マンション管理人が教える! 知らないと絶対に損する「賃貸物件の特徴」

文・小田原みみ — 2023.1.27
進学、就職、異動で賃貸物件を探しているというかたも多いのではないでしょうか? 毎日過ごす家だからこそ、絶対に間違った選択は避けたいし、損はしたくないですよね。不動産営業の経験があり、現在はマンションの管理人を務めるカミナカさんに、物件探し時に気をつけるべきことを教えてもらいました。

マンション管理人直伝! 気を付けたほうがいい物件の特徴

【マンション管理人が教える賃貸物件のあれこれ】vol.1

――物件を探していると、契約時に「敷金」「礼金」が必要なところがありますが、あのお金って一体何に使われるんですか?

カミナカさん まず、敷金から説明しますね。通常、敷金は退去時のお部屋のクリーニングやリフォーム代として充てられます。これらの代金は、通常は敷金内で収まり、差額は返金されます。また、敷金は預り金なんです。なので、入居したものの、何らかの理由で家賃を滞納してしまった場合、まずは敷金から家賃をお支払いいただくことがあります。その場合、退去時のルームクリーニング費用等に不足が生じれば、別途請求されます。

礼金は、その物件の家主に対するお礼金です。このお金は、退去時に返金されません。以前は、賃貸物件に入居する際、借主が家主に対して「お世話になります」というように、立場的に家主が上に立つ場合が多かったように感じます。しかし、ここ最近、賃貸物件の契約はお互い様という風潮が強まり、礼金が必要な物件は減少しつつあります。とはいえ、人気の高い新築物件は貸し手市場なので、強気で礼金を設定している場合もあります。

――たまに、「敷金・礼金ゼロ」という物件もありますが、あれは一体どういうカラクリなんでしょうか?

カミナカさん 一概には言えませんが、家賃を高めに設定している場合が多いのではないでしょうか。物件を借りる際、まとまったお金が必要なので、その金額が少しでも安いほうがいいと考える人が多いと思います。しかし、敷金礼金ゼロの物件は条件的に割高になってしまう場合があるので、要注意です。本来であれば敷金から支払われるはずの退去時のクリーニング代がどうなっているかなど、必ず事前に確認しておいたほうがいいですね。

――家賃交渉をするコツってありますか?

カミナカさん 物件も人の動きも少ない6~8月の物件探しは、他の時期に比べると比較的家賃交渉をしやすい時期と言えます。逆に、1~3月と9~11月は家賃交渉が難しい時期。1~3月は、進学、就職、異動で1年でいちばん物件も人も動き、9~11月は意外と異動があって人が動くんです。このような時期は、わざわざ賃料を下げなくても賃貸契約に結び付く物件が多いので、家賃を下げない場合が多いと思います。とはいえ、賃料を下げる下げないは全て家主の意向次第。家賃交渉をされることを見越して少しだけ高めに設定している人もいれば、その時の空室率によって対応が変わる人もいれば、絶対に交渉に応じない人もいます。個人的にはダメ元で交渉するのをオススメします。

――物件を探す時に、絶対にチェックすべき見逃しがちなポイントってありますか?


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カミナカさん 2つあって、ひとつめは可能な限り、夜にその物件の周辺の状況を確認することです。街灯の数や明るさなど、夜にならないと分からない状況を知っておくことがオススメです。そして、もうひとつは、物件見学の際に必ず共用部をチェックしておくこと。物件を見に行く時って、気持ちがお部屋だけに向いていることが多いと思います。だけど、マンションのエントランスやエレベーターホール、廊下、ゴミ置き場等の共用部がキレイな物件は、家主さんがきちんと管理している場合が多く、逆に汚れが目立つ場合は、管理が甘い物件が多いと思います。管理がしっかりしているほうが、困りごとが生じた際に家主に相談しやすく、安心して暮らせるのではないでしょうか。

――これから物件探しをするかたにアドバイスはありますか?

カミナカさん 1~3月は引っ越しの予定があるけど、まだ確定ではない、具体的な場所が決まっていない、というかたが多いと思います。このような時期にできることは、例えば、進学の予定があれば、その学校の学生は何線沿いに住んでいる人が多いのか、何駅に住んでいる人が多いのか、というリサーチをすることがオススメです。
インターネットでこの物件いいな! と思って、いざ仲介会社に行ってみると、既に他のかたに決まってしまったということが多々あると思います。しかし、残念に思うことはありません。この時期は本当に賃貸物件が動く時期なので、必ず見つかりますよ。

教えてくれた人
カミナカさん 宅地建物取引士所持。不動産業界に携わって20数年。現在は、約50戸のマンションの管理人を務める。心を揺さぶる音楽が好き。

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