現代のクリエイターも刺激受ける「琳派」の魅力

2018.5.28
現代のクリエイターも刺激してやまない「琳派」の魅力に迫る「【特別展】琳派―俵屋宗達から田中一光へ―」が山種美術館で開催されている。

江戸時代に俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一らを中心に花開いた「琳派」の伝統をたどりながら、現代まで受け継がれるデザイン性にも注目した展覧会。俵屋宗達の≪風神雷神図屏風≫や、尾形光琳の≪燕子花図屏風≫など、誰しも一度は目にしたことがあるだろう名作を生み出した琳派だが、狩野派のように同じ一族でもなければ、フランスの印象派のようにある時代の芸術運動というわけでもない。前出の3人も、実は生きた年代は重なっておらず、それぞれが先人に影響を受けながら、リスペクトしつつ画風を継承したという関係性なのだ。

特徴は、大胆な構図などに見られる、どこかグラフィカルな装飾性。そこに影響を受けた近・現代の日本画家や芸術家は少なくなく、20世紀を代表するデザイン界の巨匠・田中一光もその一人。本展では、琳派のエッセンスを取り入れた田中一光のポスターも展示され、琳派が今日も息づいていることを感じられる。

琳派1

俵屋宗達が金銀泥で鹿の絵を描き、本阿弥光悦が新古今和歌集の和歌を選んで書いた。もとは22mの巻物で、鹿のさまざまな姿が描かれている。俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) ≪鹿下絵新古今集和歌巻断簡≫ 17世紀(江戸時代)紙本・金銀泥絵・墨書 山種美術館

琳派2

日本美術研究家で、古筆や絵巻の模写を数多く手がけた田中親美。この原画は平家一門が厳島神社に奉納した経典で、国宝に指定されているもの。田中親美 ≪平家納経 願文見返し(模本)≫20世紀(大正―昭和時代) 紙本・彩色東京国立博物館 Image:TNM Image Archives

琳派3

≪平家納経≫の構図を引用したポスター。田中一光がどれほど琳派に触発されたかが分かる。田中一光 《JAPAN》 1986(昭和61)年 紙・シルクスクリーン 東京国立近代美術館 ©Ikko Tanaka 1986/licensed by DNPartcom

山種美術館 東京都渋谷区広尾3-12-36 開催中~7月8日(日) 10時~17時(入館は16時30分まで) 月曜休 一般1200円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2018年5月30日号より。文・黒澤 彩

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