戸田恵梨香×永野芽郁「母性について考えるきっかけになるかも」 映画で親子役に

2022.11.22
娘を愛せない母と、母の愛を求める娘の関係を描く映画『母性』。親子を演じた、戸田恵梨香さんと永野芽郁さんに、作品について伺いました。
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――現場の雰囲気はいかがでしたか?

戸田恵梨香:仲のよくない母と娘役だから、役作りで話をしないようにするとかはお互い皆無で(笑)、ずっと話していましたね。

永野芽郁:私はこの作品で初めて戸田さんとご一緒できる嬉しさで、撮影が始まったばかりの頃は「うわ~、戸田さんだ!」って感じでしたが(笑)、すごく気さくに話してくださったので、ずっと楽しく笑って過ごせました。

戸田:本当にずっと笑ってたね。芽郁ちゃんは明るくてキラキラしてるなって思いながら見てた。

――それぞれ、演じた役について教えてください。

戸田:母のルミ子は、メイクや服装といった外見から、喋り方、考え方まですべて、ルミ子の母の世界で生きている人です。だからこそ、母がいなくなり、絶望の淵に落とされてしまいます。

永野:娘の清佳は、お母さんに気に入られたくて頑張るんですが、お母さんの心ここにあらず…。虚無感を抱きながら生きていて、救われるポイントが全然ないんです。

――同じ出来事でも母と娘の記憶が全く異なることを際立たせるために、それぞれの視点で2パターンのシーンがあります。演じ分けは大変だったのでは?

戸田:演じ分ける難しさは感じませんでした。ただ、清佳を思い通りにできなかった時のルミ子は、彼女自身がどうなるかわかっていない。娘側の回想シーンで、そこはすごく考えながら演じました。清佳の子供時代の回想が多かったので、芽郁ちゃんと2パターン撮ったのは最後くらいだったよね?

永野:そうですね。私は、お芝居しながら、清佳のように笑うことが全くない人生って寂しいなと思いながらずっと演じました。

――食事シーンが多いですね。

戸田:ルミ子にとっての実母と義母との関係性を差別化するうえで、食事シーンの持つ意味はとても大きかったと思います。美しい家庭を求めるルミ子にとっては、どれだけ家族が破綻していたとしても、形だけでも食卓を囲み続けることが大事だったんでしょうね。

永野:私はずっとおばあちゃんを睨んでたので、演技中は全くごはんがおいしくなかったです(笑)。

戸田:ずっと怒ってたもんね。私はおいしくいただいてたけど(笑)。

永野:カットがかかってから、一緒にバクバク食べましたよね(笑)。そしたら、すごくおいしかったです!

――anan世代にとって、母性とは何かを問う本作には、考えさせられることがたくさんあります。

戸田:母になること、人の命を預かることはどういうことなのか、問う作品ですよね。子供が欲しいかどうかは考えても、自分が母性を持ち合わせているのか、子供を愛せるのかまでは、あまり考えないと思うんです。そんな中で、この作品が、母性について考えるきっかけになるかもしれません。

永野:正直、私にはまだ難しくて、「母性って何かな」というところまで辿り着いていないです。

戸田:なかなか辿り着かないよ。

永野:なので、タイトルは『母性』だけど、「母性を理解しましょう」という話ではないですし、みなさんそれぞれ、この作品を受け止めてもらえたらと思います。

戸田:そうだね。そのうえで、どんな選択であっても、自分自身が幸せになる道を選ぶべきだってことが伝わるといいな。

とだ・えりか(写真右) 1988年8月17日生まれ、兵庫県出身。『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』シリーズや、NHK連続テレビ小説『スカーレット』など話題作に多数出演。
コート¥609,400 パンプス¥138,600※参考色(共にロエベ/ロエベ ジャパン クライアントサービス TEL:03・6215・6116) タイツはスタイリスト私物

ながの・めい(写真左) 1999年9月24日生まれ、東京都出身。映画『そして、バトンは渡された』(’21年)で第45回日本アカデミー賞優秀主演女優賞などを受賞。来年、Netflixシリーズ『御手洗家、炎上する』が全世界配信。
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『母性』 湊かなえの大ヒットミステリー小説を映画化。女子高生が遺体で発見された事件を機に、娘を愛せない母・ルミ子と母に愛されたい娘・清佳がそれぞれの記憶を辿っていく。食い違う二人の告白を通じて衝撃の真相が明らかになっていく。11月23日全国公開。

※『anan』2022年11月23日号より。写真・宮﨑健太郎 スタイリスト・大浜瑛里那(戸田さん) 鴇田晋哉(永野さん) ヘア&メイク・松井里加(A.K.A./戸田さん) 吉田美幸(B★side/永野さん) インタビュー、文・小泉咲子

(by anan編集部)