井浦新がバズった? 「皆さんに顔向けできない」と複雑な胸中語る

2018.6.20
ドラマ『アンナチュラル』でのクセの強い法医解剖医・中堂系役が記憶に新しい井浦新さん。飄々としながらも内にマグマのような沸々とした熱を抱えた中堂は、ツイッターのトレンドワードに上るほど大きな話題にも。そして、このたび公開される映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』で演じたのは、強い意志と情熱を持って沖縄返還に尽力した外交官・千葉一夫の闘いの軌跡だ。

理知的でアーティスティックな人ゆえに、どこかクールなイメージの井浦さん。でも本人は、自分のことを「デタラメ」だと語る。果たしてその理由とは? 井浦さんという人物とは?

いろんなことに興味がありすぎて、僕のなかはカオスなんです(笑)。

井浦新

――ドラマ『アンナチュラル』の中堂役も、これまでの井浦さんのイメージからすると意外なキャラクターですよね。とても魅力的な役で、大きな話題にもなりました。

井浦:僕が一番びっくりでした。近しい方から「中堂がバズっているらしいよ」と聞いた時には、嘘だと(笑)。あれは全部撮り終わってからの放送だったんですが、正直、皆さんが望むような中堂を表現できなかった気がしていて、打ち上げでも皆さんに顔向けできない、恥ずかしくてもう会えない、って落ち込んでいたんです。でも、放送が始まったら中堂が面白がられていて…なんか本当に芝居ってわからないなって。ただ、少しは救われるけれど、やっぱりどこか自分では苦しい部分もあったりします。最悪な芝居だと思っていたのが、評価を得て、僕が考えていたことなんてたかが知れているんだなって思い知らされた感じで。

――何に落ち込んだんでしょう?

井浦:地に足のついた生々しい人にしたいと思っていたんですが、自分でもびっくりするぐらい、キャラクターになっちゃったんです。千葉さんに関しては、それができていた気がするのに…。ただ、多くの方に楽しんでもらえたのはありがたいことで、これでスルーされていたら、それはそれでもっと落ち込んでいたと思います。でもあれはドラマ自体が良かったんですよね。脚本の野木(亜紀子)さんと、演出家の塚原(あゆ子)さんが作り上げたチームがすごく良かったので、そこにたまたまのっかることができただけで。

――井浦さんのベースにあるカルチャーについて伺いたいのですが。

井浦:10代の頃のサブカルチャーが大きく影響していると思います。ただ、もっと源流には子供の頃から好きだった日本史があると思います。どの時代も好きですがとくに好きだったのは縄文時代。当時の生活や土器や土偶…アニミズムみたいなものにも興味がありますし、そのいろんな文化が、自分のベースに埋め込まれている気がします。でも、それだけじゃなく、もっと無茶苦茶なんです。ファッションとか、パンクとかレゲエとか…子供の頃には、当たり前にキン肉マンとかビックリマンとかゴレンジャーやウルトラマンも楽しんでいましたし。スピリチュアルなものへの畏怖はあるけれど、ネッシーとかUFOみたいなオカルトも好きだし、デタラメです。

――デタラメなんですか?

井浦:僕、カオスなんです。自分でも管理できなくなるくらい、いろんなことに興味がありすぎて(笑)。ただ、自分ではどれもが本気なんですが、世の中的にはそれはあり得ないって言われてしまうので、だったらデタラメってことでいいのかな、と思っています。

いうら・あらた 1974年9月15日生まれ。東京都出身。1998年に映画『ワンダフルライフ』に初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。公開待機作に映画『止められるか、俺たちを』『赤い雪 RED SNOW』『菊とギロチン』など。7月期ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ・カンテレ系)に出演。

井浦新さんが主演の『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、6 月30日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。1960年代、高度経済成長を迎え、日本は好景気に沸いていたが、沖縄はいまだアメリカの統治下に置かれたままだった。そんななか始まったアメリカとの沖縄返還交渉。その中心となって活躍した実在の外交官、千葉一夫の闘いを描いた物語。

メガネ¥42,500(Savile Row/blinc TEL:03・5775・7525) ジャケット¥37,000 パンツ¥28,000(共に NEEDLES/NEPENTHES TEL:03・3400・7227)

※『anan』2018年6月27日号より。写真・岡田 潤(bNb) スタイリスト・上野健太郎(KEN OFFICE) ヘア&メイク・樅山 敦(BARBER BOYS) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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