ルーズソックス、ラブボ、egg…90年代“ギャル文化”ブームが再燃中!?

2021.11.13
女子高生にスポットが当たり、日本を盛り上げた’90年代のギャル文化が再びトレンドに! ルーズソックス人気の復活など注目トピックを紹介。

なぜ今、ギャルがブームなの?

見られてなんぼのギャル精神が、求められている。

【解説】社会学者・栗田宣義さん

いつの時代も、流行は25~32年周期で繰り返します。というのも、平均して30歳前後で子どもを産む女性が多く、その子どもは、母親世代のトレンドの影響を自然と受けます。しかも、当時流行っていたアイテムは見慣れないものになっているから、かわいいと同時に新鮮だと感じ、再びトレンドになるのです。今のギャルカルチャーも同様で、前回のブームから26年くらい経ち、ルーズソックスなどが新鮮なアイテムに。ただ、ルーズソックス、ガングロ、ド金髪というギャルの要素を全て取り入れた当時のオールギャルとは違い、ルーズソックスだけなど、パーシャル(部分的)ギャルなのが特徴です。また、景気の落ち込みやコロナ禍など、暗い話題の多い今だからこそ、原色のファッションなど、ギャル特有の明るいカルチャーを求めるトレンドもあると思います。さらに、コロナ禍でなかなかバイトができずお小遣いが減り、ファッションにお金を使えない若者も多いですが、そこに、お金をかけずに創意工夫でなんとかかわいく見せるギャルのマインドがハマった部分も大きいのでは。1袋50円くらいのカラービーズを買ってデコレーションし、創意工夫をこらして作るんですからね。こうした高いクリエイティビティが生まれたことは、日本の近代史上、稀なことなんです。

また、インターネットやSNSが当たり前に存在する今の若い人は、“誰かに見られている感”が強くあり、窮屈に感じている人も多いですよね。でも、その見られていることを逆手に取ったのがギャル世代。人の視線を意識し、注目を集めようとして、彼女たちのファッションやパフォーマンスは進化しました。その“見られてなんぼ”という強いマインドこそが、今の若い女性が欲しているものであり、ギャルカルチャーがリバイバルしている本当の理由だとも思います。

ただ、今のところ、以前のような大規模なブームにはならないと考えています。それは、ギャルカルチャーを盛り上げ、支えるために使えるお金が昔と比べて社会に少ないこと。また、以前のギャルは“生きていくために必要だから”と是が非でも投資をしたけれど、今の若い女性にとってのギャルカルチャーはあくまで選択肢の一つであり、大きな投資をしないと思うからです。ですが、ギャルは戦後、ごく普通の女子が、ごく普通の遊び方をするなかで自分の自由空間を作った初めての世代。それは特筆すべき重要なことで、今回のリバイバルが、またそういう側面を持ってくれたら嬉しいなと思います。バブルの崩壊までは、お金を持っている中高年のおじさんが社会の主役で、女性が彼らの後ろにいるようなカルチャーでしたが、’90年代のギャルの登場以降、女性が表に出て、消費やストリート文化の主体などが女性の時代へと切り替わりました。実際、2004~’05年あたりで日本の景気が上向きになったのは、ポストギャル世代のおかげといえます。そういう点においてもギャルの存在は大きいし、今回のブームによって、もう一度日本の経済が上向きになるといいなと思っています。

女子高生のトレードマーク、ルーズソックスが今、人気です。

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ギャルの代名詞でもあったコギャル(=女子高生のギャルのこと)の、マストアイテムといえば、ルーズソックス。100cm前後もある丈の長いソックスを、ボリュームを持たせて履くのがトレンドに。120cmを超えるスーパールーズなるものも登場した。それが今年、またしてもブームになっているという。インスタグラムで「#ルーズソックス」と検索すると、約3万件もの投稿があり、短い制服のスカートに合わせた当時のギャルを思わせる着こなしをしている人もたくさん。一方で、日常使いというより、ディズニーランドに行ったときや学校の行事の日など、少しスペシャルな日に履いているところが今の特徴のよう。また、ストリートなウェアに合わせたりと、ファッションアイテムの一つとして取り入れているケースも。黒やパープルなど白以外のカラーを履いている人も多かった。このままルーズソックス文化が根付くのか、注目です。

