志村 昌美

高杉真宙「藤井流星さんの色気と存在感に魅了された」初共演への思い

2021.5.29
大人気コミックからはじまり、ドラマ、映画と着実にパワーアップしている『賭ケグルイ』シリーズ。最新作となるのは、映画版第2弾の『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』です。その舞台裏について、本シリーズには欠かせないこちらの方にお話をうかがってきました。

高杉真宙さん

【映画、ときどき私】 vol. 384

舞台は、ギャンブルの強さで生徒の階級が決まる私立百花王学園。高杉さんは、“最狂の賭け狂い”である主人公・蛇喰夢子の親友としてつねに隣に寄り添っている鈴井涼太を演じています。今回は、役に対する思いや現場の様子、そして人生を賭けた自身の分岐点について語ってもらいました。

―まずは、劇場版の続編が決まったときのお気持ちから教えてください。

高杉さん 3年くらいこの役をやらせていただいていますが、僕自身も鈴井ともう一度会えるんだとうれしい気持ちが強かったです。そういったなかでも、進化した鈴井と以前とは違う高杉真宙を見せられたらいいなと思って挑みました。

どこまでできるかわかっているぶん、その信頼を裏切ることなく、さらに上を目指していく必要がありますが、それを超えていくところにもおもしろさがあったと思います。

―前回演じたときから、2年ほど空いていると思いますが、すぐに感覚は戻りましたか?

高杉さん 今回は、わりと時間がかかりましたね。特に大変だったのは、『賭ケグルイ』でも大事なリズム感を思い出すこと。ラスボスのようなキャラクターがたくさんいるなかで、それぞれ異なるリズム感を持つみなさんにうまく乗っていくのが鈴井の役割でもあるので、その感覚を取り戻すのにけっこう苦労しました。

―個性の強いキャラクターの方々に囲まれていますが、惹かれる女性キャラクターはいますか?

高杉さん あまりにもみなさん濃い方々なので、正直なことを言うと、できることならあまり関わりたくないキャラクターばっかりですよね。実際、僕がこの学園に入ったら、生きていける気がしません(笑)。

鈴井としては、浜辺美波さん演じる夢子と言いたいところですが、森川葵さん演じる早乙女芽亜里の男気があるところが意外と好きですね。ただ、芽亜里もお金にはがめついですからね……。

となると、やっぱり夢子の賭け狂っている姿と普段とのギャップが素敵だなとは思います。特に今回の映画版では夢子のお茶目な部分がときどき出ていて、これまでの作品とは違う魅力が見れるところもいいかなと。とはいえ、あくまでも「強いて言えば」ですけどね。そこは強調しておきたいです(笑)。

予測できないのがこの現場のおもしろいところ

―(笑)。このシリーズでは、高杉さんの顔芸もすごいですが、意識していることはありますか?

高杉さん 『賭ケグルイ』の現場に行くと、挙動不審に思われているかもしれませんが、役作りをするうえで僕は顔の筋肉をずっと動かしていないと落ち着かないんです。普段の生活で、あんなに顔を動かしていることはありませんから。

そういう意味でも顔をほぐす運動は、鈴井を演じるうえでは、すごく重要なこと。決して不審な行動ではなく、意味のあることだというのをちゃんと書いてもらえるとありがたいです(笑)。周りの方々もみなさんすごいので、それに負けないようにしたいという気持ちで演じました。

―今回は、劇中でミュージカルシーンもあり、驚きましたが、ご自身で演じてみていかがでしたか?

高杉さん そのシーンは、一番緊張しました。曲が送られてきたとき、『賭ケグルイ』で歌うことになるとは思わず、少し笑ってしまいましたが、本当にいろいろなことに挑戦させていただける現場だなと思います。でも、僕はあまり歌が得意なほうではないので、とにかく緊張しました。このシリーズでは、どこまで進化させられるんだろうと思いますが、予測できないのがこの現場のおもしろいところでもあるのかなと。結果的には、楽しんで演じられたと思います。

―では、主演の浜辺美波さんのすごさを目の当たりにしたような瞬間があれば、教えてください。

高杉さん 浜辺さんは、相変わらずオンオフの切り替えが早くて本当にすごいです。一番初めに夢子が賭け狂っているシーンを撮ったときの表情は、いまでも記憶に刻まれていますが、今回新たに最凶の相手と向き合うなかで、そのときのことを思い出しました。そういう浜辺さんの姿はかっこいいんですよね。いろいろな夢子の表情が見れますが、やっぱりそこが一番魅力的だなと感じています。

―素の浜辺さんはどんな方ですか?

