志村 昌美

休み明けで疲れてない? 小さな悩みが「どうでもよくなる実話」 実録!トラブルトラベラーMasamiの事件簿Vol.10

2019.1.12
これまでに海外旅行のべ30回、海外留学3回の経験を持つライター・志村がお送りする「実録!トラブルトラベラーMasamiの事件簿」。ゆるくお届けしている連載も、ようやく10回目を迎えました! ということで今回は、これまでのスリやひったくり、ATM襲撃といった事件性のあるトラブルではなく、私が海外で出会った不思議な人たちとのエピソードを箸休め的にご紹介したいと思います。

なぜか海辺で絵のモデルになった in イギリス!

【実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿】vol. 10

前回のVol.9でも少し触れていますが、私は昔からどこにいてもなぜか変わった人たちに絡まれやすい体質。本題に入る前にまずはその一例をご紹介したいと思います。

それは、ある日表参道を歩いていたときのこと。向かい側から歩いてくる男性が明らかにこちらを見て驚きの表情を浮かべ、目を見開いていました。「あれ? 知り合いだっけ? 誰だろう?」と考えているうちに容赦なく近づいていく2人の距離。思い出せないまま案の定「あの、すいません」と声をかけられることに。

「あー、ヤバい! 誰だかまったく思い出せないよ!」というこちらの心配もよそに、彼が放った驚きの言葉とは……。

「おでこから見たことない光が出ています」

「え!? お、おでこから光!?」と動揺する私。確かにそこそこ広めのおでこを持つ私ですが、真剣な表情からはとてもそれをディスってるようには見えない。彼の説明によると、どうやら人相などを見ている人らしく、あまり見たことのない光線(?)が私のおでこから出ているので、思わず声をかけてしまったのだとか。

そこで、「はいはい、これはこの後どこかに連れて行かれて壺とか買わされるやつですな」とトラブル経験豊富な私が一気に警戒レベルを上げた瞬間……。

肩透かしな一言がっ!

「珍しかったのでそれだけです。これからもがんばってくださいね」と笑顔で言い残して去って行きました。あまりにも意味不明で、消化不良のまま取り残されたので、いまだにあれは褒められたのか、いたずらだったのかさっぱりわかりませんが、もし同じ経験をした人がいたらぜひ教えてください。

ということで、前置きが長くなりましたが、こんな感じで不思議な人が近づいてくることが日常生活でよくあるのですが、その能力(?)は海外でも健在!

それは、イギリスのブライトンという街に行ったときのこと。人との待ち合わせまでかなり時間があったので、行き先も決めずひとりでブラブラと街中を散歩していました。

上記の写真からもわかるように、ブライトンは「海辺の街」としても有名なリゾート地。気が付けば海辺にたどり着いていた私は、ちょっとしたベンチのようなところに腰をかけて海を眺めていました。

時期は9月末でしたが、私はすでにニットの上着を羽織っていたほどの肌寒さ。とても泳げるような陽気ではありませんでした。

そんななか、まさかの泳ぐ人を発見!

寒いのはもちろんのこと、その日はなかなかの荒波だったので、いろいろな意味で遊泳禁止レベル。にも関わらず、泳ぎ続けるチャレンジャーな男性がいたので、暇な私は何となく遠くからぼーっと様子を見ていました。

しばらくして海から上がってきたので、「ああ、無事でよかった」と思っていたら、徐々にこちらに近づいてくる男性。彼に熱い視線を送った覚えは1ミリもありませんが、気がつけば隣に座られ、話しかけられることに。

英語が苦手だったので、何となくわかるとこだけ微笑んでみたりして適当にやり過ごしていたら、まさかの展開が待ち受けていたのです。それは……。

「似顔絵を描かせて欲しい」と謎のオファー!

あまりにも唐突で意味不明な流れではあるものの、時間を持てあましていたのと、うまい断り方がわからなかったので、なぜか海辺で絵のモデルをするはめに。「自分から提案するからには相当うまいのだろう」と期待に胸を膨らませること30分以上。海風に吹かれ続けて身体も冷え切ったところで絵が完成したのですが……。

その出来上がりがこちら!

読んでいるかたの10割近くは私の顔がわからないと思いますので、「実は似ているかも?」という疑問にお答えするために恥を忍んで比較画像を載せてみました。鼻やほお骨、えくぼなどところどころ特徴はつかんでいるとは思うものの、「イギリス人には私の顔はこんな風に見えているのか?」ともはや自分の顔がわからなくなるほどの不安に襲われる出来栄え。

言葉を失うほどの衝撃に何と感想を言ったのか思い出せませんが、おそらく「ありがとう」というのが精一杯だったかと思います。さらに……。

追い打ちをかけるプレゼントがこちら!

おそらく似顔絵に気を取られて見逃している方が多いと思いますが、写真の右上に得体の知れない物体が映っているのにお気づきですか? これはそのときに彼が絵と合わせて記念にくれた石です。海で男子が女子にあげるものといえば、きれいな貝殻が定番だと思っていましたが、私の場合はガイコツのようなボコボコのうす汚れた謎の石でした……。

真面目そうなタイプでふざけている様子もないので、彼なりの旅行者へのおもてなしだったのかもしれません。それらを受け取ってすぐにその場を離れたので、いまだに彼の意図はよくわからないままですが、イギリスでの忘れられない思い出のひとつになったのはいうまでもありません。

何年か前にFacebookの「知り合いかも」に彼が上がってきたときはびっくりしましたが、いまでもきっとあの荒波にもまれながら、絵を描いて元気に暮らしていることでしょう。

ということで、いつもならここでトラブルの回避法をお伝えするところですが、今回はトラブルではないので、言いたいことはひとつだけです。それは……。

普段ない出会いこそが旅の醍醐味!

日本では絶対にないような出来事や出会うはずのない人と巡り合ったりするのは、旅に出たからこそ。ただし、Vol.9で私が経験したように、知らない人に連れ回されて怖い思いをすることのないようにだけはくれぐれも気をつけてくださいね。そのうえで、みなさんも道中で起きるハプニングを思う存分に楽しみましょう!

最後に、似顔絵事件のあとに訪れたイギリスのセブンシスターズの絶景とそこではしゃぐ豆粒のような私をお届けしてお別れしたいと思います。世界の大きさを知ると、自分の悩みなんかもちっぽけに感じられるもの。みなさんもどんどんいろんなところに旅をして、新たな体験を味わいながら、おもしろいエピソードをたくさん持ち帰ってくださいね。次回は、イギリスの公園で変なおじさんに絡まれて困った編です。お楽しみに!


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