芸能人がYouTubeに進出した結果…最新トレンド&今後は?

2019.12.13
情報収集やコミュニケーションをいつでもどこでも行える時代。追い風に乗るYouTubeはいま、さらに魅力的なメディアとして人々を掴んで離さない! 一体なにがみんなをそこまで駆り立てているのか。YouTubeのトレンドを、徹底分析しました。

様々なニーズに応える各ジャンルの動画が増加。

youtube

いまや若者のカルチャーのひとつとして根付いたYouTube。どうして彼らは、こうも熱狂しているのか。その理由は、若者特有の“時間意識”にあるという。

「いまは情報過多な時代です。ネットの普及により情報量が爆発的に増え、それを取捨選択しなければいけなくなりました。現代に生きる若者たちは、想像以上に忙しい。だからこそかける時間と得られるメリットとを天秤にかけ、判断するようになりました。そんななか、任意のタイミングで好きなコンテンツに触れられるYouTubeは、彼らのライフスタイルにマッチしたといえるでしょう。それがここ数年の爆発的な広がりの一因です」(電通若者研究部プランナー・古橋正康さん)

しかもYouTubeにはレコメンド機能もある。好きな動画を見ていれば、次から次へと好みの類似コンテンツが表示され、自ら探しにいく手間すら省けるのだ。

「費用対効果を“コストパフォーマンス”と表現するように、我々の間では時間対効果を“タイムパフォーマンス(略して、タイパ)”と表現しています。若者の間では、この意識が強く、YouTubeはまさにタイパのいいメディアというわけです」(古橋さん)

また、一昔前に比べ、投稿される動画にバリエーションが出てきたことも熱狂の理由だという。

「HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんが出始めの頃は、いわゆるお笑い系が全盛期。2017年頃からはメイクなどのハウツー系をはじめ、ジャンルの広がりが加速しました。そこで熱狂ぶりがよりセグメント化されたんだと思います。さらに双方向のメディアとして、YouTuberとファンがより一体化してきたのも一因です。昔は話題重視の振り切ったネタが多かったけれど、いまはファンのニーズに合ったコンテンツも提供する方向にシフト。それにより、根強い支持を獲得する人たちが目立つようになりました」(インプリメント株式会社取締役社長・木村博史さん)

そして、若者たちの“検索の仕方”の変容も関係している。

「いまは“動画検索”の時代です。なにかを知りたいときはまず動画を探す。その方がわかりやすいですから。そういった動きも、YouTubeが支持される理由なのでしょう」(木村さん)

プラスαの価値を提供するチャンネルが人気上昇中!

YouTubeに投稿される動画には、より専門性やオリジナリティが求められるようになった。なかでも人気を集めているのは、楽しみながらなにか知識を得られるような、“一石二鳥”のコンテンツ。これもまた、タイパ意識が高まった結果なのだろう。

「いまの若者は、情報に確かな価値があるかどうかという“情報確実性”を重視する傾向が強い。だから、娯楽として楽しみながら、ちょっとした情報も得られるハウツー系のような動画が支持されているんです」(木村さん)

知的エンタメ

日々時間に追われる生活のなかで、タイパの高さから厚い支持を集めているのがこのジャンル。バラエティ番組を見るような感覚で楽しみながらも、様々な知識や雑学を仕入れることができる。

はなお
微分積分をカジュアルに! 理系ってこんなに面白い。

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「文系でも楽しめる理系動画」がメインのチャンネル。微分積分や円周率の計算とバラエティを融合させ、笑いながら知識を身につけられる。チャンネル登録者数は約148万人。

QuizKnock(くいずのっく)
テレビでも活躍する東大生。頭脳を駆使して難問に挑む。

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チャンネル登録者数は100万人を突破。人気テレビ番組『東大王』(TBS系)に出演する伊沢拓司さんが中心となり、様々なクイズや入試問題に挑戦する動画を公開している。

NEOバラエティ

“素人っぽさ”がウケるYouTubeで、テレビ番組と肩を並べるくらいハイクオリティな動画も出現。CGなどの特殊効果を駆使したり、テレビ級の企画力を発揮したりと、技術力の高いものが続々。

だいにぐるーぷ
ずば抜けた企画規模。一度見たらやみつきに。

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チャンネル登録者数は約51万人。中学校からの友人6人組で結成され、心霊スポットや無人島を舞台にするなど、手の込んだ企画を番組化。企業協賛も入るほど本格的で、注目度も高い。

れーと先生
ゲームの世界を完全再現。VFX技術で日常が壮大に。

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日常生活を映し出した動画にCGを合成した、ダイナミックかつクスッと笑えるチャンネル。短い制作期間で、技術を活かした動画を投稿している。チャンネル登録者数は約125万人。

YouTubeが生み出すのは“より身近なスター”。

ファンにとって、YouTuberの魅力のひとつは“距離の近さ”だ。ゆえに視聴者はより親近感を抱きやすく、それが彼らの人気を支えているのだという。

「ときに失敗した姿も見せてしまうYouTuberは、その身近さで若者たちの心を掴んでいます。でも、映像が持つ近寄りがたいスターのようなオーラも兼ね備えている。いわば、彼らは“身近なスター”。新しい時代に誕生したカリスマですよね」(木村さん)

また、ここ最近はテレビの第一線で活躍するような芸能人も続々とYouTubeに参戦してきている。持ち前のタレント力を活かしてあっという間に登録者数を増やし、生配信やイベントなども開催。それもまた、普段テレビでは見せないようなフランクな姿を垣間見られるとして、人気を博しているスタイルだ。

「元々フォロワー数を持つ芸能人が入ってきて、一気に視聴者との距離を近づければ、人気が出るのは当然のことでしょうね。彼らはたった一度の配信で100万を超える再生回数を記録したりもします。その事実に戦々恐々とするYouTuberも少なくないとは思いますが、結果的にYouTube全体が盛り上がることにもつながっていくと思いますよ。今後も、芸能人がどんどんYouTubeを始める可能性は高いのではないでしょうか」(古橋さん)

ジャンルが細分化され、専門性が高まり、芸能人も参加するようになったYouTube。より多くの人が楽しめるメディアとして、今後さらにどんな進化をしていくのか、要注目!

古橋正康さん 電通若者研究部(電通ワカモン)プランナー。若者の新しい感性や価値観の潮流をいち早く捉え、企画・プランニングを行っている。

木村博史さん インプリメント株式会社取締役社長/COO。動画プロモーションのサポートなどを行い、YouTubeに関する著書も出版している。

※『anan』2019年12月18日号より。イラスト・黒猫まな子 取材、文・五十嵐 大

(by anan編集部)

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