喉の痛みの原因は空気の乾燥だけではない! 「喉の不調を予防する」意外な方法 #127

文・大久保愛 — 2021.9.24
秋を感じる時期になり、だいぶ過ごしやすくなりましたが、この頃から気になりだすのが喉の痛み。少しでも喉に違和感を覚えると、風邪が酷くなりそうな気がしませんか。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、「喉の不調を予防する」簡単な方法を教えてくれます! あれ、おかしいなと思う前に、早めに対処しておきましょう。

そろそろ、喉のイガイガに注意が必要な季節です!

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 127


今年も秋分の日が過ぎましたね。この日を境に太陽が陰っている時間のほうが徐々に長くなっていき、冬へと一歩ずつ近づいていきます。過ごしにくい気温や湿度は落ち着きはじめ、快適な気候がしばらく続きます。

運動不足解消にウォーキングを始めたり、家の模様替えをしてみたり、新しい趣味をみつけたりと自分の時間を楽しみたくなるのが秋の特徴です。今年も残りわずかですが、1年があっという間に過ぎてしまったように感じる人は、過ごしやすい秋に何かに熱中してみるのもおすすめです。

ただ、ここで気をつけたいのがバリア機能の低下です。何かに集中しているとき口が空きっぱなしになってしまったり、外出先で花粉の影響を受けたり、室内で秋に増えるダニアレルギーで口や鼻にダメージを受けてしまったりと、喉の不調を訴える人が増えてきます。

また、乾燥した空気や涼しくなった影響で水分摂取回数の減少などで粘膜は渇きやすくなります。もともと寝ている時にいびきをかいたり、口を開けて寝てしまう人は特に注意が必要ですね。ということで、今週は喉の不調を予防する食薬習慣を紹介します。

今週は、喉の不調を予防する食薬習慣

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秋になると咳がでるタイプの人は意外と多いですよね。ただ、今年は咳をしていると新型コロナウイルスを疑われてしまい、嫌な視線を浴びることになると思います。咳は、一度出ると自力で止めることが難しかったり、長期化しやすいものなので、ちょっとイガイガする、何かむせるといった軽症の段階で解決していくことが大切です。

このときの対策として、漢方では『気陰』を補う方法をとります。疲れがたまったり、寝不足などがたたって免疫が低下しているとき『気』が不足します。そして、秋の乾燥した気候や口呼吸などにより口腔内の粘膜が乾燥しバリア機能が低下しているとき『陰』が不足します。ですから、この二つを補うことが予防として大切です。そこで、今週食べるとよい食材・メニューは、『気陰』を補うことができる【里芋の生姜醤油】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:里芋の生姜醤油】

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作り方は、簡単です。里芋をレンジでチンして、皮をむいて好きな大きさにカットして、生姜醤油をかけたら完成です。お好みでかつお節をかけてもよいですね。

【里芋】

里芋は『気陰』を補うことのできる食材です。里芋のヌルヌルした成分はガラクタンというのですが、胃腸の粘膜の保護や脳細胞の活性化などにも働き、バリア機能強化や集中力、認知機能の低下防止などにも役立ちます。

さらに、イモ類を食べるときに糖質の量を気にする人も多いと思いますが、イモ類の中でも里芋は糖質やカロリーが低いという特徴があります。サツマイモと比べるとカロリーと糖質の量は半分程度です。ダイエット中の人でも取り入れやすい食材です。

【生姜】

生姜は、『気』を補うことのできる食材です。生の生姜には、ジンゲロールという強力な抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、血行促進作用などがある成分が含まれています。また、漢方でも咳止めや解熱、健胃などの目的で配合されています。

また、生姜を加熱するとジンゲロールがショウガオールという成分に変化し、体を温める働きが高まります。目的に応じて生で食べたり、加熱して食べたり調理方法を変えるとさらに良いです。

秋冬に何回も風邪をひいたり、すぐに風邪をうつされてしまう人は多いですよね。でもこれからの時代は、免疫力を高め感染症に負けない体づくりをコツコツと続けて、強い体を作っていく必要があると思います。

毎日必ずしなければならない食べること、呼吸、睡眠の質の見直しはすごく大事です。体のために何か新しいものを買って新しく何か行動をするよりも、毎日の行動の見直しから始めてみましょう。ほかにも免疫を高めるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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