志村 昌美

はあちゅう、しみけん「事実婚の醍醐味は…」互いの結婚観を明かす

2018.10.3
恋をして盲目になってしまう経験は誰にもあると思いますが、見えなかったものが見えるようになったことで運命が狂ってしまったある夫婦を描いた映画が現在公開中。そんな愛について考えさせられる話題作とは……。

スリリングなミステリー『かごの中の瞳』!

【映画、ときどき私】 vol. 191

タイのバンコクで夫のジェームズと幸せな結婚生活を送っていたジーナ。子どもの頃の交通事故が原因で失明していたジーナだが、夫の献身的な支えもあり、何不自由なく暮らしていた。

ある日、医師のすすめで受けた角膜移植が成功し、片目の視力を取り戻したジーナだったが、喜びのなかで初めて見た夫の姿は想像していた素敵な夫ではなく、地味で平凡な中年の男性だった。

目が見えるようになったことで心の奥にあった好奇心が目覚めたジーナは、流行のファッションを着飾り、外の世界へと飛び出していくことに。そんなジーナに、ジェームズは徐々に嫉妬心を募らせていく。2人を待ち受ける衝撃の結末とは……。

徐々に歯車が狂っていく妻と夫の姿に釘付けになってしまう本作ですが、観る人によっては「どちらの立場に共感できるか」など、感想が大きく異なると話題に。そこで今回は、ラブラブなこちらの新婚夫婦に愛について語ってもらいました! そのおふたりとは……。

はあちゅうさん&しみけんさん!

今年7月に事実婚を発表し、注目を集めているブロガーで作家のはあちゅうさんとAV男優のしみけんさんですが、おふたり揃って公の場に登場するのは今回が初めて。夫婦円満の秘訣や仲良しでいるための独自ルールなどについて教えてもらいました。

2人で登壇するのは緊張すると話していたものの、イベントが始まれば満面の笑顔で仲睦まじい姿を見せているはあちゅうさんとしみけんさん。以前から一緒に映画を観て、感想を熱く語り合うのが好きとのことですが、今回の作品についてはおもしろいと意見が合ったのだとか。

恋愛関係においては、見えるのに見失うことがある

まずは、それぞれの映画の感想からお話いただきました。

はあちゅう 長年一緒にいる相手でも、お互いに知らない顔を持っていること。あとは、普段自分が愛と感じていたものが、実は愛ではなくて、依存なのではないかというのを考えるきっかけになりました。

しみけん 目が見えて幸せになるはずが、2人がすれ違っていくという物語の展開がおもしろいんですが、そういうところが人間っぽいなと思いました。

はあちゅう 見えていないときのほうが世の中が見えているというか、彼女にとっていままでの世界は夫が見ていた世界だったということ。見えると見えないがひっくり返るような感じがありましたね。すごく深い世界観に引き込まれました。

しみけん 「見えるのに見失う」みたいな感じがすごいですよね。

不安になるとダークな気持ちに陥ることも!

今回でいうと、妻と夫どちらの行動に理解できますか?

はあちゅう 私は「自由でありたい」とか「自立したい」という気持ちが強いので、妻側に共感するポイントが多かったですが、いっぽうで不安になる夫の気持ちもわかるので、心のなかに両方いると感じました。いまはお互いの世界を共有していますが、私も「彼に秘密があるんじゃないか」と思うと、どんどんダークなほうに気持ちがいっちゃうかもしれないですね。

しみけん 僕も両方の気持ちがわかりますが、どちらかというと妻派ですね。目の前に海が広がっていたら泳ぎたくなる気持ちもすごくよくわかるので、見る世界が広がったらやっぱり行きたくなりますよね。それを止める夫の気持ちもわかりますけど、人は興味を持ったら進まざるを得ないですから。

法律婚も事実婚も違いはない!

同じ意見をお持ちのおふたりが選択した事実婚という制度にも注目が集まっていますが、普通の結婚生活と違いを感じることは?

