自分の死亡年月日、想像できる? 「死」と「生」を考える展覧会とは

2020.9.16
123456789…。赤いLEDカウンターがランダムにカウントする1から9までの数字。これは、いったい何を表しているのだろう? この夏、リニューアルオープンし、開館25周年を迎える千葉市美術館で、現代美術家・宮島達男の四半世紀を振り返る展覧会『宮島達男 クロニクル 1995‐2020』が開かれる。

1988年のヴェネチア・ビエンナーレにLEDカウンターを使った作品を出展して以来、約30か国、およそ250か所で、数字をモチーフとした作品を発表してきた。これまでにも世界の主要な美術館で個展を開催し、国際的にも常に注目されるアーティストだ。

赤、緑、青に輝くデジタルの数字は、時には展示室に設置されたプールの底に沈み、暗い室内の空中を舞い、高層ビルの外壁に映し出される。

作家が投げかけるテーマは変わらない。それは「死」と「生」について。ランダムに行き交う数字がカウントするのは、私たちが死を迎えるまでの時間。そして、東日本大震災後にスタートしたプロジェクト「時の海―東北」で試みられているように、忘れがたい、風化させたくない過去の日付、時刻だ。それらをじっと見ていると、やがて数字そのものが命として輝き、消え、移り変わっていくようだ。

会場では、2020年の新作、日本初公開の作品に加え、会場で観客が自らの死亡年月日を想像して入力する《Deathclock》、CGで合成された数字が空間を飛び回る《Floating Time》など、観る側が参加できる作品も。

決して目で見ることができない「時」に対し、「数字」を通して向かい合ってみること。観る人一人一人にとって、大切な意味を持つ体験になりそうだ。

宮島達男《Innumerable Life/Buddha MMD‐03》(部分)2019年 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada Omote

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1から9の数字は時間、命そのもの。0はブランクとして表され、死を意味する。無数の数字は無数の命が生と死を繰り返していくさまを表現。

宮島達男《地の天》1996年 千葉市美術館蔵 Photo by Nobutada Omote

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亡くなった恩師を追悼する作品。宇宙を模した暗闇に、青いLEDの数字が星座のように浮かぶ。

宮島達男《Counter Voice in Chinese Ink》2018/2020年 Courtesy of Akio Nagasawa Gallery Photo by Siliang Ma

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東京藝術大学在学中、街中でのパフォーマンスから作家活動をスタート。最新作では「不確定性」をテーマに。

千葉市美術館 千葉県千葉市中央区中央3‐10‐8 9月19日(土)~12月13日(日)10時~18時(金・土曜は~20時。入場は閉館の30分前まで) 10月5日(月)・19日(月)、11月2日(月)・16日(月)、12月7日(月)休 一般1200円ほか TEL:043・221・2311

※『anan』2020年9月23日号より。文・松本あかね

(by anan編集部)