今多い不眠や不安感、疲労の原因は…! 「夏疲れを取る」すぐしたい簡単習慣 #122

文・大久保愛 — 2021.8.19
お盆を過ぎて、季節の移り変わりを感じ始めるちょうどいまの時期に、夏の疲れを感じる人が多いよう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、不眠や情緒不安、疲労感などの「夏疲れを取る」方法を教えてくれます!

晩夏、疲れをどっと感じていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 122


最近、秋のような涼しさを感じる日がありますよね。8月ってこんなに肌寒い日があったかなと考えてしまうような冷涼な週です。この涼しさがやってくるときには、同時に低気圧も訪れます。雨の日が苦手な人も多いと思いますが、このタイミングで夏の疲れをどっと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

気候に体調が左右されることは、自然の摂理として仕方ないことではありますが、季節が秋へと移りかわる9月中旬まで夏の疲れを引きずらないように体のメンテナンスをしてくことも大切です。

秋は、乾燥した空気により口や鼻の粘膜も乾燥してバリア機能が低下したり、昼夜の寒暖差が大きくなり体調を崩しやすいときです。夏の疲れを引きずりながら次の季節へ移行しないようにしましょう。少し気が早いですが、今週は、気圧の変化が大きい今こそ夏の疲れを取り除き秋支度をはじめていく食薬習慣を紹介していきます。

今週は、夏の疲れを取り除く食薬習慣

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お盆を過ぎるとゲリラ豪雨や台風など暴風雨のタイミングが増えますよね。家を出るときに今日は暑いのか、涼しいのか、晴れているのか、雨なのか毎日予測しづらいので、洋服も靴も何を選ぶか悩んでしまいますよね。

こういったおしゃれの悩みだけならいいのですが、気圧の変化のせいで自律神経が乱れ、自分のあまりよくない部分が表面化し、怒りっぽくなったり、落ち込んだり、考えすぎて眠れなくなったりとさまざまな悩みが増えてしまうときでもあります。とくに運動不足で常に冷房完備で生活をしていた人は水分代謝、血流、消化機能が低下してしまうことで、気圧の変化を敏感に察知してしまうかもしれません。

漢方では夏の疲れで胃腸の調子が悪く眠りが浅くなっていることを『気血両虚』とよびます。そして、血の巡りが悪くなる「瘀血」、気の巡りが悪くなり自律神経が乱れる「気滞」を併発しやすい時期です。そこで、「気血」を補い、巡り改善をする多機能な食薬を紹介します。今週食べるとよい食材・メニューは、【アスパラとお刺身のカルパッチョ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:アスパラとお刺身のカルパッチョ】

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さっそく作り方を紹介します。お刺身を買ってきたとき普通お醤油とワサビをつけて食べますよね。この時期はアスパラと一緒にオリーブオイルと塩やハーブソルト、レモンなどをおしゃれに飾ってカルパッチョにしてみてはいかがでしょうか。マリネと違って漬け込む手間もなく、好きな具材を並べてかけたいものをかけて完成するので簡単ですよ。

【アスパラガス】

アスパラガスは、スタミナがつくということで栄養ドリンクなどにも配合されているアスパラギン酸を含むことで有名ですよね。アスパラギン酸は、エネルギー代謝やお肌の新陳代謝をアップし「気血」が充実し、元気になるだけではなく、有毒なアンモニアを解毒し利尿を促す作用もあります。夏の疲労や肌荒れむくみなどを解消する助っ人となってくれます。

【青魚のお刺身】

青魚には、夏に増える疲労や老化の原因となる活性酸素から細胞膜を守るオメガ3脂肪酸、血行を促し冷えやむくみの解消に役立つタウリンも豊富に含まれています。その他、当然ですがタンパク質、ビタミン、ミネラルも含まれるので「気血」を補うことに役立ちます。また、秋にダニや花粉や寒暖差などでアレルギーを起こしてしまう人は、オメガ3脂肪酸を多く含む食材を意識して増やしていきましょう。

今回の食材は、トマトやセロリなどの夏野菜や、お魚以外のアサリやイカ、タコなどの魚貝類と一緒にオリーブオイルとニンニクで炒めて、白ワインとお水を加え簡単アクアパッツァにしてもよいですね。ほかにも体バテ改善レシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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