田代 わこ

【初秋デートで行きたい♡】上野でゴッホの友達に会ってきた!

2017.8.22
2017年夏、アメリカ屈指の大美術館から古今東西の名作が来日! ゴッホの話題作2点も見られる注目の展覧会『ボストン美術館の至宝展ー東西の名品、珠玉のコレクション』に行ってきました!

『ボストン美術館の至宝展』へ!

【女子的アートナビ】vol. 82

同展で紹介されているのは、古代エジプト美術や中国・日本美術、フランス・アメリカの絵画、さらには写真・版画や現代美術などの作品80点。ボストン美術館が誇る “珠玉の名品” がそろっているということで、期待を胸にプレス内覧会に潜入です!

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入り口の説明によると、この展覧会ではボストン美術館のコレクション収集に貢献したコレクターたちにも焦点をあてながら、作品を紹介しているとのこと。

1870年に設立されたボストン美術館は、設立当初から公的資金に頼らず、個人コレクターやスポンサーからの寄贈などによってコレクションを形成。19世紀から20世紀の初頭には、冒険心のあるボストニアン(ボストンゆかりの人)たちが異国を旅して美術品を収集したそうです。慈善活動によって築き上げられたコレクションは、現在50万点近くにのぼるとのこと。ボストニアンたちの思いが詰まった大切な作品群を日本に貸してくれるなんて、ありがたいです!

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こちらは古代エジプト美術の展示室。《ツタンカーメン王頭部》をはじめ、ジュエリーやレリーフなどの名品11点を見ることができます。

日本美術も充実!

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ボストン美術館の日本美術コレクションは、「世界でもっとも重要なコレクションのひとつ」といわれるほど質・量ともに充実。今回の展示室にも、野々村仁清の工芸品から曾我蕭白(そがしょうはく)、与謝蕪村、喜多川歌麿の絵画まで、見ごたえある作品が並んでいます。

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そのなかでも注目したいのが、英一蝶(はなぶさいっちょう)の巨大な《涅槃図(ねはんず)》。江戸時代に描かれた仏画の代表作で、高さが約2.9メートルもあります。涅槃図とは、お釈迦様がこの世から離れるときの様子を描いたもの。中央で横になっているのがお釈迦様で、周りでは多くの弟子や動物が嘆き悲しんでいます。

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この作品は、1911年にボストン美術館に収蔵されてから一度しか公開されなかったとのとこと。今回、日本に里帰りするため約1年かけて解体修理し、よみがえったそうです。会場では、修理の様子を伝える映像も見ることができました。

いよいよ、ゴッホの友達が登場!

次のフロアでは、フランス絵画が展示紹介されています。ボストン美術館が所蔵するヨーロッパ美術のなかでも、特に19世紀フランス絵画は名品ぞろい。今展でもミレーやモネ、ドガ、ルノワール、セザンヌなどの名作が19点も並んでいます。

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そして、いよいよゴッホの作品が出てきました! このお二人は、ゴッホの友達、ルーラン夫妻です。1888年にパリから南仏の町アルルに移り住んだゴッホにとって数少ない友人となったのが、郵便の仕事をしていたジョゼフ・ルーラン。彼とその妻、さらに3人の子供たちはゴッホのモデルとなり、20点以上もの肖像画が描かれました。

このふたつの絵を見比べてみると雰囲気がちょっと違いますよね。夫の絵は背景がシンプルですが、妻の方はとっても華やか。

東京都美術館学芸員の大橋菜都子さんによると、この絵は対作品として描かれたものではなく、制作時期も違うとのこと。ゴッホは1888年の夏に夫のジョゼフを描いた後、10月に画家のゴーガンと共同生活を開始。でも12月には有名な「耳切り事件」を起こして二人の生活は破綻します。その後、1889年の春ごろに描いたのがルーラン夫人の肖像画。その装飾的な背景などはゴーガンの影響を受けていると考えられているそうです。

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ちなみに、上の写真は《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》を美術館に寄贈したロバート・トリート・ペイン2世を紹介したパネル。職業は弁護士でボストン美術館の理事もつとめていたそうです。自分で購入した絵、それもゴッホを寄贈できるなんて、太っ腹!

展覧会は、フランス絵画のあとにも、アメリカ絵画や版画に写真、現代アートへと続いています。著作権の関係で撮影はできませんでしたが、ジョージア・オキーフの魅惑的な花の絵やアンディ・ウォーホル、さらに村上隆の作品も展示されていました。

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また、会場を出たところにはルーラン夫妻に挟まれて記念撮影できるコーナーも用意されています!

ボストニアンたちが収集した名品の数々を日本で見られる貴重なチャンス、ぜひお見逃しなく!

Information

会期:~10月9日(月・祝) ※休室日は月曜日(ただし8月14日、9月18日、10月9日は開室)、9月19日(火)
時間:9:30 ~ 17:30(※金曜日は20:00まで。8月11、18、25日は21:00まで)※入室は30分前まで
会場:東京都美術館 企画展示室
料金:一般 1,600円/大学生・専門学校生 1,300円/高校生 800円/65歳以上 1,000円

公式サイト