コミュ力UP! あらゆる人間関係に使える5つの原理とは?

2020.6.2
本から読み解くコミュニケーション術とは? ここでは、理想的な“ビジネス”コミュニケーションを学べる本をご紹介します!

読書タイムで強化! 自己流コミュニケーション。

仕事には、上司、同僚、部下、クライアントと上下にも横にも複雑な人間関係が広がり、恋愛でひとりの人とのつながりを深めようとすれば、二人三脚が必要になる。SNSを覗けば、他人と比べて卑屈になってしまったり、自分の投稿が誤解されてしまったり…。

複雑に絡み合う現代の人間関係。その絡まった糸をいったん整理してフラットな状態に戻すためにも一人で読書する時間を持ってみて。ページをめくれば、自分がこれまで行ってきたコミュニケーションの問題点や課題がだんだんと見えてくるはず。取り入れたいと思ったメソッドや考え方を発見したら、すぐにでも実行を!

ここでは“ビジネスコミュニケーション”にまつわる本をご紹介します。人生の大半を費やす仕事に、やりがいや楽しさを見出せるかは、人間関係次第! ビジネスに不可欠なコミュ力を底上げしよう。

あらゆる人間関係に使えるシンプルな5つの原理。

book

ビジネス書書評家の坂本海さんが、必読書として挙げてくれたのは、『こういう時に人は動く』。

「ビジネスは、さまざまな立場の人の利害関係が複雑に絡み合う場。それぞれに応じたコミュニケーション力が求められますが、本書で提示されている“影響を与える5つの原理”は非常にシンプルで、どんな関係性にも応用できます。また、“ビジネスシーンで感情的になっていないだろうか”と、自らの言動を客観的に顧みることを促してもくれます」

紹介されている5つの原理の中で、坂本さんが特に大事だと感じるのは「お互いの信念の違いを理解する」。

「人の考え方は、立場や置かれている状況、さらにはその日の気分によって変わるもの。同じ価値観や思考の人はいないという前提に立ち、互いを知ることが、信頼関係構築の基本です」

『こういう時に人は動く 影響力5つの原理』 ボブ・バーグ 弓場 隆・訳

人間関係を改善させる58の技術を紹介。
“21世紀のデール・カーネギー”との異名をとる人気経営コンサルタントが、人を動かす技術を豊富な実例とともに伝授。ディスカヴァー・トゥエンティワン 1500円

「影響を与える5つの原理」とは?

1、自分の感情をコントロールする
人を動かすのに何よりも大切なのは、自制心。冷静さを保って初めて、状況をコントロールできる。感情的になりそうな時は、深呼吸を。そして、相手の言い分を最後まで聞く。互いの感情が高ぶったら、自分から声を落とすと相手も冷静さを取り戻せて、理性的な話し合いになる。

2、お互いの信念の違いを理解する
意見が合わなかったり、相手の言動に傷つくのは、異なる信念や価値観が衝突しているから。他の人も自分と同じように世の中を見て、考えているという思い込みや期待をなくした上で、自分の要求や気持ちをはっきり言葉にして伝えることが、建設的なコミュニケーション。

3、相手のプライドを尊重する
相手の自尊心をどれだけ尊重できるかで、その人を味方につけられるかが決まる。褒める時は人前で、注意する時は個別にするのがルール。さらに「データ入力が迅速で正確」など、その相手にしてほしいことを褒めると、その人は称賛された行動をより積極的に行うようになる。

4、適切な雰囲気を作る
コミュニケーションの主導権を握れるのは、その場にふさわしい雰囲気を作れる人。気難しい相手でも、ポジティブな空気を生む最も基本的で最強のツールは、笑顔。もし、緊張しているなら、そのことを謙虚に告げるのも相手のサポートを引き出せ、協力関係を築きやすい。

5、共感を示して気配りを心がける
相手の抵抗をやわらげ、自分の考えが受け入れられやすい状態を作るのが気配り。相手の気持ちを理解し、一緒に解決策を模索するのが共感。この2つを伝えるには「個人的な意見ですが」「間違っているかもしれませんが」と前置きを添えてから、自分の意見を言うのが効果的。

坂本さんには、おすすめのビジネス本をさらに3冊紹介してもらいました。

坂本海さんおすすめのもう3冊

『世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール』 ムーギー・キム

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世界基準のビジネスコミュ力が身につく。
コミュニケーション下手だったという実業家が世界中で働き、会得した教訓を体系化。「相手に伝わる文章の書き方やプレゼンで緊張しないテクニック、相手の話がつまらない時の対処法など、明日から実践できる方法が網羅されています。ユーモラスな文体なので、ビジネス書を読み慣れていない人にも読みやすいはずです」。PHP研究所 1400円

『人を魅了する 一流の職業人であるための技術』 ガイ・カワサキ 依田卓巳・訳

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米アマゾンのベストブックに輝いた良書。
アップル社で、自社製品をわかりやすく社外に伝えるエバンジェリストを務めていた著者による、人を魅了するためのケーススタディ。「“人を魅了する”とは、その人を大きな喜びで満たすこと、という著者の意見に共感。心理学の研究などを基にした具体的で戦略的な方法をすべてマスターすれば、起業できるくらい充実した内容です」。海と月社 1800円

『「半径5メートル最適化」仕事術 おしゃべりな職場は生産性が高い』 佐々木希世

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身近にいる同僚との対人関係が円滑に。
著者が日米で働いて得た知見に、移住先のイタリアで大切にされている“おしゃべり”の有効性を掛け合わせたメソッドを紹介。「自分の席から半径5m以内の、同僚との関係作りがテーマ。実践して、近くにいる人の理解と協力が得られれば、自分の仕事の、ひいては職場全体の生産性が高まるはず」。ディスカヴァー・トゥエンティワン 1500円

坂本 海さん ビジネス書書評家。ビジネス書の書評サイト「bookvinegar」編集長。昨年、『神・読書術』(ぱる出版)を上梓。また、スタートアップ企業で経営戦略やファイナンスを担当。

※『anan』2020年6月3日号より。写真・大内香織 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)