寺島しのぶ「ザワザワしています」 共演・柄本佑と語る『秘密の花園』の難しさ

2018.1.11
いま活躍する演劇人たちに、多くの影響を与えてきた唐十郎さん。その作品のなかでも傑作と名高い『秘密の花園』。唐さんに深いリスペクトを抱く演出家の福原充則さんの旗のもと、寺島しのぶさん、柄本佑さんら個性あふれる実力派が揃った。
stage

寺島:唐さんの本って、理詰めで役を構築していこうとすると、いま自分が誰で何をやろうとしているのかわからなくなるんですよね。久しぶりに、台本に振り回されている自分がいて、ザワザワしています。

柄本:でも…楽しくないですか?

寺島:それは佑くんが唐作品をよくわかってるからでしょ。でも佑くん、全然楽しそうには見えないけど?

柄本:「ワーイ!」ってやってたら逆に変ですよね(笑)。でも『秘密の花園』を筆頭に、唐さんの芝居に憧れていたので、「俺、いま唐さんのセリフ言ってんなぁ」っていう感慨はあります。

寺島:蜷川(幸雄)さんも、唐さんの作品が大好きだったんだよね。私は唐戯曲ではご一緒できなかったけれど、蜷川さんがイキイキと演出していらっしゃるのは伝わってた。唐さんの戯曲は、言葉のパワーがすごいじゃない? あの熱量が劇場をパンパンに満たすなかに、自分も浸かってみたいと思っていたんです。今回のお話をいただいたのが、ちょうど蜷川さんが亡くなった少し後だったのもあって、当時の熱量で「やります」って言っちゃったんだけど…。

柄本:稽古しながらも「わからない」って言ってますもんね(笑)。しのぶさんが演じる“いちよ”も“もろは”(二役)も、どこか抽象的な存在じゃないですか。その人が6畳一間の超現実にいるのが唐作品の面白さだと思うんですが、現時点でそうやってちゃんと存在できているから、しのぶさんはきっと大丈夫です。

寺島:共演者が佑くんということで安心してる部分はあるかな。演出の福原さんも含めて、唐戯曲を理解している方々が一緒だから、その船に私は乗ればいいんだ、と思ってる。

柄本:福原さん、稽古初日の本読みからすでに熱がすごかったですよね。本当にこの作品が好きなんだなって。

寺島:ほんとほんと。演出の仕方も、事細かに指示するのではなく、抽象的なヒントをくださる。こちらもトライしていけるし、その余白のある感じが好きだなと思っています。

柄本:この作品って、ちまちました世界を描きながら、ラストでそれまでのことが全部吹き飛ばされるカタルシスがあって、そこがカッコいいんです。想像力を思う存分働かせながら、楽しくやれたらいいですね。

てらじま・しのぶ 1972年生まれ。4月には舞台『ヘッダ・ガブラー』に主演。映画『のみとり侍』が5月に公開予定のほか、主演映画『Oh Lucy!』の公開も控える。

えもと・たすく 1986年生まれ。ドラマ『平成細雪』放送中。1月17日~のドラマ『ROAD TO EDEN』に主演。3月に映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の公開も。

寺島さん/ニット¥43,000 スカート¥38,000(共にAcne Studios/Acne Studios Aoyama TEL:03・6418・9923) リング¥71,000(CHARLOTTE CHESNAIS/EDSTROe M OFFICE TEL:03・6427・5901)

柄本さん/ニットカーディガン¥55,000(アンデルセン‐アンデルセン/メイデン・カンパニー TEL:03・5410・9777) シャツ¥26,000(インディビジュアライズド シャツ/メイデン・カンパニー) ビンテージデニム¥24,800(メチャ TEL:03・5929・8993)

ホステスのいちよ(寺島)とポン引きの大貫(田口)の夫婦の元に、毎月、何の見返りもなく自らの給料を届けるアキヨシ(柄本)。ある日、アキヨシに縁談話が持ち上がり…。1月13日(土)~2月4日(日) 池袋・東京芸術劇場 シアターイースト 作/唐十郎 演出・出演/福原充則 出演/寺島しのぶ、柄本佑、田口トモロヲほか 一般6500円ほか(税込み) 東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296 www.geigeki.jp

※『anan』2018年1月17日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・中井綾子(crepe/寺島さん) 林 道雄(柄本さん) ヘア&メイク・片桐直樹(EFFECTOR/寺島さん) 星野加奈子(柄本さん) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)


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