夢に出てくるほど怖い“下水道博物館”って!? 超ディープなガイド本をご紹介

2021.1.2
次のうち、実在するミュージアムはどれでしょう?

(1)ボタンの博物館
(2)理科ハウス
(3)容器文化ミュージアム

実は、すべて本当にある。

『博物館ななめ歩き』は、マンガ家の久世番子さんが、京都国立博物館副館長の栗原祐司さんと共にめぐった津々浦々の博物館を、マンガで読ませてくれる楽しいガイドブックだ。

知られざる博物館がこんなに!? いざ、ディープな博学世界へ。

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「取材先は栗原さんの提案を踏まえ、規模は小さくても個性的なミュージアムを中心に選びました。たまに私が『古墳が見たい!』とリクエストを出すこともありました。東京中心になっているのは、取材費があまり出ないからです…」

紹介のされ方もいろいろだ。たとえば、日比谷図書文化館は、各フロアの注目ポイントが細かく紹介されているのだが、世界のカバン博物館では、いろいろなデザインのバッグが描かれ、グッズ中心になっている。

「建物や建っている場所が印象的なミュージアム、歴史が面白いミュージアム、コレクションが珍しいミュージアム、来館者が独特なミュージアム…。取材をしているとそれぞれの館の個性が見えてくるので、それを表現するように意識しました」

連載は1ページ。そこに当該の博物館の成り立ちや魅力、ちょっとしたうんちくなど、これでもかというほど盛りだくさんな情報が詰め込まれている。読むこちらは楽しいが、「地の文で説明を、フキダシで感情をとなんとなくの描き分けはあるものの、絵とのバランスも考えるので、その時どきで自由に描いています。『文字が小さいよー(泣)』というご意見もいただくのですが、ついついみっちり書き込んでしまいます」

相棒の栗原祐司さんは、これまでに全国6200館以上のミュージアムを訪問しているという猛者。

「博物館愛がだだ漏れで、本当にミュージアムフリークだなと圧倒されました。取材時には『この間、あそこの博物館に行って~』『あの国のミュージアムは~』など延々自慢話を聞かされていましたね。半分くらいは聞き流していましたが(笑)」

ちなみに、久世さんご自身が特に興味を惹かれた場所を、2つほど挙げてもらった。

「小平市のふれあい下水道館は衝撃的で、取材後何度も下水道管の中の夢を見ました。ぜひ体験してほしいです! あと、熊本の装飾古墳館。初めて九州の色鮮やかな古墳を見たので非常に思い出深いです。2つとも私にとってちょっと怖い体験でした。怖いって面白いです」

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『博物館ななめ歩き』 文化庁のWEB広報誌「ぶんかる」(旧・文部科学時報、文化庁月報)で、全国の博物館や記念館などをマンガで紹介。2009年から続く長期連載だ。文藝春秋 1200円 ©久世番子/文藝春秋

※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)