志村 昌美

イム・シワン「イ・ビョンホン先輩は絶え間なくギャグをする人」驚きの素顔を語る

2023.1.4
正月休み明けでだらけがちなこの時期にオススメしたいのは、目が覚めるような衝撃を味わえる映画。そんなときにぴったりの1本は、韓国から届いた話題作『非常宣言』です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

イム・シワンさん

【映画、ときどき私】 vol. 547

飛行機のなかでバイオテロが発生してしまう様子を描き、手に汗握る展開を繰り広げている本作。劇中で謎の若い男を演じているのが、ドラマ『ミセン -未生-』での演技も高く評価されているイム・シワンさんです。今後は日本映画『スマホを落としただけなのに』の韓国リメイクへの出演が決定するなど、韓国でも注目の若手実力派とされています。今回は、役作りでのこだわりや先輩俳優たちとの裏話、そして日本で共演してみたい俳優などについて語っていただきました。

―これまでのイメージとは違う役どころでしたが、演じるうえでどのような意識をされて挑みましたか?

イム・シワンさん 僕が演じたのは、ヴィランというか悪の部分があるキャラクターだったので、強烈な印象を持つ方も多いと思います。でも、だからと言って「強烈に見せなければいけない」という意識はありませんでした。

それよりも僕が考えたのは、いい人でも悪い人でも、行動の裏には何かしらの大義名分があるはずだということ。映画のなかでは、そういった理由については描かれていなかったので、自分なりにいろいろと想像しながら演じる努力をしました。

久しぶりの舞台挨拶で、緊張と同時にワクワクした

―作品を観たあと、韓国の観客からはいろんな反響があったとか。驚いたことはありましたか? 

イム・シワンさん コロナ禍の影響と僕が軍隊に行っていたこともあり、長い間できなかったのが舞台挨拶。そんな僕にとって、本当に久しぶりに観客と直接会うことができたのがこの作品だったのです。

待ちに待った舞台挨拶ということもあって、劇場に入ったときは緊張と同時にワクワクが高まっていました。にもかかわらず、上映が終わって観客からまっさきに「この悪いヤツめ!」と言われてしまったんです(笑)。でも、僕は悪役だったので、そういうふうに言われるということは褒め言葉でもあると感じ、ありがたい気持ちになりました。

―それは衝撃のひと言でしたね。ちなみに、役作りをするなかでご自身なりのアイディアを入れた部分があれば、お聞かせください。

イム・シワンさん 提案したことのひとつは、衣装について。最初に用意していただいた衣装が見るからに怪しいスタイルだったので、違う方向性のほうがいいのではないかという話をしました。なぜなら、いかにも怪しい感じだと、最初から不快感を観客に与えてしまうのではないかと思ったから。それよりもむしろあまり人目に付かないような普通の服装にしたほうがいいと感じたので、そのように変えていただきました。

イ・ビョンホン先輩のおかげで、温かい現場になった

―なるほど。本作では、イ・ビョンホンさんとのシーンが多かったですが、共演されてみていかがでしたか?

イム・シワンさん 現場に入る前、僕自身も「あれほど立派で、素晴らしい演技をするイ・ビョンホン先輩というのはどんな方なんだろう?」とすごく気になっていたんです。実際にお会いしてみると、まずは誰に対しても本当に親切で、現場を愉快にしてくださる方だなと感じました。

経験の浅い人たちは緊張したり、不安になったりしてしまうものですが、そういった緊張をほぐしてくれたのもイ・ビョンホン先輩。そんなふうに、みんなを引っ張ってくださいました。温かい雰囲気のなかで撮影をすることができたのは、イ・ビョンホン先輩の力だと思っています。

―もし、カメラが回っていないところでのイ・ビョンホンさんについて、印象的なエピソードがあれば、教えてください。

イム・シワンさん 今回は、ご自宅にも招待をしていただいたので、一緒にお酒を飲みながらいろんなお話をさせていただきました。イ・ビョンホン先輩は「チェユクポックム」という豚肉の甘辛く炒めた韓国料理が大好きなのですが、おいしそうに食べている姿を見ると、なぜか僕まで食べたくなったことを思い出しますね(笑)。

あと、イ・ビョンホン先輩が得意なのはギャグ。絶え間なくたくさんのギャグを見せてくださるので、「スーパースターになるためには、こういったギャグセンスも磨かなければいけないのか……」と真剣に悩んでしまったほどです(笑)。

演技をするうえで、礎となっているのはソン・ガンホ先輩

―イ・ビョンホンさんのギャグは、非常に気になりますね。また、本作に出演しているのは、韓国の名優ソン・ガンホさんですが、俳優として学んだことはありましたか?