はあちゅう 暮らしているうえではあまり違いはないです。わかりやすくいうと、結婚すると戸籍が一緒になるんですけど、事実婚だと住民票の記載が「妻(未届)」と書かれますし、苗字は別々のままというのが一番違うかもしれないですね。

しみけん 僕は10年前に離婚していてバツイチなので、法律婚と事実婚の両方を経験していますけど、違いはないなぁ。

はあちゅう 既婚の友人からは「離婚しやすくていいね」と言われました(笑)。というのは、事実婚の場合、家族を巻き込むこともないですし、相手の同意がなくても自分の意志だけで別れられるので。そういう面では切れやすいともとらえられますが、その縁を意志でつないでいるというのが醍醐味だと思います。

しみけん そう考えると、事実婚のほうが気持ちの深さは深いかもしれないですね。

ケンカしても言わないようにしてる言葉とは?

確かに制度よりも、気持ちでつながっていることのほうが大事なこと。だからこそ、ケンカしてしまったとき、おふたりの間にはある決まりもあるのだそう。

しみけん ケンカしていても、最終手段として「じゃあ、別れよう」というのだけは言わないように決めています。

はあちゅう 「ここは改善してね」とか、「こうやっていこうよ」といった感じで、付き合いたてのころからそういう方針にしています。

しみけん 「別れる」というと話し合いをすることを放棄していることになりますからね。

独自のゲームが円満の秘訣!

では、おふたりのようにラブラブになれる秘訣を教えてください!

しみけん まずはよく話し合うことですね。夜はマッサージしながらテレビを見たりしていますが、その日にあったことをお互いに話すようにしています。

はあちゅう どっちのほうがおもしろいネタを持って帰れるかみたいな感じですね。あと、私たちはトリビアを集めるのが好きなので、高い点数を出したほうが勝ちとか、いくつか独自のゲームがあるので、それも秘訣かもしれないです。

そのほかにも、おふたりだけでしていることはありますか?

はあちゅう たとえば、LINEで「目線」と送ったら、一緒にいる人とか、食べているものとか、目の前の景色とかを送り合っています。「いま何してるかな?」と思ったら、突発的にやるんです。

しみけん もともとは僕がそれぞれの人がどういうものを見て生きているのかとか、海外の友達が何を見てるのか知りたくて、「目線ちょうだい」と言ったことがきっかけ。そうすると、自分も共有しているような気持ちになれるんですよね。

はあちゅう 隠しごとがないからできるんだと思います。

“運命の人” 当てゲームに挑戦!

と、強い信頼感で結ばれているおふたりですが、はあちゅうさんが運命の人であるしみけんさんを探し当てられるかに挑戦してもらいました! 目隠しをしたはあちゅうさんが、しみけんさんを含む4人の男性の匂いを嗅ぎ、嗅覚だけで誰がしみけんさんかを当てるというゲーム。生物学的に、人間は運命の人をいい匂いと感じる本能があるのだそう。

一人ひとりの男性の匂いを真剣に嗅いでいるはあちゅうさん。なかなか匂いだけで判断するのは難しいらしく、悩んだ末に選んだ男性はというと……。

残念ながら別の男性でした!

「朝起きたときの耳のなかの匂いなら絶対にわかったのに!」と悔しそうにするはあちゅうさんとがっかりしながらも「生々しいからやめなさい(笑)!」と突っ込むしみけんさん。挑戦には失敗してしまったものの、息の合ったやりとりを最後まで披露していました。

「愛とは何か」を突きつけられる!

イベントの最後には、改めてひと言ずつ映画のオススメコメントをもらいました。

はあちゅう どちらの立場に自分が感情移入できるかをしてみるとより楽しめる作品ですし、「愛とは何か」を突き付けられる作品だと思います。

しみけん 普段、夫婦生活が当たり前だと思っている男性にもぜひ見ていただきたいですね。

鑑賞後の感想によっては相手の本性も見えてくる本作。ちょっぴり刺激的なデートムービーとして、映画の展開にハラハラ、相手の反応にドキドキしながら楽しんでみては?

もっと見たくなる予告編はこちら!

作品情報

『かごの中の瞳』
TOHOシネマズシャンテ他全国公開中
配給:キノフィルムズ/木下グループ
© 2016 SC INTERNATIONAL PICTURES. LTD
http://www.kagonaka.jp/