志村 昌美

人気声優・小松未可子「結婚してよかったと感じる瞬間は…」いい関係を保つ秘訣

2022.10.28
“非ヒロイン属性”の女子高生が強制的にイケメンたちに迫られるという異色の展開で人気を博しているのは、百世渡原作の漫画『ロマンティック・キラー』 。現在、10月27日から独占配信がスタートしたNetflixのアニメシリーズが話題を呼んでいます。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

小松未可子さん

【映画、ときどき私】 vol. 530

恋愛に興味のない主人公の杏子に恋愛をさせようとする魔法使いリリを演じたのは、『モーレツ宇宙海賊』や『呪術廻戦』などで知られる声優の小松さん。今回は、恋愛することの良さや自身が結婚してよかったと思う瞬間、そして奪われたくない欲求などについて語っていただきました。

―まずは、本作のどのようなところに魅力を感じたのかを教えてください。

小松さん オーディションを受けた際に原作を読ませていただきましたが、嫌なことがあってもそれを忘れてしまうほど没頭できて、すごく前向きな気持ちになれる作品だと思いました。しかも、私は杏子と似ているところがあるので、感情移入してみたり、自分が学生だったときのことを思い出してみたり。恋愛に寄り過ぎていないところも、スカッとして気持ちがいいと感じました。

―今回演じたリリについては、どのような印象でしたか?

小松さん 地球外生命体みたいな存在でありながら、女の子にも男の子にも変身できるので、「こんなにもふり幅があるキャラクターができたらやりがいがあって、すごく楽しいだろうな」という思いがありました。いままで担当したことがないタイプでありながら、自分がこれまで演じてきた役の積み重ねとも言える部分もあったので、リリで決まったときはめちゃくちゃうれしかったです。

―1人3役のようなキャラクターでもあるので、苦労したこともあったのでは?

小松さん 難しかったのは、男の子バージョンであるリオを演じたとき。最初はけっこう低めの声を作っていきましたが、リリだとわかるようなニュアンスを微妙に入れてほしいと言われたので、そのさじ加減は悩みました。しかも、杏子とデートするシーンでは、少しドキッとさせるような危うさも必要だったので、そのあたりは苦労したところです。

息抜きに奪われたら困る3つは、杏子と同じ

―杏子は恋愛することと引き換えにゲーム・チョコ・猫という三大欲求を奪われてしまいますが、小松さんが奪われたら困る欲求といえば何ですか? 

小松さん 私も杏子と同じで、猫を奪われたら困りますね。実際に猫を2匹飼っているので、杏子の気持ちはよくわかりました。あと、チョコもゲームも好きなので、いまの私にとってはどれも奪われたくないゾーンにあるものばかり。息抜きに必要な3つを奪われたら、「私は何をしたらいいんだろうか……」となりそうです。

しかも、杏子と同じで恋愛に集中できるタイプでもないので、どんどんストレスが溜まってしまいそうだなと(笑)。とはいえ、ライフサイクルのなかで大きな部分を占めている仕事さえ奪われなければ、何とかなるというか、とりあえず精神的に保てるような気はしています。

―では、ご自身の日常生活に欠かせないものや毎日必ずしていることがあれば、教えてください。

小松さん すごく些細なことですが、寝る前にはちみつりんご黒酢を高校生のときから飲んでいます。お風呂上りに必ず飲むのがルーティンになっているのですが、これは欠かせないですね。

―それは美容のために続けていることでしょうか。

小松さん 私はカラダがすごく硬いのですが、高校生のときに「お酢を飲むとカラダが柔らかくなるよ」と言われて飲み始めました。ただ、その後はストレッチの習慣だけが削られて、お酢だけが残ってしまったという状態です(笑)。いまはお風呂上りにさっぱりするためのアイテムとして必要不可欠となりました。

―実際、カラダは柔らかくなりました?

小松さん ちゃんとストレッチをしていたときはバッチリ柔らかくなりましたが、いまはまったくしていないので、カチカチに戻ってしまいました……。

身近に感じるのは、同じ価値観の男性

―やはり継続が大切なのですね。ちなみに、お仕事でのルーティンはありますか?

小松さん それは、レコーディングの前に揚げ物を食べること。揚げ物がなければ、スナック菓子をフニャフニャになるまで吸って油だけを摂取しています。アフレコよりもレコーディングのほうが連続して声を使うことが多いので、「喉が枯れやすくて乾燥しやすい」と相談したら、現場の方々から「油を取るといいよ」と言われたのが最初です。ただ、さすがに直接油を飲むのはつらいので、いまの形になりました。

―声優さんならではの習慣ですね。また、本作では学校一のパーフェクトイケメン・香月司、自分のことを大好きでいてくれるスポーツ系幼馴染み・速水純太、超大金持ちのツンデレイケメン・小金井聖というタイプの違うイケメンが3名登場します。小松さんが選ぶとすれば誰ですか?

小松さん 見た目だけでいえば、タイプは聖。ですが、現場でも話題になったのは、聖の執事として登場する土屋さんです。高校生である3人に比べると飛びぬけて大人ですし、多くを語らないミステリアスさがありながら聖に対してはちゃんと親目線を持ちつつ信頼関係もあるところがいいなと。これが乙女ゲームだったら土屋さんを落とせる裏ルートがあるはずなので、ぜひ攻略したいですね(笑)。

―確かに、土屋さんは気になる存在です。男性を見る際に、重視しているポイントなどはありますか?

