朝食抜き、夜ドカ食い、ストレス多め…「台風の時期にだるさが続く人」の特徴と対策
急激な天候変化による自律神経の乱れにご用心
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 280
みなさん、心と体の状態にお変わりありませんか? ここ最近では、台風10号によって各地で被害が続出しています。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水、高潮などが懸念され、全国で520万人以上に避難勧告が出されましたね。さらに、線状降水帯による大雨災害発生の危険性が高まる可能性も考えられます。
このように安定しない気候が続くことにより、私たちの心と体は乱されてしまうことがあります。実際、台風や低気圧のたびに頭痛になる人も多いです。人によっては、頭痛以外にもめまいを感じたり、だるくなったり、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったり、睡眠が浅くなったり、胃腸の調子が悪くなったり、むくみが強くなったりすることもあります。
ということで、変化の多い今週は自律神経を整える食薬習慣を紹介していきたいと思います。
今週は、自律神経を整える食薬習慣
毎年、9月の秋分の日ごろまでは不安定な気候が続きますが、急な気圧や気温、湿度の変化などが頻繁にやってくることで、自律神経が乱されるタイミングがどうしても増えてしまいます。また、災害に対する直接的な不安や備蓄に対する不安などで心理的な状態も穏やかではないこともあるかもしれません。
漢方医学では、心の安定に必要な『血』が不足し、ストレスをため込みやすい状態である『気滞』があると自律神経は乱され、雨の日の頭痛やだるさ、気分の落ち込み、めまいなどの悩みを感じやすくなると考えています。
そこで、鉄やビタミンB群、たんぱく質などの脳の神経伝達物質の材料となる栄養を補充することで、『補血』し、酢の物、梅干しなどの酸味のあるもの、大葉、セロリ、パクチー、ルッコラ、バジルなどの香り高い野菜、レモン、オレンジ、グレープフルーツなどのかんきつ類などを料理のアクセントにすることで『気』の巡りを改善することで対策をとっていきましょう。
今週食べるとよい食薬は、【カツオのゴマまぶしソテーのパクチー添え】です。
そして逆にNG習慣は、【夕飯をたくさん食べて朝食べない習慣】です。
食薬ごはん【カツオのゴマまぶしソテーのパクチー添え】
気候の変動が大きい時期は、ゴマやワカメ、コンブなど食物繊維の多い乾物を使って腸内環境を整え、血糖値の乱高下を防ぐことで自律神経を整えることから考えます。そして、鉄が多く『血』を補うカツオにたっぷりゴマをまぶし、『理気』作用の高いパクチーと一緒に食べて、急な気候変化に負けない体づくりをしましょう。
<材料>
カツオ 250g(1センチくらいにスライス)
醤油・みりん 各大匙1
生姜・ニンニク 各2片(すりおろす)
黒ゴマ 適量
パクチー 1袋(3センチくらいに切る)
<作り方>
①カツオ、醤油、みりん、生姜、ニンニクをポリ袋に入れ15分くらい置く。
②カツオの全体にたっぷり黒ゴマをまぶして両面焼く。
③パクチーをさらに敷き詰め、②を盛り付けたら完成。
NG行動【夕飯たくさん食べて朝食べない習慣】
こんなことはないでしょうか? 一日に必要な栄養素を取るタイミングを夕飯だと考え、朝昼の食事内容をおろそかにする、ストレス発散のために夕飯のボリュームが多くなったりすることなど。夕飯のタイミングは、消化への負担がなるべく少なく、翌朝まで胃の重さを持ち越してしまうほどの量を食べることはお勧めできません。
遅くても22時までには食事をすませること、そして消化を助けるような食薬と負担にならないような食事内容とボリューム、さらによく噛んで食べるようにすることがお勧めです。夜の過ごし方によって朝お腹がすかない人も多いと思いますが、朝食は胃腸を動かし、体に朝を知らせたり、セロトニンの生成に必要な栄養が摂取できたりと、自律神経を整えるうえでは欠かすことができない存在です。朝食の内容としては、パンやお菓子ではなく、たんぱく質や食物繊維の摂取を心がけることが大切です。
最近では、気候変動や地震、新型コロナウイルス、長引く後遺症など、予期せぬ出来事に悩まされることが増えてきていますよね。様々な変化があることは、仕方のないことです。ですが、何かあったときに、その都度翻弄されていては、生きづらくなってしまいます。日ごろから自律神経を整える食薬や習慣をとりいれて体のベースづくりを強化していきたいですね。
そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜け ズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。
近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。
ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。
Information
<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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©Dzianis Vasilyeu/Adobe Stock