好きで “薬漬け” になっているのではない。 精神疾患者の薬事情
向精神薬の依存性や副作用の怖さ
私は躁うつ病です。抗躁剤と抗うつ剤、どちらも飲んでいます。薬を飲むと精神的に安定しますが、安定だけでは済まないことがあるのが薬。副作用や依存性が出てしまう薬もあるのです。私の場合を報告します。
初めて精神科にかかったときに処方された薬があります。そのうちのひとつが、デパスです。デパスは広く使われている薬だと聞いたことがあります。うつ状態のときにフッと気分が軽くなり、私には合っている薬です。しかし、それを飲み続けていくうちに、変だな、と感じる場面が出てきました。デパスを飲み忘れると、なんだかモヤモヤした気持ちになるのです。それはだんだんとひどくなり、冷や汗が出たり手が震えたりするようになりました。これは、いわゆる離脱症状。薬が足りていないと感じると、体にも異変が出てしまうのです。デパスを飲むことの大きな障害は、その依存性でした。
また、新しい薬が合わなかった場合はひどい副作用が出ることがあります。高プロラクチン血症になり、乳汁が出たこともありました。月経が月に3回くることもありました。自殺念慮が強くなったこともありました。1か月寝たきりになったこともありました。
薬は精神安定のために必要なのですが、その依存性や副作用で苦しむことがあります。私が今悩んでいるのは、先に紹介したデパスの依存性です。やめたくてもやめられないのです。
デパスの依存性と戦う日々
私はかつて、キャバクラで働いていました。そのときのお客さんのひとりに、精神科医がいました。彼が言った言葉を、いまだに忘れることができません。
「うつっぽいと言って来た患者には、デパスを出しておけば良いんだ。俺も落ち込んだときにはデパスを飲んでいるよ」。
そういった精神科医もいるのだと、私はとても悲しくなりました。しかし、2016年9月に法律が改正され、デパスに処方制限が設けられるようになったのです。今までは処方日数の制限がなく処方されやすかったのですが、これからは今までとわけが違います。デパスを飲み続けると、耐性ができてしまい、処方通りに飲んでも効かなくなってしまうのです。私は既にそのような状態になっていました。離脱症状が起きると、耐えられなくなってデパスを飲む。それを繰り返し、いつしか規定量を越えて飲んでしまうようになっていたのです。
法改正が行われ、デパスの離脱症状と戦う日々がやってきました。医師は「もうデパスをやめる方向にした方が良い」と言います。でも、そんなに簡単にやめられるものであれば苦労しません。それだけ依存性が強いがゆえに、法改正されたのですから–。
”薬漬け” になったのは私のせいなのでしょうか?
現在、デパスを依存性が低い薬に置換するという治療を受けています。しかし、これも簡単なことではありません。ほかの薬を飲んだからといって、デパスの離脱症状が襲ってこないわけではないからです。
そうでない医師もいるでしょうが、「デパスを出しておけば良い」と言っていた医師も存在したのが事実。それだけ効きやすく、処方しやすい薬だったのでしょう。私が初めてデパスを処方されたときも、その依存性についての説明はありませんでした。
私はデパスやそれに変わる薬とともに生きています。これらがなくなったら、私は精神状態を崩して社会的生活ができないようになるでしょう。私がこのような状態になったのは、”薬漬け” の状態になったのは、私のせいなのでしょうか? 少なくとも、好きで ”薬漬け” になったわけではありません。法律や医師の方針など、さまざまな状況が重なって、依存性の高い薬に出合ってしまったのだと思います。あの時私に知識があれば。そう悔やんでも仕方ありません。この依存性と戦うしかないのです。
私は信じています。デパスをやめ、やがて全てを断薬しても安定する日が来ることを。
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