高杉さん 最初は静かな方なのかなと思っていましたが、このキャストのなかでは一番年下なのに、一番しっかりしていて、みんなを守ってくれるような大人っぽいところがある方です。僕はこの現場ではいじられキャラなんですが、いつの間にか浜辺さんにもいじられるようになりました(笑)。でも、そうやって接してくださるおかげで僕は現場にいやすいので、優しい方なんだと思います。

鈴井のおかげで現場での立ち振る舞い方がわかった

―高杉さんは、以前からいじられキャラだったんですか?

高杉さん 『賭ケグルイ』の現場でいじられキャラでいることっていいなと気がついたので、僕に現場での振る舞い方を教えてくれたのは、鈴井かもしれません。最近は、自分と鈴井は意外と近いのかなと思うようになりました。ほかの現場でも、先輩からいじられることは時々ありますが、僕は自分から話しかけるのがあまり得意ではないので、コミュニケーションのきっかけにもなるいじられキャラは居心地がいいですね。いまはそれに甘えています(笑)。

―今回、初参加となったのは、シリーズ史上最凶最悪のヴィランである視鬼神真玄を演じたジャニーズWESTの藤井流星さんです。どのような印象を受けましたか?

高杉さん 以前、僕はジャニーズWESTのメンバーの方とお仕事したことがあったので、そういったお話もできるなとすごく楽しみにしていました。女性キャストが多くて寂しかったので、男性同士でいろんなお話ができてうれしかったです。

撮影中の藤井さんは、世界観もキャラクターもかなりしっかりと作り込まれていたので、すごかったですね。こちらも何かしないといけないと思うくらいの強い圧を感じて、本当に魅了されました。ダンスを踊りながら演じるシーンでは、すべての動作に色気があり、ラスボスとしての存在感もしっかりと出ていたので、これは勝てないなと思って見ていたほどです。

なので、もしギャンブルでペアを組むなら、藤井さんがいいですね。最後に華麗に決めてくれそうな気がしています。

大きい勝負では意外とギャンブルするタイプ

―そんなふうに魅了されつつも、高杉さんも鈴井くんとして負けたくないという気持ちもあったのでは?

高杉さん それも当然ありましたが、「アットホームだけど負けないぞ!」という気持ちがみんなのなかにあるのが『賭ケグルイ』の現場。チームでありライバルでもある関係をみんなが楽しんでいるからこそ、いい意味で競争ができているのかなと。それが、この現場のいいところだと思います。何年も演じるなかで鈴井は僕しかいないという自信もありますし、愛着だけは誰にも負けません。

―鈴井くんの好きなポイントはどんなところですか?

高杉さん すごくバタバタしているんですけど、自分のためだけではなくて、人のためにしているところが愛らしい人だなと。こんな学園でも、こういうキャラクターが生きていけるというのは、意味のあることだと思います。今回の映画では、男気があるところも見せているので、さらに好感度が上がりました。

―まだまだ高校生役は演じ続けられそうですか?

高杉さん 僕はいつか取材で「これが最後の高校生役なので、ぜひ見てください」と言いたいと考えていますが、そのタイミングを図っているところなので、いつになるかはわかりません(笑)。

―鈴井くんは少し頼りないところがありますが、高杉さんは一発逆転を狙うギャンブラータイプですか? それとも堅実派?

高杉さん どちらかというと、石橋を叩いて渡るタイプかなと思っているんですけど、おもしろければいいかなというところもあるので、大きい勝負のときは意外とギャンブルするタイプかもしれません。

この仕事を始めたことは大きな決断だった

―人生で一番の賭けに出たことといえば、どんなことですか?