イム・シワンさん 今回はソン・ガンホ先輩と一緒のシーンはありませんでしたが、僕が演技の仕事を始めたばかりの頃に『弁護人』というドラマで共演させていただいたことがありました。そのときに、演技をするためにはどれほどの覚悟が必要なのかを教えていただき、“演技の頂点”を見せてくださったのがソン・ガンホ先輩でした。

そんな先輩を目標としていたからこそ、僕もここまで走ってこれたのではないかなと。怖気づくことなく、正しい価値観を持って演技する姿を見せてくれるのがソン・ガンホ先輩であり、僕にとっては、演技をするうえでの礎を築いてくださった方でもあります。

―本当に素晴らしい先輩方に囲まれていらっしゃるのですね。仕事で忙しい日々を過ごされていると思いますが、そのなかでもオンオフの切り替えにしていることやハマっていることがあれば教えてください。

イム・シワンさん 休みの日は、ボクシングやマラソンなど、運動をして過ごすことが多いですね。あとは、英語の授業を受けて、夕方になったら自分で料理を作り、寝る前に映画を1本観るというのがよくあるパターンです。余力があれば、ウイスキーを1杯ひっかけることもありますが、普段はそんな日常を送っています。

時間さえあれば、日本でグルメ旅行したい

―では、日本についておうかがいしますが、どのような印象をお持ちですか?

イム・シワンさん 日本はぜひもう一度行きたい国のひとつ。もし誰かに「日本の魅力について説明して」と言われたら、「日本では、お腹が空いたときに目の前にあるどの店に入ってもおいしいものが食べられます」と伝えると思います。それくらい本当に食べ物がおいしいですし、職人気質の方がお店にいらっしゃることが多いですよね。時間さえあれば、日本でグルメ旅行をしたいといつも思っています。

そのほかに以前遊びに行ってよかったのは、富士急ハイランド。本当に楽しませてもらいましたが、そんなふうにまだまだ面白いところがたくさんあるので、いろんな地方都市にも行ってみたいと考えているところです。

あと、僕は日本のアニメをよく見ていますが、好きな理由は日本のアニメには情緒や感情の流れがあるから。なかでも『君の名は。』が好きです。それから、昔ハマっていたポケモンがまたブームになっているので、最近になってまたシールを集め始めています(笑)。

今後、日本でもたくさん活動していきたい

―ちなみに、日本の俳優や監督で一緒にお仕事してみたい方というのはいますか?

イム・シワンさん 以前、「アジアコンテンツアワード」が開催されたときにお会いしたことがあるのが鈴木亮平さん。第一印象がとてもよかったので、気になって亮平兄さんの作品を観たところ、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』というドラマがあることを知りました。作品のモチーフ自体もおもしろく、すごく好きな作品なので、機会があればぜひ鈴木亮平さんとその監督さんと一緒にお仕事ができたら楽しそうだなと思っています。

―実現することを期待しています。それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。

イム・シワンさん 今回、『非常宣言』という作品で日本のみなさんにご挨拶できることになり、とても楽しみにしています。今度の2月に日本でファンミーティングを開催する予定なので、まずはそこでお会いできたらうれしいです。今後、日本でもたくさん活動したいと考えているので、応援のほどよろしくお願いします。

インタビューを終えてみて……。

劇中ではゾクッとするような表情で引き付けていますが、普段は癒し系のオーラに包まれているイム・シワンさん。まるで王子さまのような佇まいを見せており、思わず釘付けになってしまいました。今後さらなる活躍が期待されるだけに、新境地を開いた見事な悪役っぷりをぜひ堪能してください。

最後の最後まで、目が離せない!

まるで自分もその場にいるような体験と圧倒的な迫力が体感できる本作。息をするのも忘れてしまいそうになるほど、141分があっという間に感じるはず。スリリングな展開だけでなく、愛する人を守るために命がけで戦う主人公たちの姿にも心を揺さぶられること間違いなしの必見作です。


取材、文・志村昌美

ストーリー

娘とハワイへ向かおうと空港に現れたのは、飛行機恐怖症のパク・ジェヒョク。執拗につきまとってくる謎の若い男が、自分たちと同じ便に搭乗したことを知り、不安に感じていた。その後、離陸して間もなく1 人の乗客が死亡。さらに次々と乗客が死亡し、機内は恐怖とパニックの渦に包まれていく。

そのとき、地上にある警察署にいたのは、ベテラン刑事のク・イノ。飛行機でのバイオテロに関する捜査を開始するが、自身の妻も搭乗している便であることを知る。緊急着陸のために国内外に交渉を開始するも、タイムリミットが迫り、ついに「非常宣言」を発動。しかし、機体は操縦不能となり、地上へと急降下していくのだった……。

緊張が走る予告編はこちら!

作品情報

『非常宣言』
1月6日(金)より 全国公開
配給:クロックワークス
https://klockworx-asia.com/hijyosengen/
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