“狂気のラブストーリー”主演の見上愛「共感した人は教えてほしい (笑) 」

写真・小笠原真紀 スタイリスト・下山さつき(クジラ) ヘア&メイク・豊田健治 (資生堂) 取材、文・古屋美枝 — 2023.3.4 — Page 1/2
3月7日から放送がスタートするTVドラマ『往生際の意味を知れ!』で主演をつとめる見上愛さん。もともと原作マンガのファンだったという見上さんに、個性的なキャラクターの分析や、本作が描く恋愛観についての考えを伺いました。

「見た目はそっくりと言われるけど、共感するところがないからこそ演じられた役」

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『往生際の意味を知れ!』は、見上さん演じる謎多き美女・日下部日和と、元カノ・日和を忘れられない真面目なサラリーマンの市松海路(青木柚さん)のラブストーリー。
別れて7年経っても「元カノと結婚したい」と公言し、日和との写真や映像を眺めることで自我を保っていた市松海路。そんな海路の自宅がある日、落雷により全焼。すべてを失った海路は自殺を試みるが、まさにそのときに日和から電話が…!
念願の再会を果たした海路が日和から告げられたのは「市松くんの精子が欲しい」という衝撃の一言だった。

――見上さんはこの役を演じる前から原作を読んでいるということですが、実際に日和を演じてみていかがでしたか。

見上さん 原作はまだ完結していなくて、今でも毎回楽しみに読んでいるんですが、「次はきっとこうなるだろう」という予想をいつも裏切られるんです。この先もどうなるのかわからなくて楽しみ。日和は一見、突飛な行動をする女の子に見えるけど、演じているうちに、意外とただまっすぐに自分の大切なものを守ろうとしているだけなのかも、と気づいて、そこもおもしろいなと思いました。

――原作者の米代恭さんは、ドラマ化の話があったときから日和役は見上さんしかいないと思っていたそうですね。特に意識したことは?

見上さん 日和は生きてる感じがしないほうがおもしろいと思ったんです。原作を読んだときの「え、何?」っていう裏切られ感をドラマでも感じてほしかった。だから同じ世界に生きてると思えないような温度感が出せるように、話し方や声の出し方、動作などを意識しました。逆に後半では、日和があることを隠さなくてはいけないのにどうしても表面に出てしまう、というようなことがあるんですが、そこでは素直に人間味を出して演じるように心がけました。

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――口元に微笑みを湛える「アルカイックスマイル」は、まさに原作の日和そのものでした。

見上さん 実は「アルカイックスマイル」ってこの作品で初めて知ったんですが、脚本に当たり前のように書いてあるので、「何、それ! 私が知らないだけ?」と思って、検索しました(笑)。仏像のような神秘的な微笑みだと知って、なるほど、と思いましたね。アルカイックスマイルもそうですけど、迫力が必要だと思うシーンの表情は原作をお手本にしたりしました。

――実際、自分が日和と似ているな、と思うところは?

見上さん それが、最後まであまり共感するところがなくて…。まず、私はあんなに人を振り回せないです(笑)。でも客観的に見て、そういう状況だったらそうなるよな、って理解できるところはたくさんあるんです。子どもの自分を抱えたまま大人になっちゃって、「愛されたかった」という気持ちが複雑化しているけど、そのことに気づけていないんだろうな、と思って。今回は共感というよりも、客観的に日和を見られたからこそ演じられたんだと思います。

――ドラマのキーワードが“狂気のラブストーリー”ということですが、そんな恋愛についてはどう思いますか?

見上さん この作品の中では、日和も海路もお互いに振り回し合っているんですよね。海路も「振り回されてます」って感じを出していますけど(笑)、実際はめちゃくちゃ自分勝手だし。私はどうしても相手のことを考えちゃうからできないし、やられたらイヤだなと思います(笑)。疲れちゃうとは思うけど、スポーツみたいにその疲れが快感に感じたりすることもあるのかな。でもそんな状況にはまだ出合えてないです。

――見上さんが実際、日和のように元カレからずっと想い続けられる立場だったらどうですか?

見上さん 恋愛に限らず、時間が経って思い出が美化されるということはあると思うんですけど…。海路のように想い続けられるのは、自分も元カレのことが好きでない限り、本当にホラーですよね(笑)。でも、見返りを求めずファンのような感じで相手を応援して、そんなふうに応援してる自分が好きで、結果的に自己肯定感が上がる、という感じならわかります。海路もどちらかというと、そちらなんじゃないかな。好きなものがある自分が最強! みたいな。

−―見上さんにとって理想の恋愛とは?

見上さん 自立し合っている人間同士が一緒にいるのが素敵だな、と思います。だから日和と海路みたいにもたれ掛かり合う、共依存の恋愛は大変だろうなと(笑)。お互いの生活を大事にできるのが理想かな。

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――ほかに作品中、特に見てほしいところはどこですか?

見上さん ネタバレしてしまうのであまり言えないんですが、日和のお母さん(山本未來さん)が怖いんです!(笑) そこが一つ、見どころな気がします。

――これからこのドラマを見るanan読者の皆さんにひと言お願いします!

見上さん anan読者の皆さんには日和や海路と同世代の方もいると思いますが、こんな同世代もどこかにはいるのかもしれない、と思って見ていただけたらうれしいです。共感できる人は恥ずかしがらずにそれを教えてほしいし(笑)、共感できない人はその気持ちを楽しんでもらえたらと思います。でもまず、第一話を見た人は、本当に訳がわからないと思うんです(笑)。でもその気持ちで「?」を10個くらい抱えたまま第二話以降見ていくうちに、とってもとっても引き込まれていっちゃうと思うので、ぜひ続けて見てほしいです。

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©「往生際の意味を知れ!」製作委員会·MBS ©米代恭/小学館


Information

MBS/TBSドラマイズム『往生際の意味を知れ!』
3月7日(火)25:04〜(MBS)、25:33~(TBS)初回放送スタート。※一部地域を除く
出演:見上愛、青木柚、樋口日奈、三山凌輝、山本未來ほか

公式サイト
https://www.mbs.jp/oujougiwa_no_imioshire/

写真・小笠原真紀 スタイリスト・下山さつき(クジラ) ヘア&メイク・豊田健治 (資生堂) 取材、文・古屋美枝

イヤーカフ¥29,700(プリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03·6450·5777) その他はスタイリスト私物