【間違った敬語】新社会人必見「拝見」の正しい使い方はどれ?

監修・東進ゼミナール 可児本校 塾長 北浜健市 — 2019.3.28
4月から社会人という方もいるでしょう。入社してしばらくは、名刺の渡し方、メールの書き方など、基本的なことを学ぶ機会が多いと思います。そこで今日は、東進ゼミナール 可児本校 塾長・北浜健市さんと一足先に“社会人の基本!正しい敬語の使い方”を学びましょう。

問題

上司から「俺の作った資料を見ておけ!」とメールが。返信時に、適切な言葉づかいは?
(1)拝見させていただきます。
(2)拝見申し上げます。
(3)拝見いたします。
(4)拝見します。

正解

(4)拝見します。

(1)~(3)の間違いポイント

(1)「拝見させていただきます」は、謙譲語の「~ていただく」の前に「させる」という使役の助動詞がついた言葉です。

自分が何かをするときに相手(立場の上の人)の許可を得たり、それによって恩恵を受けたりすることに恐縮する気持ちを表します。上司から資料を見ておくように指示があったのを、再び許可を得る必要などありません。

また、上司から送られた資料を見るのに恐縮する必要もありません。よって、この場合の返答として、「拝見させていただきます」は不適切です。

(2)「拝見申し上げます」の「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。

「拝見」(=資料を読むこと)と「申し上げる」(=言うこと)を同時に行うのは不自然なので、「拝見申し上げます」も間違いです。

(3)で使われている「拝見いたします」の「いたします」も「する」の謙譲語です。「拝見する」+「いたします」は二重敬語になります。

二重敬語は回りくどく、相手に丁寧すぎる印象を与えてしまうため、「拝見いたします」も不適切な表現です。

他のビジネスシーンでの「拝見」の使い方

「拝む(おがむ)」の「拝」という漢字には、自分のことをへりくだる意味が含まれています。

また、「拝見」は文字や文章だけでなく、図や写真、絵や出来事、人や物などを見る(目にする)ときにも使うことができます。

これに対して「拝読」は読むことに主眼をおいた謙譲語ですから、文字や文章に対してのみ使うことができるのです。

<使用例>

「貴社のホームページを拝見しました。とても見やすく、ユーザビリティの高いサイトだと思いました」

「先日送っていただいた写真を拝見したところ、いくつか疑問が生まれました」

「ご無沙汰しております。久しぶりに部長のお姿を拝見して安心しました」

「資料を見ておいてください」と後輩から依頼された場合の答え方 

後輩や部下に対してまで、「拝見します」という言葉を用いるのは不適切です。後輩や部下から「資料を見ておいてください」と依頼されたときは、「後で目を通しておきます」とか「見ておきます」、「内容を確認します」と答えるようにしましょう。


【協力】
東進ゼミナール
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