高杉さん いくつかありますが、まずはこの仕事をしようと決めたのもひとつの大きな賭けだったかなとは思います。ギャンブルは一切しませんが、人生の分岐点ではどちらを選ぶかは重要なことですよね。なので、この仕事を始めたことは大きな決断だったなと改めて感じています。

ただ、普段はけっこう堅実なほうじゃないかなと。実際、ゲームセンターでUFOキャッチャーにお金を使いすぎていることに気がついて以来、UFOキャッチャーはすぐにやめました(笑)。

―(笑)。本作では、それぞれのキャラクターが絶体絶命に陥りますが、人生最大のピンチがあれば、教えてください。

高杉さん 幼少期のできごとですが、大きなお祭りで家族とはぐれて迷子になったときのこと。けっこう小さかったのに、あのときのことはいまでもはっきりと覚えているほどです。すごく不気味で『千と千尋の神隠し』みたいな感じでした。

それで、「あー、もう絶体絶命だ!」と思っていたら、近くの建物から家族が僕の名前を呼びながらのんきに僕に手を振っていたんです。母は焦っていたかもしれませんが、僕と家族の間にあまりにも温度差があることに驚いた記憶があります(笑)。

―無事でよかったです。では、夢子さんのギャンブル同様に、自分もこれを奪われたら生きていけないと思うものはありますか?

高杉さん ゲームですね! ただ、最近はゲームを愛しすぎるあまり、自分を律するのが大変になっていてよくないなと感じているので、もう少し趣味程度に収めるのがベストかなと感じています。ゲームのために、家にも早く帰るくらいですから(笑)。ほかのことをおろそかにしてはいけないとわかってはいるんですが、本当におもしろいんですよね……。

しっかりと中身のある人になりたい

―2年前にananwebでインタビューさせていただいたときに、「がんばった自分へのご褒美は?」という質問にも、朝から晩までゲームしたいとおっしゃっていましたよね(笑)。いまは何をご褒美にしたいですか?

高杉さん そういったこともあって、最近はもう少しほかにも趣味を作りたいなと思うようになりました。まだ出会っていないもののなかに好きなものがあるかもしれないので、「もっといろいろなことを試したほうがいいよ」と周りからも言われています。

もしかしたらゲーム以上に好きなものあるかもしれないと思って探していますが、まだその域にはたどり着けていないですね。でも、いま興味があるのはひとり旅。旅行をしても大丈夫な時期になったら、ぜひやってみたいなと思っています。とはいえ、いろいろなものを試したうえで、やっぱりゲームがいいと舞い戻ってくるかもしれないですが(笑)。

―新たに見つけたら、次回ぜひ教えてください。21歳になったばかりのときの取材では、「男らしさに憧れている」とおっしゃっていましたが、20代も半ばに差し掛かってきて、今後はどのようになりたいとお考えですか?

高杉さん もちろん、いまでも男らしさはほしいなと思っていますが、見た目だけではなくて、精神的に男らしい存在になりたいと考えるようになりました。最近、舞台でご一緒させていただいた藤原竜也さんが先輩としても人としても素晴らしくて、本当にかっこよかったので、そういう先輩を目の当たりにすると、20代前半で考えていた男らしさに対する憧れは浅はかだったなと。

自分がちゃんと成長をのぞめば、それに伴った速度で成長していけると思うので、これからもいろいろな経験を積んで、しっかりと中身のある人になりたいと改めて思っているところです。

インタビューを終えてみて……。

これまで高杉さんには何度も取材をさせていただいていますが、お茶目なところは変わらないまま、芯の部分ではますます強くなっているのを感じました。高校生の役もまだ最後ではないようなので、これからも幅広いキャラクターで私たちを楽しませてくれること間違いなしです。まずは、高杉さんにしか演じられない進化を遂げた鈴井くんに注目してください。

一度知ったら忘れられない刺激体験!

極限状態で繰り広げられる心理戦と張り詰めた緊張感、そして次々と巻き起こる罠に釘付けになってしまう本作。先が読めない命を懸けた壮絶なバトルにハマり、日常を忘れてしまうほどの興奮を味わいたい人にオススメです。


写真・安田光優(高杉真宙) 取材、文・志村昌美

ストーリー

ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。生徒会は、蛇喰夢子の脅威に危機感を募らせていた。一方、学園内では生徒会への上納金を支払えない“家畜”と呼ばれる生徒の数が爆発的に増加。「家畜の呪い」と呼ばれる現象によって、事態は混乱の一途をたどっていた。

そんななか、学園に突如現れたのは、視鬼神真玄と名乗る1人の男。2年前に起こしたある事件をきっかけに、生徒会長の桃喰綺羅莉によって学園を追われた過去を持っていた視鬼神は、“共感覚”という特殊能力を持つ最凶最悪のギャンブラーだった。そして、ついに夢子vs視鬼神vs綺羅莉の戦いの火蓋が切って落とされることに……。

スリリングな予告編はこちら!

作品情報

『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』
6月1日(火)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
配給:ギャガ
https://kakegurui.jp/

©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX ©2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会