信号待ちも深呼吸…“すき間マインドフルネス”のすすめ

2020.9.5
日常の空き時間に“今に集中する”マインドフルネスを試してみて。感情や雑念に流されない、平穏な気持ちを取り戻せる。

心を落ち着かせて、脳を休める方法。

「マインドフルネスは“今に集中”するためのトレーニングです。心が落ち着かせ、脳を休める方法ともいえます」と、日本でメソッドの紹介を行う、荻野淳也さん。

たとえば、何か物事に取り組もうとしたとき、それに反してさまざまな感情や雑念が湧くことがあるが、まさにそれが今に集中できない状態。感情や思考がとっ散らかっているため、ストレスの原因となり、心を疲弊させるという。

「そんな心のざわつきを、“今この瞬間”に注意を向けてクリアな状態にするのがマインドフルネス。自分の内面で起きていることに気づく力が養われるため、一時的な感情や雑念に流されることが少なくなります」

いろいろなトレーニング法があるが、今回は一日中、すき間時間に簡単に行えるものを紹介。

「長時間行うより、毎日短時間で行うことが大切。続けると集中力が高まり感情をコントロールできるようになるので、穏やかな気持ちが保てるようになります」

マインドフルネス基本の瞑想。

Health
  1. 椅子に腰掛けて骨盤を立て、脚は組まずに地面に足裏がついていることを意識して座る。
  2. 背骨の一本一本がまっすぐスッと伸びるイメージで、背筋を伸ばし、肩を3~4回回して胸を開く。
  3. 両手を膝の上にのせる。
  4. 目を閉じるか半眼にしてゆったり構える。
  5. 呼吸は鼻から吸って鼻から吐き出し、吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにお腹が凹む腹式呼吸でゆったり行う。

マインドフルネスの基本瞑想がこちら。毎日5~10分、3週間ほど続けると変化が感じられるという。今回紹介する、すき間マインドフルネスとともに試してみて。

【朝/起床後】

朝起きたら「今から始めるよ!」と自分にスイッチを入れるために、朝一番の“チェックインの合図”を行う。
朝の慌ただしさに流されないように、一日の始まりを強く意識する自分だけの“チェックインの合図”を行おう。伸びをする、窓を開けるなど、何でもOK。

植物を育てて毎日水やりをする。
余裕がなくなると周囲に目を向けることが難しくなる。ゆとりを保つために、植物を育てるのはおすすめ。その際、土や葉、芽や蕾の状態などもじっくり観察。

洗顔は洗うことだけに集中する。
洗顔時は洗うことだけに集中し、洗顔料を泡立てたり、お湯で洗い流す心地いい感覚に意識を向けて。「この後○○をしなくちゃ」と、次の行動は考えないように。

天気予報ではなく、空の様子から天気を感じる。
外の空気を吸って空を見上げ、自分の体で天気を感じ取ってみて。雲の形や空気の湿り気、風の流れなど、五感をフル活用すると自分の体の感覚にも敏感になれる。

花の香りをたどりながら散歩する。
忙しいと視野が狭くなり、日常の些細な変化に気づけなくなる。散歩中、道端の木々や花の香りに意識を向けて。かすかな自然の匂いに五感も研ぎすまされていく。

朝/通勤時

信号待ちの間、深くゆったりした呼吸を1回だけ行う。
信号待ちのわずかな時間も、マインドフルネスのプチ瞑想が行えるチャンス。1回だけでもいいので、鼻から吸って鼻から吐く呼吸を深くゆっくり行おう。

通勤電車やバスに乗っている間、つり革が揺れる音に耳を傾ける。
イライラしがちな満員電車やバス。つり革が揺れる音など、普段気に留めないものに注意を向けると気持ちが切り替わり、負の感情から意識を切り離せる。

出社後~勤務中

エレベーターの中で、呼吸の数を数える。
エレベーターの中は、沈黙を保てる場所。目的階に着くまでの時間、自分の呼吸の数を数えて落ち着きを取り戻そう。限られた短い時間だからこそ、集中力も高まる。

メールを送る前に深呼吸する。
イライラしているとメールも感情的な文章を送りがち。送信する前に一度呼吸を深める習慣をつけておくと、気持ちのリセットにもなり一石二鳥。

ドアの開け閉めは両手でする。
何気ない行動も丁寧に行うと、心のありようが変わる。ドアの開け閉めは片手でなく、両手を使って。応用編として、相手に物を渡すときに両手で行うのもよい。

待ち時間は「神様がくれた貴重なすき間時間」だと思う。
仕事相手からのリスケやドタキャンで生まれた突然の空き時間。イライラするのでなく、「神様がくれた心を整える時間」と発想を変えて、今やるべき作業に集中。

荻野淳也さん 一社マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事。マインドフルリーダーシップ、コーチングなどを軸に企業支援や講演会を行う。著書に『がんばりすぎない休み方』など。

※『anan』2020年9月9日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・小沢緑子

(by anan編集部)