大泉洋「いまだに忘れられない」 友人の陰口たたいた過去を後悔

2018.3.3
190万部突破! 今必読の書である『漫画 君たちはどう生きるか』。大泉洋さん、劇作家の根本宗子さん、ドラマやCMで活躍中の鈴木梨央がこの本をもとに「人の悩みと過ち」をテーマに語り合っていただきました。
大泉洋

鈴木:コペル君(主人公)は、友達のガッチンが上級生に殴られた時、勇気を出せずに、裏切っちゃうじゃないですか。私にはそこまでの経験はないですけど、心では正しいことだと思っていても、それを主張する勇気が出せないことは多いです。

大泉:それは誰でも同じだよ。実は僕もいまだに忘れられないことがあって…。学生時代のことなんですけど、同級生が、ある日突然、とんでもない奇抜な髪型で学校に来たんです。見て驚いたけど、ちょっと怖いヤツだったんで、直接本人には言えなかったんですよね。それで帰りに友達と歩きながら「あの髪型見た? 笑いそうになったよ~」って喋っていてふと見たら、なんと真後ろにそいつがいたの。

鈴木:えーっ!? 大変!

大泉:その時は睨まれただけだったけど、思い切り陰口を聞かれてしまったわけで、恥ずかしいやら情けないやら。しかも、そいつが怒っているというより、ちょっと傷ついているように見えてね…。とんでもないことをしてしまったってグルグル考えて。悩んだ末、やっぱり謝ろうと決めたんです。それで次の日、そいつのところに行ったんだけど、もう何事もなかったふうだったんで、結局謝り損ねまして。そんな自分にまた落ち込んだんですけど。

根本:そういうことって、昔のことでもいつまでも覚えているものですよね。漫画のなかでも、コペル君のお母さんが若い時のエピソードがありました。重い荷物を持って階段を上っているおばあさんを見て、手伝おうと思うんだけどなかなか声をかけられなくて、結局最後まで言い出せなかったっていう…。誰にでも、「あの時にこうしていれば」って思うことはあると思うんです。でもそれを、ただ嫌な思い出として終わらせるんじゃなく、後悔を次に活かす原動力にしていくっていうお母さんの考え方がすごくいいなって思って。コペル君にしても、仲間を裏切ったことを後悔して苦悩しますけど、あれだけ苦悩できるってこと自体、本当にすごいなって思うんです。

大泉:僕はコペル君ほど悩まなかったんですけどね(笑)。ただ、当時の教訓としては、「陰口は聞かれちゃいけない」と(笑)。

鈴木:えーっ!?(笑)

根本:(笑)

大泉:陰口はやめられない(笑)。梨央ちゃんの前で、こんな恥ずかしい大人ですみません…。

「正しく生きたい」と思うことこそが大事。

根本:コペル君は何も言えなかった自分に悩みますが、そこが一番大事な気がします。悩んで、どうすべきかを必死に考えるということが。

大泉:それは僕も思いますね。それに正面切って立ち向かうだけが、ただひとつの解決方法じゃないって気もするんです。悩みながらも、正しく生きたいってまず皆が思うようになることが、事態を良い方向に向かわせるんじゃないかなって。

鈴木:そんなふうにみんなが思えるといいですよね。ニュースを見ていると、ただむしゃくしゃしていたっていう理由で罪を犯す人っていますよね。悪いことだとわかってるのに、なんでかなって思うんですけど。

大泉:うーん…そういう人は、何も考えずに感情のままに行動するからなのかな。人間って考えないでいると、自然と自分勝手な方向に行ってしまうんだと思うんです。でも、少しでも自分がどんな人間になりたいかとか、自分はこの先どう生きるかっていうことを突き詰めて考えることをすれば、きっと誰もが理想を持って生きられるんじゃないかと思うんですけどね。

根本:本当に。この本は、その“考える”ことをするための、いい手助けになってくれる気がします。

君たちはどう生きるか
『漫画 君たちはどう生きるか』原作 吉野源三郎、漫画 羽賀翔一 1300円(マガジンハウス)

原作・吉野源三郎 1899年生まれ。編集者、児童文学者。東京帝国大学文学部哲学科を卒業後、陸軍、東京大学図書館などを経て岩波書店に入社。雑誌『世界』初代編集長を務めたほか、岩波少年文庫の創設などにも尽力。’81年没。『君たちはどう生きるか』は’37年に刊行。

漫画・羽賀翔一 漫画家。茨城県出身。2010年「インチキ君」で第27回MANGA OPEN奨励賞受賞。翌年にデビュー作「ケシゴムライフ」が週刊モーニングにて短期集中連載。’14年に単行本が発売に。近刊に『昼間のパパは光ってる』(TOKUMA COMICS)。

おおいずみ・よう 俳優。文章にも定評があり『大泉エッセイ 僕が綴った16年』(角川文庫)も刊行。2009年の本公演「下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。」では演出と脚本を担当。

ジャケット¥64,000 ベスト¥32,000 パンツ¥34,000(以上Milok/Milok TEL:03・6455・1440) その他はスタイリスト私物

ねもと・しゅうこ 1989年生まれ。’09年に劇団・月刊「根本宗子」を旗揚げ。その全公演の脚本・演出を手掛ける。また女優として、舞台やドラマにも出演。4月には劇団公演が控える。

すずき・りお 2005年生まれ。5歳の時に芸能活動を開始。おもな出演作にドラマ『Woman』『八重の桜』『あさが来た』。また、これから公開予定の主演映画『こどもしょくどう』なども。

※『anan』2018年3月7日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・九(Yolken/大泉さん) ヘア&メイク・白石義人(ima./大泉さん) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)


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