VTuber・渋谷ハル「僕たちのような入り口から入ってゲームを楽しんでもらえたら」

2022.2.5
気高く戦う、FPS界の騎士。ゲーム実況で圧倒的な存在感を放つ、渋谷ハルさんに迫ります。

渋谷ハル/チャンネル登録者数 67.1万人

・初めてやったゲームは?/『ポケットモンスター ルビー・サファイア』
・一番熱中したゲームは?/『AVA』
・ゲーム選びのポイントは?/気になるな、と思ったら一回触ってみる
・配信のターニングポイントは?/大会を主催してリスナーが増えたこと
・実況で気をつけていることは?/ネガティブなことは言わない

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人と人との繋がりを生む、VTuberの世界。
VTuber黎明期の2018年に誕生した渋谷ハルさんは、『PUBG』や『APEX』などのFPSゲームで圧倒的な存在感を放つ実況者だ。2020年に行われた、『APEX』を採用したeスポーツイベント「RAGE×Legion Doujou Cup」では、劣勢から形勢逆転しチームを優勝に導いた。ゲーマーとして確かな腕を持つ渋谷さんの初めてのゲームは、『ポケモン』の『ルビー』と『サファイア』。周りの友達と交換や対戦を楽しんだそうだが、本格的にゲームをするようになったのはパソコンを買ってからだという。

「よくニコ動のランキングを見ていたんです。それで初期の『マインクラフト』が気になって、パソコンで遊んだのが最初ですね。そのあとに5対5で戦う『AVA』をやるようになって、それからはFPSばっかり。『オーバーウォッチ』『PUBG』『APEX』、一通りやりました」

FPS沼にどっぷり浸かっていた2018年、ニコニコ動画で突然にVTuberが流行り始めた。

「その過程をちょうど見ていたんです。コミュニティができて、人と人との繋がりが生まれていくのがいいなあと。僕もVTuberになりたいと思いました」

自身で2Dのキャラクターを作り、“渋谷ハル”としてYouTubeチャンネルを開設した。“エイト・トゥウェルブに勤めるバーチャルコンビニ店員”という設定を持ち、通常はコンビニのユニフォームを着用。FPSなどゲーム実況の際はマント姿へと変身する。フリーだったため、VTuberとしての様々な決まりごとも、全て自分で決めた。初めの頃はなかなか再生回数が伸びず苦労したという。

「全然見てもらえないし、どうしたらいいんだろうと悩みました。それで、VTuberを80人くらい集めて『PUBG』の大会(『VTuber最協決定戦』)を開催したんです。各参加者のリスナーが視聴すれば、相互にプラスになるだろうと思って。そうしたら、企画が面白いと話題になってハネたんです。当初、僕の登録者数は300人くらいだったのが、一気に5000人から1万人くらいまで増えたんですよ」

自身のプロモーションを兼ねて計画した大会だったが、反響を受けてそれ以降も開催が続いた。さらに『APEX』が流行したことが、渋谷さんの人気を決定づけた。

「僕は『1』からプレイしてたんですけど、その頃はユーザーが少なかった。でも『4』や『5』くらいから流行りだして、一気にメジャータイトルになったんです。いつか人気が出るとは思ってたけど、想定の上を行きましたね」

オンラインゲームは息が長いものが多いから、触れたゲームが、いつ爆発的なヒットをするかわからない。それもあって、気になるゲームは必ず一度はプレイする。

「新しいゲームは2~3回遊んだら、わりとすぐ次、ということが多いです。やっぱり自分で試してみないとシステムもわからないし、面白さも実感できませんから」

ゲームでも、雑談配信でも、実況中は喋りっぱなし。渋谷さんはこんなことを気遣っているという。

「実況のときはネガティブなことを言わないようにしています。嫌なコメントが来ても怒ったりヘコんだりせずに、茶化すくらいの感じで返す。コミュニケーションの基礎ですね。僕自身、早くからニコ動でVTuberを見ていた一人のファンなので、こういうことはしないでおこう、反対にどんどんやってみよう、というポイントはわかっている気がします」

渋谷さんが見据えているのはゲーム実況の底上げだ。VTuberがもっと活躍して、実況という文化を押し上げる一助になればと考えている。イベントの主催や、ゲームが好きな芸能人とのコラボに果敢に取り組むのはそのためだ。

「ゲームが持つ力はものすごいけれど、どうしたって届かない層もいる。そういう届き得ないところにも影響を与える存在がVTuberだと思ってるんです。僕たちのような入り口から入ってもらって、ゲームを楽しんでもらえたら。そう願っています」

大切なゲーム

『Alliance of Valiant Arms』

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韓国のNEOWIZが開発するオンラインFPSゲーム。通称「AVA」。美麗なグラフィックが特徴的で、攻撃側、防御側の2チームに分かれて戦う。2008年リリース。

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しぶや・はる 2018年にYouTubeチャンネルを開設し、VTuberとしての活動をスタート。『PUBG』『APEX』のライブ配信のほか、「歌ってみた」も多数。「VTuber最協決定戦」主催。昨年10月にVTuber事務所meriseを設立し、運営兼所属タレントに。
◎登録者数は1月20日現在

※『anan』2022年2月9日号より。イラスト・望月けい 取材、文・飯田ネオ

(by anan編集部)