お笑い・宮下草薙の結成秘話「第一印象は“ヤバいヤツ”だった」

2020.2.8
写真撮影の最中、「これ、ドッキリじゃないですよね?」とモジモジしていた草薙航基さん。「すいません。僕ら写真が苦手で」とフォローする宮下兼史鷹(けんしょう)さん。そのやりとりがナイスコンビネーション。注目のお笑いコンビ宮下草薙の素顔に迫ります!
miyashitakusanagi

――撮影中、スタッフからも「可愛い」という声が上がってました。

草薙:みんな、イジってくるんだもん。(困った顔をする)

宮下:これ、草薙のマジな反応なんですよ。だって、本当は全然、可愛くないし(笑)。

――特に草薙さんは、最近女性から“可愛い”と評判ですよね。

宮下:まぁペット的な感覚なんですかね。モテてはないですよ。

草薙:僕は褒められたことが、これまでの人生でほとんどなかったんで。「可愛い」なんて言われても、どう反応していいか、わからないんです。「面白い」って言われてもわからないもん、返し方が。

宮下:それは「ありがとうございます」でしょう。

草薙:ああ、そうかぁ。

宮下:面白いことやりたくて、やってるんだからさ。

――テレビで見せる、草薙さんのリアクションは素なんですか?

草薙:たまに、カンペで「髪ぐしゃぐしゃにしてください」とかって指示が出る時あるんですけど、意識したらできないんです。

宮下:草薙がキャラでやってると思われるのがいちばんイヤですね。緊張して、どうにもならなくなってるだけで。そこは声を大にして言いたいです。こいつは、本当に変なヤツなんです。

――いつも素直な草薙さんに励まされてる、って意見も多いです。

草薙:そうなんですか? 僕はツイッターもやらないし、ネットもまったく見ないから。みんながどう思ってるか知らないし、僕は何にも変わらない。

――草薙さんの素の反応を見てると、ありのままでいいんだって感じがするんじゃないですか?

草薙:僕、そのまんまでいいんだ。

宮下:そのまんまじゃダメでしょ。おまえはたまたま運が良かっただけで。こんなヤツ見習わないでください(笑)。

――おふたりの恋愛事情に関してお伺いしてもいいでしょうか。

宮下:草薙は恋愛経験ないんで。

――それは、そんなキャラクターを演じているわけではなく?

草薙:はい。

宮下:草薙は人類の末端で、子孫を残そうという本能が抜けてるんでしょうね。

――番組で、可愛い女性とデートする企画もしてますよね。

草薙:やればやるほど、「もうカンベンして」って思う。

――どんな恋愛に憧れますか?

草薙:僕、そもそも恋愛への興味があんまり……。

宮下:こいつは、人を愛することを知らないんです(笑)。

――宮下さんの恋愛事情は?

宮下:自分が結婚に向いてると思ってないので、結婚願望はないんですけど……。

草薙:変なヤツとつきあうよね。あんまりバラすと怒られるけど、面倒くさい人が寄ってくる。

宮下:はっはは。僕は人から、“メンヘラほいほい”って言われてるんですよ。まわりに変な人しかいないから。その筆頭が草薙だけど(笑)。でも、僕は何かひとつでも自分より上なとこがあると、変わった人でも好きになるし、好かれちゃうってとこはあるかな。

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――おふたりは、そもそもどうしてコンビを組まれたんですか?

草薙:太田プロの養成所で一緒だったんで。

宮下:最初の自己紹介で草薙はべろべろに酔っぱらって出てきて、途中で吐きそうになってそのまま席に戻ったんです。だから第一印象は“ヤバいヤツ”だった(笑)。

草薙:宮下は、当時ひとりで漫談やっていて、同期のなかの一推しって評価されてたんですよ。

宮下:まぁ、僕はずっとお笑い好きで、養成所行く前からネタをいっぱい作ってたりしてたからね。

草薙:養成所って、面白いヤツのことが怖いみたいな雰囲気あるから。ネタ見せの後に、みんな宮下のところに行って意見を聞くみたいな感じがあって。僕は怖くて、宮下のことが嫌いでした(笑)。

――では、最初は別々に活動してたんですね。

宮下:はい。僕はずっとピンで漫談やっていて。草薙はコンビ解散をくりかえしてたんです。

草薙:3組目の解散をした時、僕はもうどうしたらいいかわからなくて、辞めるしかないのかなぁと思ってたんですけど……。

宮下:僕はこいつのこと“ヤバいヤツ”だけど、ずっと面白い逸材だと思ってたんでね。だから、辞めるのはもったいないと思って、コンビになろうって誘ったんです。

――どう口説いたんですか?

宮下:「俺とやれば売れるけどね」だったかな?

草薙:「ヤバっ! 目をつけられた」って思いましたけど(笑)。宮下すごい自信あるし、ちょっとだけやってみようという気になって。それで、漫才やってみたらすごいウケて、同じようなネタをやってるのに、相方替えればこんなに違うんだって実感したんです。

――宮下さんはその時、ピン芸人として評価されてたんですよね。迷いはなかったんですか?

宮下:イジられた時の面白さだったり、キャラクターの個性だったり、草薙は僕にないものを全部持ってたんで。僕はお笑い好きにしかウケないタイプだけど、こいつは万人を笑わせられる爆発力もある。コンビを組んで、草薙の面白さを伝えていけば、売れると信じてました。

草薙:でも当時、こんなに僕を評価してくれるのは宮下だけで、まわりはみんな、コンビを組むことに反対したんです。宮下はひとりで結果出してるのに、どうして急に変なヤツと組むんだって。

宮下:僕は自分にも、自分の見る目にも自信があったから。何を言われても気にならなかった。

――宮下さんのその揺るぎない自信はどこからくるんですか。

宮下:うち両親が離婚してて、小学5年生の時には自分が弟の面倒みなきゃいけない状況だったので。もう人生を何周も経験した感覚があって、悟りをひらいてるところはあるかもしれないですね。

――おふたりでやった最初の頃の漫才って覚えてますか?

草薙:最初のボケがすべって、立ち位置変えたんだよね。

宮下:あぁ、あったね。今は漫才の時、草薙が向かって左、僕は右なんですけど、最初の時は左右逆の位置で立ってたんです。

草薙:それが漫才をしてる途中で右側の景色が怖くなっちゃって。思わず左に移動したんです。

宮下:ネタの最中に意味もなく位置変えるなんてありえないんだけど、それがウケて。立ち位置もそれで定着して、今に至るんです。

みやしたくさなぎ 2016年結成。『ぐるナイおもしろ荘SP』で活躍し、注目を集める。ツッコミの宮下兼史鷹(けんしょう)(1枚目写真右)は1990年生まれ、群馬県出身。養成所に入る前にネタを100本書きためていたという熱きお笑い愛を持つ。ボケの草薙航基(1枚目写真左)は1991年生まれ、愛知県出身。2018年の『アメトーーク!』の最優秀新人賞を受賞するなど、注目の逸材。

ふたりにとって人生初の書籍『宮下草薙の不毛なやりとり』(学研プラス)が発売中。ありのままの日常を描いた宮下さんの漫才台本のような文章、草薙さんの描いたまったり4コマ漫画、それぞれのロングインタビュー、先輩芸人アルコ&ピースとのスペシャル座談会などが掲載されている。グラビアで披露したシックな和服姿も要注目!

※『anan』2020年2月12日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・高松由佳 インタビュー、文・伊藤愛子

(by anan編集部)

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