきゃとあがく彼女の苦しさは、理解できます。私も、常にそれが原動力になっていますし。だけど、その過程で、幸せと苦しみのバランスは総合的には1:1で、“待てば必ず、幸せが来る”という方程式のようなものが私の中でできたんです。それでも、意外と苦しい時間が長くて、『まだ来ないの?』ってこともあるんですけど(笑)。絶対に来ることに対しては自信があります」

物語のキーパーソンで、誰からも愛される男子「椎名くん」役の成田凌さん、彼のことを忘れられない「あたし」を演じた門脇麦さんなど、演技力抜群の俳優陣が見応えある芝居を見せてくれる。なかでも橋本さんがとくに惹かれたのは、親友とファミレスで恋愛話にふける女性を演じた岸井ゆきのさん。

「岸井さんの目の色や口元の表情から“何か”が漂ってて。その正体を考えながら完成作を観たんですけど、やっぱり“何か”でしかなくて。ファミレスでお茶しているエキストラとして、岸井さんたちの斜め後ろに座り、観察したかったです(笑)」

現在22歳の橋本さんが、“私”と同じ年齢を迎えるのは5年後。

「私は、30歳から絶対に面白くなるって信じてるんです。ただ、10代の時も『20歳から』と思っていたから、少しもったいない生き方をしてしまいました。だから最近は、ただ未来に期待して待つのではなく、“今”を浴びるように味わってます。例えば、小さいことですけど、引っ越ししたいのにしないで死んじゃうのは嫌だなっていう思考回路なんです。究極、今死んでもいいと思える生き方をしていったら、10代のような悔しさは残らないのかなって」

はしもと・あい 1996年1月12日生まれ、熊本県出身。映画『オズランド』が10/26より全国公開に。来年放送のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演。

ドレス¥199,000(マルニ/マルニジャパンTEL:03・6416・1024)

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『ここは退屈迎えに来て』 高校時代、みんなの憧れだった「椎名くん」を軸に、もどかしさを抱えた男女の切ない交錯を描く。音楽は、彼らの世代を代表するフジファブリック。名曲「茜色の夕日」が、物語を美しく彩る。10/19より全国公開。©2018「ここは退屈迎えに来て」製作委員会

※『anan』2018年10月24日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・清水奈緒美 ヘア&メイク・岩田美香(モッズ・ヘア) インタビュー、文・小泉咲子

(by anan編集部)


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