今年、『タビオ』からリバイバルとして発売された、リブタックのルーズソックス。オフホワイトのほか黒など全4色展開。丈は約37cm。各¥1,100(タビオ TEL:0120・315・924)

今年の足元は、厚底&ロングブーツがトレンドに。

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ギャルのカリスマといえば、1995年にソロデビューを果たした安室奈美恵。細眉やチェック柄のミニスカートなど数多くのトレンドを生み出し、彼女のスタイルを真似する人を指す“アムラー”という言葉も誕生した。15~20cmの高さを誇る厚底のロングブーツもその一つで、厚底サンダルとともにギャルの間で大ブームとなった。ソールはトゥとかかとがセパレートしているものと一体化しているタイプがあり、歩きにくさゆえ転倒する人も多かったという。そんな厚底アイテムの人気が、再び高まっている。この秋冬シーズンには、多くのブランドから膝丈のロングブーツが発売。ギャルだけでなく、カジュアルなどさまざまなコーディネートに合わせる提案もされている。また、マーク・ジェイコブスやシモーネ・ロシャなどハイブランドのランウェイにも、厚底アイテムが登場して話題に。当時、次第にソールは分厚くなっていったが、果たして今回は…!?

上段右・レースアップのスニーカーソールブーツ¥11,000(jouetie https://jouetie.com/) 中・シモーネ・ロシャのブーツ。左・マーク・ジェイコブスも厚い!

ギャルに愛されたブランド『LOVE BOAT』が復活!

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1994年に誕生し、ギャル御用達のブランドとして愛された『LOVE BOAT』。「ラブボ」とも呼ばれ、ギャルのみならず、当時の女子たちはみんな、そのアイテムやショッパーを欲しがったもの。2014年に惜しまれながらブランドを終了していたが、この度、『アベイル』で扱うブランド『シュリーブ』とのコラボレーションにより復活! この嬉しいニュースに、胸を熱くした人も多いのでは。第1弾アイテムとして登場したのがロングスリーブTシャツとトレーナーで、当時と変わらないロゴがワンポイントになっている。また、みんながこぞって使っていた折り畳みミラーも、抽選によるプレゼントが行われた。第2弾のアイテムも待ち遠しいところ!

右・多くのギャルが愛用していた折り畳みミラー。下・ロングスリーブTシャツ各¥1,650(SUREVE×LOVE BOAT/イーカムグループ TEL:050・3529・4545) アイテムなどの詳細は、インスタグラム(@sureveofficial)でチェックを。

伝説のギャル雑誌『egg』のガチャ登場!

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1995年に創刊し、リアルなギャルの姿をとらえ、発信してきた雑誌『egg』。2014年に休刊するも、「web版egg」として復活した。そんな『egg』のガチャが来年1月に登場! 気になる中身は、エグモ(eggモデル)がプリントされた缶バッジや、ブリテリさんをはじめ、平成を彩った伝説のエグモの表紙をアクリルキーホルダーにしたものなど。令和と平成のギャルたちを揃えると、バイブス、テンアゲ~!

「egg×MIXカプセル」は来年1月に全国のカプセルトイコーナーで発売。1回¥300。平成から受け継がれるギャル魂を感じるアイテムばかり。https://eggegg.jp/

ギャルを描いた名作「GALS!!」が大ヒット中。

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1999年から2002年まで『りぼん』にて連載された、藤井みほな先生が手がける漫画「GALS!」。“渋谷最強のギャル”といわれた主人公・寿蘭と、その友人である星野綾、山咲美由の3人を中心に家庭問題の解決や成長を描き大ヒット。そして、2019年には続編「GALS!!」がスタート。新しい読者も獲得し、熱い支持を集めている。しかも今年は、「東京ガールズコレクション」とのコラボレーションが実現。アパレルやアクリルスタンドなどのアイテムが登場、また、11月13日から漫画の舞台でもある渋谷でポップアップショップが開催される。ハイテンションながら心に染みる、ギャルの生き様が詰まった今作。作品とイベントの両方を楽しんで。©藤井みほな/集英社

くりた・のぶよし 甲南大学文学部教授。主に美容化粧服飾と流行、女性誌などを研究している。『メイクとファッション 美容化粧服飾の戦略と呪縛』(晃洋書房)など、著作多数。

※『anan』2021年11月17日号より。写真・Fujifotos/アフロ IMAXtree/アフロ

(by anan編集部)