スマホやPCでのぼせた頭を鎮める、寝たまんまラクラク気功安眠法。#8

取材、文・土居彩 看板写真・Yumiko Sushitani — 2019.11.11
「病は気から」と言われますが、この目には見えない「気」。古来中国では生命力の源だと考えられています。冬本番に備え体調管理に努めたい今日この頃。でも年末に向けて忙しく、頭も体もパンク状態!さらには疲れていてもパソコン、スマホで頭がギンギンに冴えて寝付けなかったり、眠りが浅くて翌朝疲れが抜けないというアナタ。明日があるのに、困る〜! ご安心ください。動きはゼロ、型を習う必要もナシ。寝る前のほんの少しの時間でいい、寝たまんま気持ちいい〜「気」の力を利用した安眠リフレッシュ法をお伝えします。

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病はから。のせい。本を出せ! 持ちがいい。

科学の世界とはいっても、当たり前のように言い交わされる目に見えない「(正字は、氣)」なるもの。改めて「気」っていったいなんなのでしょう。

気、って何?
古来、中国思想や医学では、生命力の源となる物質のことを「気」と呼んでいました。それは宇宙に惑星や恒星を配置して動かしている力、地球上に生命を誕生させて育む力。すべてがこの「気」と呼ばれるエネルギーの成せる技だと考えられています。それに加えて日本語の「気」は「気のせい」「気持ち」など心理的、情緒的なニュアンスも含んでいます。

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また文字通り”気が病む”とする病気は、中国医学では「気」の流れがスムーズにいかないのが原因だと考えられています。そして「気」のめぐりを良くして健康になるための方法が、気功。『黄帝内経(こうていだいけい)』というもっとも権威のある最古の医学経典によれば、気功には病気の予防、治療、延命という3つの効果があるとされています。

「気」の力は科学的にも効果あり!
そんな医療気功のなかで、姿勢、呼吸、瞑想などによって体の内側の「気」を活性化するというのが「内気功」です。内気功は科学的にもその効果が研究されています。例えばハーバード大学が出したレビュー論文でも、心拍数(1)、血圧(2)、ストレスホルモンを下げ(3)、体の免疫機能を向上させる(3、4)とあります。

とはいえ早朝に公園で気功を、なんて「気」合いは入らない。本を読みながら型を習うのもなおさら面倒くさい。ということで、今回はなーんにも動かなくてオッケー! 寝たまんまできる「気」持ちいい〜イメージ療法「内観法」をご紹介します。

安眠できる、寝たまんま「内観法」5つのポイント。

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1. 布団に入ったら、両脚を伸ばしてしっかりと揃える。
2. 「最悪眠れなくても死にはしない」とリラックスする。
3. 全身の「気」をへそ下から指2本分ぐらいの場所(気海)、へそから握りこぶし一つ分下の場所(丹田)、腰、股、足裏とどんどん足先に向かって流れていくと一心でイメージする。
4. 3を繰り返し、しばらくすると足先がポカポカ温かく感じられるように。
5. 温かく感じたときはほとんど入眠状態。気づいたら翌朝です!

ところで赤ちゃんや小さな子どもに触れていると、眠くなる前に手足が温かくなっていると感じませんか。この状態を「頭寒足熱」と言いますが、血行が十分に働いて手足の末端まで行きわたり、頭が涼しくなっていないと眠れないもの。一方で現代の暮らしは、スマホやパソコンなど「気」が頭に上る習慣が中心となっています。そこで意識的に「気」を下へ向かわせるようにイメージして、巡らせるのがポイント。心に強く描けば、体はそれに従ってくれます。

丹田を温め、困難への免疫力をつける。

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ところで気功では丹田(へそから握りこぶし一つ分下の場所)は大変重要な役割を担っています。のぼせた頭を鎮めるために、両手をここに重ねて当て、吸った息を吐き下ろして下腹を膨らませながら丹田が温かくなっていくのを体感するというテクニックもあります。これを丹田の気といいますが、病気の免疫力になるとも考えられています。

加えて”肚が坐る”という表現もありますが、丹田に心を鎮めて集中することで、不運や困難にフラットに対処できる動じない精神力を養うとも考えられています。こちらは通勤電車でもオフィスでも手軽にできるエネルギーチャージ法なので、ぜひ毎日の生活に楽しみながら取り入れてみてくださいね。

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土居彩

編集者、翻訳者。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を務める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にて、畏怖の念について研究するダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、13世紀の道元禅師を初めて英訳し欧米に伝えた禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)を翻訳中。恩人たちに支えられ続けながら、会社を辞めて渡米奮闘したドタバタな当時の様子を綴ったananweb連載『会社を辞めて、こうなった』も。https://greenz.jp/author/doiaya/

[1] M. S. Lee, M. S. Lee, E. S. Choi, and H. T. Chung, “Effects of Qigong on blood pressure, blood pressure determinants and ventilatory function in middle-aged patients with essential hypertension,”American Journal of Chinese Medicine, vol. 31, no. 3, pp. 489–497, 2003. [2] M. S. Lee, M. S. Lee, H. J. Kim, and E. S. Choi, “Effects of Qigong on blood pressure, high-density lipoprotein cholesterol and other lipid levels in essential hypertension patients,” International Journal of Neuroscience, vol. 114, no. 7, pp. 777–786, 2004. [3] H. Ryu, H. S. Lee, Y. S. Shin et al., “Acute effect of Qigong training on stress hormonal levels in man,” American Journal of Chinese Medicine, vol. 24, no. 2, pp. 193–198, 1996. [c] [4] J. M. Manzaneque, F. M. Vera, E. F. Maldonado et al., “Assess- ment of immunological parameters following a Qigong training program,” Medical Science Monitor, vol. 10, no. 6, pp. CR264– CR270, 2004.

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