小松さん 私は外見よりも、一緒にいるときのテンションや同じ価値観の持ち主だといいなと思います。それはプライベートでも仕事でも何でもいいですが、問題に直面したときの向き合い方や物事の考え方が似ていると身近に感じるほうです。共感できるかどうは大きいと思います。

いまは、夫婦で一つのチームになっている感覚がある

―ananwebを読む女性のなかにも、杏子のように恋愛より趣味や仕事を優先する方がいますが、リリ的な立場から恋愛の良さを伝えるとすれば、どんなことが挙げられますか? 

小松さん 恋愛をしているとそこに左右されがちなところはあると思いますが、仕事や趣味のモチベーションが上がってより楽しくなることはあるのかなと。逆に引っ張られてしまう可能性もありますけど、そういうときはほかのことに打ち込める自分の精神を鍛えられるところがあるような気がしています。恋愛がダメで仕事が共倒れしてしまう人もいれば、逆に燃えるという人もいるかもしれません。どちらにしても、恋愛には単純に毎日が楽しくなるような相乗効果があるんじゃないかなと思います。

―ご自身は結婚して2年半ほど経ちますが、結婚してよかったなと感じる瞬間といえばどんなとき?

小松さん それは、お互いを支え合っていると感じられるときですね。家でも仕事の話はけっこうするほうですが、そのときに肯定だけでなく、違うと思ったら違うとちゃんと言ってくれるので、そういう仲間がいてくれる安心感と家族としての精神的な支えという両方があると思います。

あとは、相手のことをリスペクトもしているので、一緒にいることでモチベーションがより上がっているところはあるのかなと。そういう瞬間を感じるときに、結婚してよかったなと思います。

―素敵ですね。結婚してから仕事の向き合い方にも、変化はありますか?

小松さん そうですね。責任感みたいなものをより感じるようになりました。同じ職業ということもあって、現場でお互いの話になることもありますから。そういう意味では、夫婦で一つのチームになってきているような感覚もあるので、それはおもしろい関係なのかなと思っています。

がむしゃらに向き合う時間は、絶対に無駄ではない

―いい関係性を保つために、意識していることなどもあるのでしょうか。

小松さん お互いに自分の趣味に干渉していいゾーンと放っておいてほしいゾーンがあるので、「共有したいことは共有するけど、別々でしたいことはそれぞれでする」というバランスがうまく取れている気はしています。そこが「全部を共有したい」と考えがちな恋愛とは違う感覚なのかなと思うようになりました。それぞれ自立したうえで相手を支え合えるのが、自分たちにとってはいいパートナーとしての在り方だと実感しています。

―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。

小松さん 20代から30代にかけての時期は、私もまだまだ成長途中で目標に届いていない感じが仕事でもプライベートでもありました。そのときは、「このあとどうなるんだろう?」みたいな漠然とした不安があった気がします。でも、いま振り返ってみて思うのは、不安が尽きることがなくても、がむしゃらに目の前にあることに向かっていった時間は絶対に無駄ではなかったなということ。

たとえ失敗しても、それが自分の経験としてプラスなものとして蓄えられていたと思います。みなさんのなかにも、何かはわからないけど焦っている人がいたら、いまはそういう時期なんだとそのまま受け入れて楽しんでもらえたらいいのかなと。そして、節目のタイミングがきたらうまく波を捕まえて、乗ってほしいです。仕事に限らず、恋愛においても人生を謳歌できるような瞬間がところどころでやってくるはずなので、楽しみながら自分らしい人生を送っていただきたいなと思います。

インタビューを終えてみて……。

優しい笑顔と魅力的な声に加え、癒しのオーラを放っている小松さん。夫婦円満の秘訣から仕事に対する向き合い方まで、幅広いお話で楽しませていただきました。本作では、キャラクターに合わせて自在に声色を操る小松さんにぜひ注目してください。

ときめきと笑いの波が押し寄せる!

女子高生に限らず、仕事や趣味に没頭するあまり恋愛を後回しにしがちな働く女性たちにも共感ポイント多めの本作。次々と繰り広げられるイケメンたちとの少女漫画のようなドキドキする展開に、忘れかけていた恋愛したい気持ちが湧き上がってくるかも⁉


取材、文・志村昌美

ストーリー

恋愛には一切興味がなく、大好きなゲーム、チョコ、猫に囲まれて幸せに過ごしていた女子高生の星野杏子。いつものように新作ゲームを起動すると、画面から魔法使いリリが飛び出し、杏子の趣味をすべて没収してしまう。

元の生活を取り戻すための条件は、杏子が恋愛をすること。そこで、リリは恋愛に発展するように3人のイケメンたちに魔法をかける。次々と立てられる恋愛フラグを前に、恋愛を拒絶する“干物JK”の杏子が最後に選ぶ究極の選択とは……。

激しいバトルが始まる予告編はこちら!

作品情報

Netflixシリーズ『ロマンティック・キラー』
10月27日より独占配信中
https://www.netflix.com/RomanticKiller
️©百世渡/集英社 ©Netflix