ベストは37°C! 風邪をひきやすいのは体温低下のせいだった!?

2018.12.12
いま、現代人に低体温の危険が! ハッピーライフに影を落とすかもしれない“低体温NEWS”をお届けします。
温活

NEWS1:人類が変温動物に!?

現代人に忍び寄る低体温の影…。そんな傾向を象徴するような、ショッキングなニュースが、今年9月に報じられた。高校生30人以上が、体調不良で病院へ搬送。これも、低体温が招いた出来事だとか。

「人間は本来、気温が変わっても体温を一定に保つことができる恒温動物です。でもエアコンの普及や運動不足、食生活の乱れなどでカラダの調子が乱れて、体温を維持できなくなっている人が増えているんです。まるで、気温に合わせて体温も変化してしまう、変温動物に近づいているようですね」と、冷えのメカニズムに詳しい医師の川嶋朗先生。近い将来、人類は変温動物みたいに、寒いと冬眠する習慣ができるかも!?

NEWS2:食生活でドロドロ血に!?

高タンパク低脂質。しかも美味とあって、肉食女子が増加中。しかしサーモセルクリニックの奴久妻(ぬくづま)智代子先生によると、肉ばかりの食生活は、冷えにつながるという。

「肉など酸性のものばかり食べると、赤血球同士がくっつきやすくなり、ドロドロ血に。すると熱を運ぶ血流が悪化し、カラダが冷えてしまいます。肉を食べること自体は筋肉を作るためにもよいのですが、その分、野菜や果物などアルカリ性の食品もたくさん食べましょう」(奴久妻先生)

NEWS3:低体温は万病のもと!?

冬になると風邪やインフルエンザにかかりやすいという人は、体温低下のせいかも!?

「白血球は体温が低いと動きが遅くなり、病原菌やウイルスを捕食する力が衰えます。また体温が低いと、病原に対する抗体を作る働きも低下してしまいます。低体温は、あらゆる病気の原因になるのです。そして最近の日本人は、昔に比べて平均体温が低くなっているようです。この60年で1°Cくらい下がっているという説もあり、かなり心配です」(川嶋先生)

なぜ体温が大切なのか。

すべての動物が死ぬと冷たくなるのはご存じの通り。温かいということは、生きている証。体温は、命そのものともいえる。

「生きている間、カラダの中ではさまざまな化学反応が起きています。体温は、その化学反応に必要不可欠。熱がなければ筋肉も骨も作れないし、雑菌を殺すこともできない。つまり、死んでしまうのです。人のカラダでは、深部体温が37°C以上だと化学反応がスムーズに進みます。だから本来、体温は37°Cくらいがベストで、それより低いと体調不良になるのです。ちなみに、ある種の免疫細胞は39°C前後で一番活性化します。風邪で熱が出るのは、免疫力を活性化し、病原を攻撃するためなんですね」(奴久妻先生)

体温調整のメカニズム。

体温を適温に保つには、熱を作る、運ぶ、キープするという3つの機能が欠かせない。

「熱を作れないと当然冷えるし、カラダの隅々まで熱を運べないと、部分的に冷えてしまいます。また、よく末端冷え症といいますが、これは熱を調整する働きが狂っている証拠。本来は暖かければ末端の血管を開いて放熱しますが、その調整が乱れるから暖かいところでも血管が開かず、末端が冷えたままなのです」(川嶋先生)

【熱を作る!】
熱を作るのは、主に細胞の中にあるミトコンドリアという小器官。ミトコンドリアが酸素と栄養からエネルギーを作るときに熱が発生し、それが体温になる。ちなみに筋肉細胞の中には特にミトコンドリアが多いため、筋肉を動かすと効率よく熱を作れる。

【熱を運ぶ!】
熱を運ぶのは、血液の役目。そして血液の流れは、自律神経がコントロールしている。自律神経のうち交感神経が優位になれば血管が収縮して血圧が上がり、副交感神経が優位になると血管が拡張して血圧が下がることで、血流を維持する。

【熱をキープ!】
体温を一定に保つのも、自律神経の仕事。気温が高くなると汗を出し、血管を拡張させて熱を逃がす。寒くなると手足の血管を収縮させて、熱が逃げないようにコントロールしている。寒いと手足が冷たくなるのは、血管が縮まって血流が滞るため。

川嶋 朗先生 東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授。一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門でも診療を担当。西洋医学や東洋医学、自然医療を駆使して治療にあたる。

奴久妻智代子先生 医療法人社団タイオンサーモセルクリニック研究開発担当、医学博士。アメリカでウイルスと免疫、温熱療法を研究。帰国後はガンと温熱療法の研究も始め、マシンの開発に携わる。

※『anan』2018年12月19日号より。イラスト・サヲリブラウン 取材、文・風間裕美子

(by anan編集部)

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